『相州戦神館學園 八命陣』第三話 感想・壱
千信館の学生らしく——行くぞォ!
第3話。
Diesがそうだったように、戦神館でも主人公が戦いの火を灯す希望の章。
強いって何ですか?という一歩が求めた答えがここに。
場所はどこかの礼拝堂。
前話でやりたい放題してった聖十郎と神野による、この手のジャンルではお約束の悪の作戦会議。
対等に話を進めており、もはやこいつらで一つの勢力となっている。HPの情報は早くも当てにならない(笑)
2人は現状の確認と、それについての意見交換を。分からない単語がひっきりなしに出てくるが、ユーザー側に明かされる重要な情報は以下二点。
・四四八を使い、何か事を為そうとしている
・神野には仕える主人がいる
特に驚きなのは後者。この無軌道な存在を御してる輩がいるなんて、いったいどんな変態奴だとプレイしてる皆が思ったに違いない。
一方現実世界。
恵理子の死から3日が経過。視点は四四八以外の面子。
まずは晶。
葬儀を淡々と進めた四四八、そんな彼の胸中を察するも何もできないことに歯噛みする。
心配しに来た剛蔵へ、晶はあらためて柊聖十郎という人物について尋ねる。
剛蔵の口から明かされる聖十郎の過去......といっても剛蔵ですら、聖十郎に恐怖を感じていた。
性格の悪さは底知れず、なのに好きな人はそんな奴に惹かれていく。そのことに納得できず、曰くずっとつきまとっていたとのこと。
そして長い月日の中で、剛蔵がたどり着いた聖十郎の真実とは——
剛「要約すると、あいつは俺たちが羨ましいんだ」
全てを兼ね備えているであろう聖十郎になぜ嫉妬心など芽生えるのか?そんな考えにいたった剛蔵ですら判然とせず。
話の主導権はいつの間にか剛蔵に。
四四八のことで思い悩んでいる娘へ、年長者としてアドバイス。
剛「四四八くんが心配なんだろう?俺の出る幕なんかないほどに彼は立派にこなしてたが、だからといって平気なわけじゃないはずだ。きっと無理をしている」
「会いに行けよ。何を話すべきか頭で纏まるのを待っていたら、だいたいは手遅れになる。経験者からの忠告だ」
このハゲはできるハゲ。
続いては歩美&栄光のゲーマーペア。
非常時の中でも、ゲームをすることで冷静に頭を働かせる2人。四四八の心境を鑑み、気持ちの整理ができるまで待とうという、信頼関係の厚さ。
歩「まあ、あっちゃんあたりは、そろそろ焦れて突撃かけそうな気がするけども。そうなったらそうなったで四四八くんのケアは任せるよ」
栄「いいのか?晶に点数持ってかれるぜ」
歩「今さらそんな関係じゃないもん、わたしたち」
「もん」の言い方が好き(/ω\)。しかしながら、こういうことをサラッと言い合えるって、すごいステキな関係だと思うんすよね。上辺だけじゃないってのがつくづくよく分かる距離感(*‘ω‘ *)。
さてさて、あの日から四四八グループの中で決められていたこと、それは「寝るな」。
再びあの世界へ入ってしまわないことを案じた、苦肉の策。
そんな言いつけから3日、みんな徹夜を守ってる中、なんと歩美は試験的に寝てみたことをカミングアウト!!......すげー度胸だ。歩美がただのマスコットキャラでないことの片鱗が、このあたりから徐々にでてくる(; ・`д・´)。
その結果は、「異状なし」。普通に眠りについただけで、夢の世界に入ることはできなかった。このことから「夢に入るには、四四八の存在が不可欠」だと推測。
そんなわけで、歩美は夢の世界に戻る気マンマン。一方の栄光も、
栄「オレはおまえらも知ってる通りビビリだし、切った張ったなんてガラじゃねえよ。正直怖い」
「けど、だからってケツまくるっつーのはもっとねえ」
「恵理子さんには世話なったし、四四八にも......ああ、オレだって許せねえんだよ」
本当のビビリは自分のことをビビリだなんて言わない。もうこの段階で、栄光のことを臆病者なんて思ってる爪牙は一人もいないだろう(絶対的確信)。
続いての議題は、夢の世界に出てきた自分たち以外の登場人物について。各々が持っていた迫力から、彼らは全員実在の人物であると確信する歩美と栄光。
歩美はさらにそこから思考を広げ、夢の最深部は全人類と繋がっているのではと考察。謎の勢力たちがこぞって争っていたのも、それを巡ってなのでは——と。
最後は水希について。
突如みんなの前に現れ、当たり前のように夢の世界を把握、さらには敵の正体にも知っているかの素振りをみせていた彼女。どう考えても一番要注意人物。
......にも関わらず歩美たちの胸に、水希を忌避する気持ちは湧かない。むしろ芽生えるのは感謝の思い。よくぞもう一度出会ってくれたと、正体不明の感情が押し寄せる。
晶同様巻き込まれたことを誇りつつ、2人は反撃の機会を待つ。
鈴子&鳴滝は、そろって学校の資料室へ。
先の戦いで狩摩が発した「辰宮」という単語。それが千信館の創設者のことを指していると当たりをつけた鈴子は、鳴滝と共に情報収集。
歩美たち同様、こちらも息のあったやりとり( ̄ー ̄)。
鈴子のモチベーションは、恵理子の敵討ちだけに留まらず。
鈴「柊に勝ちたいの」
「あいつ腹立つのよ。イラっとくるのよ。目の上のたんこぶなのよ。いつもいつもほんとにもう、いつかギャフンと言わせたいのよ」
「そんなあいつがさ、今ヘコんでるわけじゃない?カッコつけちゃって、平気そうな顔してたけど、絶対内心はこう、ぐちゃぐちゃっとしてるに違いないのよ。だから、これってチャンスじゃない。あいつがチンタラしてる間に、私が決定的な仕事をするの。それで見せ付けるのよ、どうだこの野郎って」
その表情から、四四八への対抗心以外のものも感じさせる......鈴子のくせに可愛いじゃねえか。
書類の多さに四苦八苦していると、お目当ての資料が奇跡的にヒット!
