『相州戦神館學園 八命陣』第三話 感想・弐
“早く来い四四八......俺はおまえが羨ましい”
3話のエピローグは敵勢力のターン。
主人公たちの裏でそれぞれ暗躍する各勢力の動きと力関係がおもしろい。
場面はガラッと変わり、豪奢な館。
長い廊下を我が物顔で進軍するぼくらの神野。
それを遮るは、イケメン執事兼戦真館初代筆頭・幽雫宗冬。
正統派のイケメンを前にした非モテの反応は......
神「くらなくんはまぞ。おじょうさまのあしのうらをなめるのがすき」
「おまえはじぶんでちんぽをこすることもできないこしぬけ。きれいなのはみためだけで、なかみはくさったせいえきしかつまってない」
全部ひらがなってのが実に舐めくさってて嫌。
攻撃方法も蜘蛛やムカデ、芋虫と生理的に嫌悪感をもたらすものばかり。嫌がらせに特化しすぎてて......そりゃ水希から嫌われるわ。
そんな煽りに、顔色一つ変えることなく次々と捌いていく幽雫くん。その雄姿を神野も賞賛(なんだこいつ)。
武装解除し、手荒なマネはしないからお嬢様に会わせてと懇願。神野にしては珍しいほど恭しい態度。
......が、あしのうら大好き幽雫くんの返答は当然NO!
幽「使い魔風情が戯言を抜かすなよ」
「我が主に目通り願うと言うのなら、貴様ごときでは役者が足りん——ここに今すぐ、甘粕を連れて来い」
神「ふはっ——」
「駄目だよ、全然笑えんねえ。君らごときが集まって、あの人に何か言えるとでも思ってるのかい」
「もういいや、潰してしまおう。君ら何も分かっちゃいないね!」
いつも遊び感覚の神野がマジに!
対する幽雫くん迎撃態勢をとるも——ここでやっとお嬢様がお気持ち表明。
「客人としてもてなせ」と幽雫くんへ厳命。すると一転して『おもてなしモード』に切り変える幽雫くん。こりゃ執事長ですわ。
鶴の一声にてレベルの高いバトルは終了し、六勢力の大物、辰宮百合香嬢お目見え。
一見清楚だが、『綺麗な花には棘がある』を地でいく少女。こういった種類の魔性さは、正田作品でも希少では。神野と対等以上に会話しているのもすごい。
さて、いくらか雑談を交わしたのち、話は本題へ。
神野の用件は「第六層から退去してほしい」というもの。
夢の世界はいくつかの層に分かれており、最深部は八層。四四八たちは前話で四層へ達し、五層はキーラちゃん、六層はお嬢様が幅をきかせているのが現状。神野の思惑は、四層へ下りてきた四四八たちのフォローを百合香一派に担ってほしいというもの。
百合香としても、後輩らを助けるのはやぶさかではないものの......問題点がひとつ。それは第七層を牛耳ってるヤバい存在について。
そもそも誰も最深部である八層に到達できないのは、ソレがいるせい。そいつに背中を曝して上へ向かうのは危険と判断した百合香は、交換条件としてソレの足止めをするよう提示。
同時刻、すでに行動開始していた聖十郎。
場所は件の七層。聖十郎をもってして余裕ゼロというのだからただごとではない:;(∩´﹏`∩);:。
そうして——
世にも恐ろしい「かごめかごめ」を奏でながら、六勢力最後の一人、百鬼空亡ご登場。
元は神聖な龍神だったが最上位の祟り神に堕ち、今作の圧倒的超えられない壁枠。
“これを斃すことは誰にも不可能”
“この場の聖十郎は言うまでもなく、狩摩、キーラ、百合香も含め、同じ八等指定を受けた神野でさえ百鬼空亡は打倒できない。質が違う”
地の文でも最強宣言。こりゃすげえわ。
“百鬼”の名前の通り、出現早々多数の妖を召喚。まとめて聖十郎に向かって突進してくるのだが、その理由が空亡から逃げるためというのだからとんでもない。進行方向にたまたま聖十郎がいるだけという、世にも奇妙な百鬼夜行。
猪突猛進してくる妖魔たちを捌きながら、聖十郎は手札を切る。
聖「力だけしか能がないか。まったく羨ましいとは思わんな。俺の言葉すら理解できまい」
「それが貴様の弱点だ」
まるで主人公かのような立ち振る舞い。
しかし続く行為は下種にも劣る鬼畜の所業。
その出自から、常に生贄を求めている空亡。よって聖十郎が下した結論は、本物と変わらない人形をクリエイトし空亡に差し出すこと。よりにもよって作った人形は......柊恵理子。
本人じゃないにせよ、空亡に無限に殺されていく様は見るに堪えない。ぶっちゃけドン引きである(; ・`д・´)。
てなわけで、主人公チームが爽やかに終わったのに、敵が真っ黒に塗りつぶしてくれた第3話。
特に聖十郎へのヘイトが半端じゃないので、さっさとカタルシスを得たい今日このごろ。
第四話→『相州戦神館學園 八命陣』第四話 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと