ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

『神咒神威神楽 曙之光』神世創生編 感想・中

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“戦乱は無限に続く。始まりの座がそうした理を生んだのだから、この宇宙に真なる平和は有り得ない”

 

 

覇吐による歴代厨二病患者(重篤)巡り。

夜行の方とは違い、こちらは純粋に座を獲った神々。

注目はやはりこれが初出となる第一・第二天か。

でもこいつらの説明は詐欺もいいところである。

 

 

ラストステージ淤能碁呂島には、先んじて冷泉&竜胆。

島内にはひとつだけ建築物があり、2人はその中へ。

その場所こそ、波旬が幽閉され同時に太極を流れ出した地。

 

射干った冷泉にもはや自我が残っているか怪しく、口にするのは「俺以外死ね」という神の意思。

その様に竜胆も苦い顔。東征下では信頼を置ける間柄になっていたからなおさらに。

本人に指摘するも、冷泉の態度は変わらず。

冷静さはむしろ健在で、竜胆の目論見を見抜いている。

冷「己が宿主を喰い殺す前に隔離しておき、その間隙に宿主と癒着した波旬(われ)を討つ。稚拙な理屈よ、しかしこれ以外に打つ手はない」

 「穴だらけ、陥穽まみれ、総て承知。それでも自分はやらねばならぬと、健気な想いは結構だが——

 「出来るつもりか、今の我に。天空覆う太極(ソラ)を前に

波旬の駒に過ぎないのにこの強キャラ感よ。中の人の演技力が良すぎるな。

 

たとえ無謀と言われても、竜胆は毅然とした態度でひるまない。

心細いはずなのに、それをおくびにも出さないのはさすがとしか。こちらも役者さんの演技が光る。

 

しかしながら、竜胆の捨て身の覚悟むなしく、覇吐は島へ向かってきている。

冷泉視点からすれば、鴨が葱を背負って来たようなものであり、竜胆が自滅因子としての役割を果たしているように思われてもしょうがない。

大笑した後、一閃。

冷泉(波旬)の本命は覇吐(畸形嚢腫)なので、竜胆はもはや用なし。

斬り伏せると、今度はその場に隠れていた紫織を看破。

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この組み合わせも珍しく、かつ非常に興味のあるマッチングなのだが、両者とも戦るべき相手を確と定めているため残念ながら戦闘にはならず。

煽り散らす冷泉公とは対称的に一言も口をきかない紫織が逆におっかないぜ......。

 

 

覇吐&宗次郎も無事淤能碁呂島に到着。

宗次郎は浜辺で紫織を待ち、覇吐は島の奥へ。

相変わらずの下ネタトークと朴念仁だが、今となっては謎の安心感すら感じるやりとり。

 

宗次郎と別れ、道中紫織と対話したのち、覇吐はいよいよ生まれ故郷たる堂内へ。

地下への階段を降りると、そこには紅白に色分けされた奇妙な部屋が(白黒じゃねえんだな)。

部屋の雰囲気は「遊びがない」というもの。

中央に鎮座されていたのは、お待ちかね第一神座の主。

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......顔ぜんぜん違くねえか?

ただそのおっぱいの大きさは思わず凝視しちゃう。マルグリットを除いて危うく恋をするところだった(;´・ω・)。

像をみた覇吐の感想は先と変わらず「遊びがない」。

“ただの女が祭り上げられ、そこから逃げられない己に絶望しながら心の奥で泣き叫んでいる。そしてそんな己を騙すことに全身全霊を集中している”

なんだか既視感を覚えるようなこの特徴。真っ先に思い浮かんだのは『Dies irae』の螢。

像の傍の碑文には詳細も記載されており、座をめぐる戦乱の中で追い込まれた彼女は自身の行いを正当化すべく「は?私が殺した奴、全員悪だから(`・ω・´)」と思い込むことに心血を注いだ。

『神なる座に列し伝わる救世主』だとそんな素振りみせなかったが、果たして......。

とにもかくにも、そんな想いが“座”により世界のルールとして顕現する。

正田卿が執筆中の『黒白のアヴェスター』(現在既刊2巻)で、その在り方がまざまざと露わになっているが......読んでる感想としては邪神の理おぞましいなんよなぁ......。

碑文の傍には殴り書きで“観測者”に関することが。

初見じゃ全然ピンとこなかったこの設定。まさかシリーズ全体のラスボスになろうとは......。

 

 

地下2階。

今度は部屋全体が真っ赤。先ほどの部屋の紅部分がそのまま残った感じ。

部屋の中央には、強そうな爺さんの像。

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果たしてこれは本当にマグサリオンなのだろうか?軍神然とした構えと、知性を感じさせる表情はどちらかというとスィリオス様の方が面影あるが......。

碑文によると“善側の王として生まれた”と記載。 

... 

......

......じゃあスィリオス様じゃねえか!!!

なぜに第二天として祀られてる?!

『神なる座に列し伝わる救世主』じゃ、確かにマグサリオンが第二天なのだが......?

