ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

小説『黒白のアヴェスターⅣ 堕天無慙楽土』感想

すべては壮大な前振り!!

 

story:魔王たちは次々と去り、善悪の世界はもうすぐ終焉を迎える。聖王スィリオスと魔王カイホスルーの同盟調印を前に、クインは世界の真実に触れるーー。

 

 

 

 

マグサリオンによる「“みんな”皆殺しの旅」ここに完結!!

まずは作者のお二方に深くお礼を申し上げます<m(__)m>。よくぞここまで書き上げてくださった......。

とにかくこの4巻を一言で語るなら、圧倒的な情報量!!!

最終巻ということですべての謎・伏線の回収にあたらなければならないため、それはそれは凄まじい密度だった。450ページじゃ足りねえよ(;´Д`)。

ただその甲斐あって、モヤモヤしていたところは見事にスッキリ。キッチリ理詰めで物語を埋めていくところはさすが14歳神。

 

それでもって“次”への導入も抜かりナシ。

てか、思った以上に突っ込んでいてちょっとビックリしたほど。まさか『PANTHEON』に関するワードまで出てくるとは、完全に予想外でした。

 

あとがきにもある通り、小説形式に不安を感じていた正田卿。読み手側としても、いくぶん恐れはあったものの、この4巻ではまったく不満を感じることはありませんでした。「ライター」という職業をなさってる方はすごいですね。脱帽です。

 

......まっ、それはそれとしてゲーム化はかなり楽しみだけどな!!!

YouTubeでキャラのPV見たら鳥肌たったぜ......全員声合いすぎなんだよ!!!

www.youtube.com

ここに与猶神のBGMまで加わったらいったいどうなってしまうのか......おそらくブログ主の身も心も”零”となることでしょう。

 

 

 

下の方でネタバレあり感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ここからネタバレあり

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書きたいことが多すぎて、何書けばいいかわからない問題。

いやマジで。ちょっといろいろ整理しながらだな。この最終巻は1章ごとに話が大きく動くから感想が大変(笑)。

 

まずは『幕間 神剣』から。

タイトル通り神剣についての正体と、ついでにナダレに関する設定が開示される章。どちらも“神の玩具”であり、だからこそ神に一矢報いたいと願う流れは、かの悪童を思い出す。実質この章が全てのプロローグ。

 

続いて『第一三章 ただ君だけが愛しくて』。

アルマが想い人相手にひたすら苦悩する章。健気すぎる彼女なわけだが、カイホスルーに惹かれていくのがよく分からなかったな。

……ブログ主がキモオタだから、とか言わないで。

 

第一四章 闇の翼

長えよ!!!

ホントにこの章は長かった。まぁカイホスルー、アカ・マナフと、魔王との2連戦が描かれてるから当然ちゃ当然。

んでもってそのカイホスルー戦が前座となってしまうくらい、後半の密度が凄かった。ナーキッドの正体とスィリオスの絶望、そしてワルフラーンという未知そのもの……。そこからあの結末は、感・涙。

この『黒白のアヴェスター』という作品の中で一番感動したかも。妹を笑わせたい兄、兄を独り占めしたい妹ーー超然としたあの兄妹の根っこにあったのは、そんな単純な想いそれだけ。ええ、ブログ主は見事に撃ち抜かれました。

 

第一五章 善悪流転』。

神の玩具であり、最後で最古の魔王ナダレとの決戦。

神座シリーズに共通して言えることだが、神に対して反抗を決意するシーンはいつも胸がすく思いになります。今章でもナダレが自信の渇望に気づき、マグサリオンに託して逝った流れはとてもシビれた!

 

そして『最終章 堕天無慙楽土』。

ラスボス……というより、裏ボスともいえるワルフラーンとの最終決戦。

「みんなの勇者」でもなく、「兄」でもなかった彼の正体は、真我ですら予期できなかった「完全なるイレギュラー」。神座シリーズでのイレギュラーといえば、どこぞのコズミック変質者だが、あれに比するレベルでヤバい奴だった。なんせ対“零”決戦兵器の役割も担ってたわけだし。

しかし、その真なる心情も、やはりコズミック変質者と同様、「みんなと同じ舞台に立ちたい」というもの。息子や親友に説教受けて更生する流れは、実に尊い。嫁共々活躍の日までラブっとけ。

そしてそして!神座シリーズにおける最重要情報も数々開陳!

