小説『黒白のアヴェスターⅠ 凶戦士』 感想
正田節健在!
story:"善"と"悪"、2つに分けられた世界。絶えず戦争状態が続く中、悪の頂点に君臨する魔王より生まれた機械少女クイン。善として目覚めた彼女は同胞を勝利へと導くため、“奇跡”を探し始める——。
ゲームライターである正田崇氏とイラストレーターであるGユウスケ氏により卸された、正真正銘の厨二ノベル。
帯に書かれた『これは冥府魔道を行きながら、たった一人で殺戮の荒野に立つ男の軌跡』という一文。これだけで信者は悶死まちがいないだろう。
文体も今までのゲームを彷彿とさせる感じ。
なので正田氏の作品に触れている人であれば、すんなり受け入れられるもの。
さて、この作者の特徴として「味方より敵側の方が魅力的」という長所であり短所でもある癖がある(例.黒円卓、夜都賀波岐、神祇省、逆十字etc…)。
今作もまだ1巻ながら、ご多分に漏れず敵勢力のキャラがまぁ濃くて濃くて(*´꒳`*)
しかしさすがに反省したのか、味方側も個性あふれる魅力的なキャラが揃っている。安心したぜ。
………味方なのに敵みたいな奴がいるせいなのかもしれないが!!!
しかしもっと問題な癖は、むしろこちら。
「正田氏が描く作品はどれもこれも敵が強すぎ問題」
代表作である『Dies irae』『神咒神威神楽』『相州戦神館学園』では敵勢力が本当に次元違いの強さを誇っており「こんなんどうやって倒すんだよ……」とプレイする方が頭を抱えるぐらいそれは凄まじかった。
そしてこの『黒白のアヴェスター』でも、まったく同じ現象が起こっている!!
人間がメインの善側と比べて、敵は星とか……もうお察しである。
最後に本作を人に勧めるにあたって、避けては通れない議題が一つ。
「過去作をプレイするべきか否か」
結論から言うと、この1巻だけなら問題ない。
ところどころで過去作から続く単語がでてくるのだが、無視しても充分楽しめるレベルであると思う。
……ただまぁ行き着く先が先なので、プレイしておくに越したことはないのかも。
むしろ『黒白のアヴェスター』を最後まで読んだ上で、過去作に触れるか判断するのもいいのかも。
たぶん正田氏もその辺考慮してくれてるのでは(勝手な推測だけど)。
とまぁそんな感じで、歴戦の爪牙の方々はもちろん、初めて正田氏の作品に触れる方にもオススメなのは間違いない!!
下のほうでネタバレあり感想。
だから敵強くしすぎだって言ってんだろ!!!!
なんだよ、七大魔王はともかくとして特級ダエーワですらやべえじゃねえか!アホか!!
いやぁマジで主人公勢が勝つ未来がみえねえ。『Dies』みたいに同士討ち狙っていくしかなくね?それすらこの巻の最後で失敗におわっちゃったけど。
カイホスルーはなんか見た目通りだね。いいんじゃない悪のカリスマっぽくて。
フレデリカはなぁ……正田卿が出すロリキャラってだいたいロクなことにならないしなぁ。
今巻でもさっそくマグサリオンに細切れにされてたし(ノーダメだけど)。
主役勢はイイネ。すごくイイ。みんな好感もてる。
特にクイン。
設定だけきいてたらもっと無機質な感じかと思ってたけど、感情豊かでめちゃくちゃ常識人でとてもいい子。
……ただ正田卿の作品で「常識人である」ということは必然的に苦労人ポジということになるわけで。
…ご愁傷様。がんばれクイン、おれはめっちゃ好きだぞ。
マグサリオンは『PANTHEON』で既に顔は判明してるし、その内情も『神なる座に列し伝わる救世主』でヤバさは知っていたのでそこまでビックリするようなこともなく。
それと正田卿のこの発言
波旬でさえ一宗教のご本尊になるくらいには信者がいるけど、真我にはマジで一人たりとも支持者がおりません。
— 正田崇 (@masada_takashi) October 14, 2018
第一神座の連中は善も悪も残らず無慙の萌え豚なんで。
今のところ萌え豚の兆候があるのはクインとフレデリカ、あとアルマくらいなのだが、その内みんなマグサリオンにゾッコンになるのだろうか?
おそろしい話である。
あとは気になるキャラといえばナダレとズルワーンか。
ナダレは発言を切り取ると、ミトラの触覚なんじゃねえかなって気がするんだが……考えすぎか?
ズルワーンは相変わらずトリックスターというか、場の掻き回し的存在というか。いやはやこの系譜のキャラが出るだけで楽しい。はやくルネ山ボイスで聴かせろください。
最後に、小説の巻末には正田卿、G氏を支援している爪牙の皆様のお名前が。
こうして本を手にとれるのは作者の二柱はもちろんのこと、皆さまのおかげでもあります。
本当に頭が下がります。ありがとうございますm(_ _)m