「Dies irae Nihil difficile amanti」感想
“わたしはまだ、生きています。前を向いて、光の中、再びあなたに出逢いたいと願っていたから”
“ただの一人の女として、駆け抜けた刹那に追いついたと思いたい”
長きに渡って展開された「Dies irae」も、この追加ストーリーでついに完結。
元々はカップル投票の結果により作られたアフターストーリー。
玲愛先輩側のとってつけた感と、アンナ側の気合いの入れっぷり。
誰が真のヒロインなのか、はっきりわかんだね。
ベアトリスからの手紙でスタート。
しかしながら、短編はどれもこれもベアトリスの語りから始まってる気がする。どんだけ汎用性たかいんだこのわんわんおは。
エレオノーレの死はやはりこたえたらしく、長らく臥せっていた模様。
しかし、沈んだ心を立ち直らせたのも、やはりエレオノーレ。
ベ『ヴィッテンブルグ少佐はもういない。あの人ならこんなとき、前を向けと仰るでしょう。死者を抱きしめる者など反吐が出る』
『だから立って、顔を上げて、前を歩こうと思います』
本編内、特に玲愛ルートで顕著だった姐さんの矜持。
敵として出てきていたから、その時は嫌な感じにしか聞こえなかったが、改めて聞くとまた違った印象だ。
少なくとも、ベアトリスにとっては大きな救いになったのだろう。
再び前を向いた彼女は、同じ空の下で戦う同胞たちの道を照らす光にならんと決意。
「黒円卓の死神」と揶揄されたかつてとは違い、真の意味で「戦乙女」へと昇華された。かっこよすぎるぜ。
さて肝心の手紙のメインはズバリ、「ロートスの帰還」。
遺産管理局から前線へ自ら異動願いを出した彼。
原因はミハエル(あいつマジで......)。
随伴する形で、ロートスも戦地に赴くことに。
史実通りに活躍するミハエル。だが、英雄は常に激化する戦場へ送られるもの。そうすると彼に付いていくロートスも必然的に危険な場所へ......。
アンナからしてみればたまったもんじゃなかったろう。
手紙を読んだアンナは、迷わずダッシュ。
ホモ疑惑が深いバカを捕まえて、いざ一世一代の大勝負へ。
この一枚絵、言葉が出ねぇ......。
いつもなら「アンナちゃん可愛えええぇぇぇほげぇぇぇぇっ!!」と叫んでるところだが......この後の運命を知ってるもんだから、萌えるどころか泣きそうになってしまう。
BGMもよりにもよって何で「Odi et Amo」なんだよふざけんなよ胸が苦しいだろうが。
必死に迫るアンナだが、ロートスから出るのはミハエルの話ばかり。
わざとなのか何なのか知らんけど、アンナの話をはぐらかし過ぎて本気でイラっとくる。
強い軍人の象徴でもあったエレオノーレですら死んでしまう現実。
ロートスと次に会える保証なんてどこにもない。
ゆえに“今という刹那を大事にしたい”というアンナの真摯な願い。
だというのに、この野郎は……。
メンタリティがどうのこうのと、バカじゃねえのか!
自分を好いている女性(しかも美少女)がこんなに必死になってるのに、なんで本気で接してやらねえんだ理解ができん。これがロートスの個性と言われても承服しかねるわ。
精一杯頑張ってみるものの、アホが相手だと空回り。
意気消沈したアンナちゃんがポツリと漏らした一言は……
ア「わたし、ロートスの子供がほしいだけなのに」
ロ「へ?」
ア「え?」
ふぁっ?
敗北の坂を転がっている第三帝国。
一介の町娘であるアンナですら、その空気を感じている。
だからこそ次代へ。愛する人が生きた証を残したい。
それがアンナの望み。
ア「だからお願い、前を見させて。この今が大事だから......あんたを先まで、続けさせてあげたいの」
友人であるリザが体現したように。
いまこの時が、アンナの戦場。
その覚悟に、ロートスもようやくアンナの気持ちを受け入れる。
淡く微笑み、条件を二つ提示。
一つは、“子供ないしは孫を日本に住ませてほしい”。
蛇の世界から、“座”を超えて受け継がれる想い。
メルクリウスからラインハルトへ、彼からロートス、そして今アンナへ。
“理由は全然不明だし、いつになるかも分からないけど約束する”
“だって、あんたがそうまで日本に行きたいって言うんなら、この先どうなろうとそこでまた逢えるような気がするから”
んでもって、明示されるもう一つの条件は......