【神座の代替わりは7回必要(というか前提)】

【アイオーンは“零”との決戦を目的として生み出された】

【そも神座とは、ナラカに抗するべく造られたシステム】

【真我が封じた感情は“怒り”。それが転じて神座では怒りが強さに変わる】

 

 

ん?真我?コイツ偉そうにしてるだけで中身螢と変わんねえだろ!好きになる要素しかねえわ。

 

 

これだけじゃ書きたりないので、以下主要キャラ雑感

 

 

クイン

勝利の功労者。正体は“神剣”という第一神座でもトップクラスの特別だった彼女。度々本人や彼女の仲間たちが発現していた“白の世界”はこれが原因。

少々複雑な出自で、実はいろんなキャラたちと繋がっているのがちょっと面白い。こんど整理してみようかな。

とにかく息子共々再登場が楽しみなキャラである。ブログ主的にはキミこそ主人公でした!お疲れ!

 

フェル&アーちゃん

今作一番イケメンだったのは彼&彼女。クインとの友情は真に尊い

 

アルマ

マグサリオンに抱かれ、カイホスルーと共に逝った、もしかしたら一番の勝ち組かも。

上でも書いたが、カイホスルーを好ましくなった流れがイマイチ要領を得ず。ブログ主は女性心を勉強しなければなりません(自戒)。

 

カイホスルー

覇道神に成りえた魔王。

義者から転墜、さらに心臓を持たずに生きてきた、という設定が明らかに。それゆえ流れ出る世界は、誰も死なず欲望に忠実な宇宙……なんだがデジャブを感じるぜ。

大物感を携えながら、愛する女性には真摯で、世界を変えようとしていたその姿は、作品が違ったら主人公であってもおかしくなかった。

 

スィリオス

はい、ぶっちぎりで大好きなキャラです。

誰よりも苦労を背負い込んできたのは一巻のころから読者の目にも明らか。稀代の才能を持ちながら自分を卑下し、親友を立てる在り方。愛を奪われながらも、妻を大事にした生涯。「誰も泣かない空を創る」という夢……これだけの要素があって、好きにならない奴はいねえだろ!!!!大好きだ!!!!

妹から真実を告げられ絶望し、そこから立ち直っていく姿は、誰がなんというと勇者そのものでした。

 

ナーキッド

当然おまえも好きだよ、この野郎!!

その正体は“みんなの勇者”。資格をワルフラーンに奪われた後も、舞台のキャストたらんと務め、第一四章でいざハッチャけタイムに。

そんな彼女の本音は、実に陳腐で子供らしく、だからこそまぎれもなく素敵なものだった。「お兄様が最初に手を伸ばしたのは私です。私が一番なんです―――私がお兄様の唯一無二!」

はぁ~~たまんね(恍惚)

ってか“零”への扉を開けるって地味にとんでもないことすんな。

 

アフラマズダ

第一神座の舞台装置筆頭。

ラスボスの一人を務め、クインにとって不倶戴天の敵認定されてたわけだが、この世界の最大の被害者という側面もあるのでどうにも憎めないキャラでした。

旦那と心を通わせることができなかったのが敗因だが、あんなとんでもない奴じゃ、しゃあないわ。

 

ナダレ=シータ

もう1人の舞台装置。

彼女がアフラマズダに発破をかけたことが、第一神座終わりのキッカケを作ったので、地味にMVP。

彼女の渇望は、神座世界を生きる上で非常にキマッていて最高。

マグサリオンに名前を明かすところは可愛すぎて、ブログ主無事昇天。

 

ズルワーン

ナラカの触覚。別枠での神の玩具。

正直彼に関しては描写不足じゃないかと。“観測者”という、シリーズの設定の根幹に関わっているため、メタ的に出番が抑えられていたか。

しかしながら、彼の最期のセリフは司狼信者のブログ主に大きなインパクトを与えていった。やはりトリックスター

 

ワルフラーン

あらゆる面で規格外だった奴。最終章にて、満を持して登場したときはそら盛り上がりましたよ。

パンテオンに関してかなり熟知しており......それどころか真我のスケジュールを繰り上げようとしていたのだから、劇中において完全に別次元のキャラだった。

そんな破天荒と超絶を体現した男だったけど、その内面は凡庸で、ただみんなと気持ちを共有したかっただけのさみしがり屋。それが分かると、ブログ主のコイツに関する評価も一変。

要するに、大好きなキャラってことだよこの野郎!!