この謎は保留ですね。『アヴェスター』がますます楽しみ。

さて碑文曰く、王は義者側だったため禁忌を犯すような悪者ムーブが出来ず、常に劣勢に立たされていた。

そんな理不尽に耐えきれなくなった彼は悪を以て巨悪を討つという思考に。

その渇望は第一天を凌駕。座を獲るに至る。

塗り替わった世界法則は堕天奈落。人々は心に無慙無愧の精神=原罪を宿し、世の中はヒャッハー。

それは、最も人に近い神座。

悪者の世界というわけではなく、みんなが本能で生きた世界。

覇吐も悪印象を抱くというわけではなく、どこか羨ましそう。まぁ性欲界紳士道も本能の世界だしな。

 

 

その下の部屋は、一転して純白。

汚れが無すぎて、逆に不気味。

像の男は第一天とは別の意味で「遊びがない」。

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先ほどまでの神らが戦神だったのに対し、こちらは学者の神。ソドム・ツォアルにおいてあまりにも異端だった科学者。

原罪が当たり前の世界に生まれたはずなのに、その原罪を許せないという特異な魂を持っていた。

故にそんなものを生み出した“王冠の独裁者”=神の打倒を目論む。そしてそれは自身が造りだした天使によって為される。

座へと至った彼が流れ出させた世界は、パラロスとは正反対。

人々から原罪どころか人間性すら失われ、争いとは無縁の世界が誕生。

結果的には第二天が望んだ世界となった。無慙としても最初から自身の消滅を織り込んでいたことが、『神なる座に列し伝わる救世主』で明らかになりましたね。

しかしこの神座、平和っちゃあ平和なんだろうけど......絶対つまらないよなぁ。

そこに住む人々は「生きてる」といえるのだろうか。性欲界紳士道に準ずる覇吐も、この法則には渋面。

 

 

さてさて続く地下4階は、おなじみあいつの部屋。

昏い青色で満たされており、閉塞感バツグン。

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う~ん、やせ細ってて荒事が苦手そうですね(棒)。 

その非凡さは碑文にも刻まれている。

これまでの座は、全て前神への不満から発生していたが、こいつは別。

どっから来たのかもよくわからないし、流出タイミングもイマイチ不明。

サタナイルからすればいきなり変なのが降って湧いてきたことになるので、たまったもんじゃなかったはず。

とにもかくにも、暗黒天体創造ぶっぱで座を獲った彼。

時間軸を操る術者だったため、単一宇宙だったはずが並行世界すら巻き込んで座を支配。

観測者もたぶんドン引きしてたんじゃないかな......。しかしさらにドン引きする事実はこのあと。

なんとこいつ、自身が生み出した法則に悩まされていた!

「デジャヴうぜーー!」と自死衝動に駆られていたところで、待っていたのは運命の出会い。

女神挺身追跡隊を急いで発足。彼女に殺されるように頑張って、でも辿りつくゴールは友との相討ち。

そして死の間際、流出中なのに再度流出を始めるという摩訶不思議。.....こいつ本当なんなんだ(笑)。

こんな感じで、実は歴代の中でもシャレにならない実力者だった前作ラスボス。

運命操作すら出来うる能力を持っていたのに、女神に逢いたいからって毎回限られたルートしか選んでこなかった。

この変態的までの純粋さ。その潔さを何でもっと上手に......。

覇吐の感想としては「こいつの宇宙に端役として登場する羽目になった奴は、堪ったものじゃないはずだ。俺も絶対ご免被る」というもの。

あらためて黒円卓連中には同情しかないね。

 

 

そんなわけで続く地下5階は、水銀の推しである黄昏部屋。

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はぁぁ~~やっぱマリィなんすわ(恍惚) 。

水銀脚本の舞台に立ち、蓮への愛・仲間たちの絆を縁に、求道神から覇道神へと変貌。

「フリン」というワードを以て水銀を撃破。その後は「生まれてくる命を見守りたい」という意思の下、輪廻転生の法則を流れ出す。

それは善悪問わず。誰しもいつか必ず救われるからという、どこまでも優しい祈り。

 

...

......

............だというのに............

 

『当代、いま我々を包んでいる黄昏という名の、なんともつまらない宇宙である』

 

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抱きしめる価値もない真性の塵どもの手によって、マリィの世界は崩壊した。

その時の悲劇を、まさに目の前で見ていた覇吐(畸形脳腫)としては遣る瀬無い。

覇「女神さんよ、あんた甘すぎんだよ!」

 「見ててくれ。仇はとるし、ケジメ絶対つけるから」

 

 

そして——運命の最下層。

ものの見事に真っ黒な部屋。

上品さなどというものは欠片もなく、汚物を掻きまわしたような醜悪さ。

第六天が開闢したと同時に碑文の作者も消滅したため、中央には何もない。

その代わり......従順な細胞たる冷泉様が、この座の説明をなさってくれる。

「三つ目」という特異体質で生まれたとある少年。

貧困街から人身売買され、流れ着いた先が邪宗門転輪王の花嫁』

神号を与えられ、即身仏としてこの地下深くに埋葬。

一見何から何まで不幸な生い立ちなのだが......肝心の少年は超絶ハッピーだった!

何者にも侵されない場所を手に入れ、後は唯一自分に触れている何かだけが許せない。

その赫怒は、邪宗門たちの思惑とはまったく別方向なれど、結果的に彼らが思い描いた通りの結末を生んだ——。

 

 

 

ということで、神座巡りはここまで。

初出となる設定が盛り沢山で、初見時のインパクトは半端じゃなかったですよ!

しかしながら真我・無慙に関しては、その後設定の変化が著しかったからか、この碑文はかなり「事実と歪まされて書かれた」ということになったが......真我に関しちゃ顔も別人じゃね?

神座ツアーの後は、波旬への恐怖を抑え込んだ覇吐がついに冷泉と対峙することに。

がんばれ覇吐負けるな覇吐。おまえの背には女神挺身追跡隊の無念も懸かってるんだからな。

 

 

石破ラブラブ天驚拳『神咒神威神楽 曙之光』神世創生編 感想・下 - ゆらりゆらりとゆらゆらと

 

 

出典元:www.light.gr.jp