“リザの声真似で勃たせろ”
..........(*^-^*)。
ア「ぶっ殺すぞこのふにゃちんがああああぁぁぁっ!」
まぁこの2つ目はロートスなりの照れ隠しのような冗談なのだろう(デリカシー皆無だが)。
なんにせよ、この日ようやくアンナちゃんは星に手が届いたんだ。
そして現代。
『Zwei Wirklichkeit』から4年後。
無事ニートから花嫁にランクアップした玲愛先輩。
周りを囲むのは負けヒロイン日常のメンバーたち。
教師になった香純。
警官になった螢。
そしてお医者様になったエリー。
髪が伸びたエリーは似合っていてかわいいなぁ。司狼ともなんやかんや上手くいってるようで嬉しい。
香純もロングになってるんだけど......う~ん可愛いんだけどグッとはこなかったな。今どきの学生たちに悪戦苦闘してるようだけど、彼女なら問題無いだろう。指導者としての素質はマリィルートアフターで折り紙つきだ。
それにしても螢は相変わらず尖ったセンスしてるな。
おまえそんな身体のライン丸わかりなドレス着やがって......ありがとうございますっ!!!
蓮も玲愛もお互い“今を生きる”ということに関して誰よりも真摯。
ゆえに、ようやく結ばれる時が。
一方新郎側の方では、BBAに絡まれる若者の地獄絵図が展開されていた!
年寄りの昔話に付き合わされている戒兄さん......イケメンであるということはメリットだけじゃないんだな(戒め)。
ベ「ああ、でも、今のは減点一ですよ。私のことは、こう呼んでくれと言ったでしょう。ベアトリスって」
しかもこの婆さん、ガチである。
せまる兄さんの貞操の危機。なんとか蓮の横やりが間に合ってくれてホッ。
うん、とりあえずベアトリスは今世あきらめて、お互い次の転生先で結ばれればいいんじゃないかな。
この一連のアホなやりとりを薄目で眺めていたアンナさん。
先ほどまで夢に出てきていたロートス、そして今この場にいる蓮。
なにもかもが瓜二つで、アンナにとっては名状できないほど感慨深いもの。
これより始まる式。
ベアトリスの粋な計らいで、玲愛とは別に、アンナも蓮といっしょにバージンロードを歩くことに。
ほんっと、ベアトリスはいい奴だ。
あの日、挙げることができなかった結婚式。
アンナが蓮に素性を明かさないのは「今さら名乗り出る資格がない」というのもあるが、実は理由がもう一つ。
ア「わたし、幸せよ。夢だったの、これが」
瓜二つである蓮を前に、あの日の自分が、あの日の彼を前にしてるのだと思いたかったから。
あの日伸ばした手が、勇気が、ここに結実したのだと感じたかったから。
差し出された手を取り——70年の時を超えて、アンナは誓いの言葉を。
ア「愛してるわ、ロートス」
キャラ雑感
玲愛
永いときを超えてようやく花嫁衣裳に身を包んだ玲愛先輩。先輩ファンはやっと報われたな。
でもストーリー的には完全に真ヒロインに喰われている!!
ベアトリス
影の功労者。
アンナと蓮の出逢いを導いた、まさに道を照らす光。
その友情と愛情に胸があったかくなる。
だから若い子食べちゃっても許されるよね?!!
彼女と戒の間に、もはや「腐食の祝福」は存在しない。
ロートス=蓮
刹那を愛する斬首官とその末裔。
アンナの気持ちに応えたはいいものの、そのまま帰らぬ人になってんじゃねえよ......。そこは全力で帰ってこいよ馬鹿野郎......。
しかしだからこそ、“2度目”の出逢いに感極まったのも間違いないのだけれど。
ノリがイマイチ不快に感じるロートスより、苦労人で根がマジメな蓮の方がやっぱり好きかな。
女神が包む地平で、人として幸せに!!
ルサルカ=アンナ
突如ヒロインレースに躍り出て、そのままエンディングを掻っ攫っていた大勝利の人。
カップル投票でも、中間発表の段階からすでに1位の座を獲っていたため、その人気は言わずもがな。
こうして声と音楽が付いたことにより、なおのこと愛しい存在に。
後付け最高!おまえこそ至高の刹那だ!!