・明治36年、辰宮麗一郎により『戦真館』設立
・明治38年、戦真館焼失。辰宮麗一郎死去
・明治48年、麗一郎の孫・百合香により戦真館復刻
ここで2人の目を引いたのは、戦真館の立て直しにあたり「占術の権威である壇狩摩を呼び寄せた」という記述。写真は夢で出会った彼と同一人物であり、これで夢の世界に出てきた者らが実在した人物であるということが確定。
鈴子と鳴滝はダッシュで四四八の家へ。
——そして、視点は肝心の四四八に。
父への怒りは消えていないものの、感情が麻痺しているため妙に落ち着いている。
そんな中、罪悪感でいっぱいの水希からの着信。優しい声で応える。そこには、なぜか水希に対する感謝の念が込められていた。
ふいに水希から「強さとは何か」を聞かれる。四四八の答えは
四「必要なのは思いやり、かな。仁ってやつだよ」
“人を思いやり、正義を胸に、規範を重んじながらも視野を狭めず、属する世界のために献身を捧げ、他者にも己にも嘘をつかない。目上を敬い仲間を大事にし続けること”
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌。里見八犬伝が四四八の心のベースであり、理想の生き方。四四八の強さの秘訣はここにあり。
水希との電話の最中、晶の不意な訪問。いや~モテるね( ̄ー ̄)。
晶と共にうどんを啜る。
何気ない会話から、晶は四四八へ静かに語り掛ける。恵理子の死、水希の謎......不可解なことだらけだけども、それでも絶望だけが広がっているわけじゃないと。
晶「巻き込んだり、込まれたんじゃない。望んだんだ、あたしらが」
だからいっしょに、という晶からの力強いメッセージ。その気持ちに四四八も頷き返す。
その後はなんかいい感じの雰囲気になったところで、みんなが雪崩れ込んでくるお約束のパターン。正田はラブコメに関しては徹底して王道をいくな(笑)。
みんな揃ったところで、情報のすり合わせも兼ねた宴会。四四八の憂いも少しは晴れたようでホッコリ(^^)。
あとはただ一人、この場にいない水希について
栄「まだそんなに水希のこと知ってるってわけじゃねえけど、あいつたぶん面倒くさい性格してるからさ。許すとか気にしないとか、そういうことをどれだけ言っても意味がないと思うんだよ」
「これでチャラだっていうのを分からせるために、なんかやってもらおうぜ」
「こう言うんだよ。悪いと思ってんならパンツ見せろ」
宴もたけなわ、皆睡魔の限界を迎えたところで、四四八はひとり日課のランニングへ。
胸へ燻る母への想いに咽びながらも、ゴールの砂浜へ到着——そこには待ち構えていた水希の姿が。
四四八自身、気持ちの整理はなんとかつけた。あとの問題は、水希が抱えている罪悪感。
大事な仲間のため、四四八運命の一言を——!
四「パンツ見せろ。それでチャラだ」
冗談で言ったものの中の人の演技がガチすぎたためか真に受けて、あろうことか了承してしまう水希!!
てんやわんやになったところで、四四八のあとを追っかけてきた晶たちが合流(徹夜の状態で10km走破してきてみんなやべーな(´゚д゚`))。
みんなが揃ったところで、景気づけの宣誓を!
前話から続いた暗い雰囲気はここに完全に払拭!壮大なBGM「如是畜生発菩提心」と、この一枚絵は破壊力ありすぎてブログ主のキャパを余裕でオーバー!
四「今後一生、悪い夢を見るなんて冗談じゃない。もちろん、悪い夢を見ながら死ぬことも」
「だから戦うぞ。戦って夢から覚めよう。これは俺たち全員が望んだことだ」
「巻き込んだんでも、巻き込まれたんでもない」
「またこの朝に帰る——いいなッ!」
続き→『相州戦神館學園 八命陣』第三話 感想弐 - ゆらりゆらりとゆらゆらと