“親友同士で殴りあい”ってのはどうしていつも心揺さぶられんのかなぁ。

 

真我

大物感と小物感が同居した変な奴。

神様という、正田作品において最大級の“格”持ちなのだが、「物事がうまくいたった試しがない」という、ベイみたいな宿業?を背負っていてなんだか可愛い(笑)。

明らかに苦労してそうな生涯なので、『事象地平戦線アーディティヤ』の書籍化が楽しみでならない。

 

 

マグサリオン

戒律厨。まさか魔王を全員殺すとはな......1巻のころは想像すらしてなかったよ。コウハの「ラインハルトは“戦争”、波旬は“災害”、無慙は”剣”」という表現は、偽りなしだったね。

......がブログ主は不満が一点。

それは無慙≒マグサリオンという点。

 

※ここからブログ主の愚痴っぽい感想になります。不快に感じる方がたくさんいらっしゃると思います、申し訳ございませんm(__)m

 

真我の思惑を超えるため、別格の覇道神になる必要があったマグサリオン。そんな彼が取った行動は、第一神座における覇道資質のキャラたちの人格を被ること。これを以て“無慙”という別キャラクターが誕生し、被ったみんなの祈りから、堕天無慙楽土が流出した......というのが『黒白のアヴェスター』の結末なのだが

納得いかねえ!!

 

これまで無慙という人物はシリーズ通して何度か登場し、その都度ブログ主の彼に抱く感想は変わっていった。

以下その変遷

 

初出の神咒「我と我が民たちは善ゆえに、縛る枷が無数にある。善では悪を打倒できぬ、故に我が民よ、巨悪を喰らう悪となれ」

( ゚Д゚)わお、なにこの爺ちゃん!なにこの設定!最高にアツいんだけど!!好き。

PANTHEONでグラ公開

(# ゚Д゚)な、なんだこのホストは、あぁ?爺ちゃんはどこいった!?あのかっこいい爺ちゃんはどうしたんだコラぁ!!!??こんなの認めねえぞオラぁ!

神なる座「俺は無慙。我が屍山血河の冥府魔道に、ただ一片の悔いもなし」

(; ・`д・´)......か、かっけぇぇ。無慙様、一生ついてきます(手のひらクルー)

アヴェスター「座に就いたのは彼であって彼に非ず。だから彼の評価はあてにならないよ」

は?

 

ブログ主は無慙(『神なる座』)のキャラクターがかなり好きだったので、今回あれがマグサリオンの個我じゃないと分かって非常にガッカリ(´・ω・`)

不敵な笑み、敵を一切許さない非情さ、悪の世を生み塩の光を待ち望んでいた『神なる座』の姿が非常に魅力的で、だからこそ『黒白のアヴェスター』でマグサリオンが殺戮魔道の先にアレに至ることを楽しみにしていたのに......。蓋を開けてみれば“外装人格”という斜め上。

他の覇道神たちが、しっかりとした自我を確立しているのを考えると、どうしても劣っているように見えてしまう。“不変”を貫くなら、みんなの皮じゃなく自身のまま座にすわってほしかった......というのがブログ主の率直な意見です。

ただ、あくまでブログ主が納得いってないだけで、物語の流れとしてはアレで正しいのだと思います。

 

 

 

.......とまぁ良いも悪いも長々と書いてしまいましたが、

総評すると、非常に満足!(^^)!。

特に七大魔王に関しては文句のつけようがない!相変わらず敵の方が魅力的なのは、正田卿の“不変”なのだろう!

 

最後に、

 

リアタイでこれに参加できなかったわけですが、ブログ主が3キャラ選ぶとしたら、

1位 スィリオス

2位 ナーキッド

3位 バフラヴァーン

......ですかね。

結局“家族愛”とか“バカ”とか、そういうシンプルなものにすこぶる弱いんですよわたしゃあ。

 

 

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