“俺達は互いの目を見て、しかし誰に言うともなくそんな言葉を吐いていた”
“まるで自戒するように。これでいい。これでいいのだと”
これにて歌劇は終幕。
ロートスの言葉は、現実社会を生きる我々全ての人間をも勇気づけてくれる。
満たされない欲望、不条理なアクシデント......それらどうしようもないものに振り回されながらも、それでも今日を一生懸命に生きましょう!
アクタ・エスト・ファーブラ!!
女神の新世界が始まるその刹那、“超越の物語”の残滓が漂う。
停止したその空間で、踊る2組のペア。
黄金と玲愛、水銀とマリィ。
これよりこのメンバーで行われる大反省会。
双首領はともかく姫様2人はどっからその衣装調達してきたんだ...?
特にマリィよ、そのスリットは駄目だ。シンプルにエロい。水銀もブログ主も天に召されてしまう。
ラ「卿らの勝ちだ」
「愛い子だ、テレジア。その勇気に敬意を表し、礼を言おう。私は満たされたよ、負けを認める。不満がないわけでもないがね、しかしこの身は救われた」
粛々と、寂びた声で語る閣下。
いやぁ文句なしの名演だ。
新規BGM「Amantes amentes」も演出にぴったり。
既知世界が終わるため、それぞれの人生もやり直し。
現実のラインハルトは、再び大戦下のドイツへ。
そして玲愛は現代の日本へと還ることに。
ゆえにこれが最後の邂逅。
玲愛は決戦の顛末を尋ねる。
それは勝者の権利。敗者の義務を弁えている黄金は誇るように話し出す。
それは同じ空間にいる水銀も同様。
ダンスの相手であるマリィへ、自身の敗因を語る。
きっかけは「マリィvs三騎士」。
あの段階で脚本のズレに「ヤバいヤバい」と焦っている中、女神が何でもするなんて哀訴するもんだから、決めていた方針を破ってついつい舞台に干渉してしまった。
トドメに司狼を唆したのが最大のミス。
蓮と衝突する様は、まさしく自身と黄金の激突の暗示。
う~ん、手をだしたことが悉く裏目にでてるなぁ。らしくないような、実にらしいような...(笑)。
メルクリウスはマリィが絡むと一気に人間臭くなるもんな。
神格たる蓮もその気になればこの空間に出てこれるものの、女神の新世界を信じているため野暮なことはせず。
メ「私が言えた義理でもないだろうが、引き篭もるのが好きなことだよ。負け惜しみとして、これくらいの悪態は叩いてもよかろう」
よくねえよ。
さて、ここで様々なタネ明かし。
水銀の保有する魂は膨大(神座始まって以来、初の並行宇宙にまで手を出したガチもんの変態)なため、いかに獣の総軍といえど本来なら手も足も出ないはず。
それがいい勝負どころか相打ちにまでもっていけたのは、ラインハルトが死にたがりなメルが生み出した“自滅因子”であったため。
さらに突っ込むと、黄金の存在は水銀ありきのため、ラインハルトが勝利したとしても結局双方消滅してしまうという......。
そも、メルクリウスの法則最大の悩みどころであった“既知感”。
なぜ事前に予測できない仕組みになっているのかと思えば、「マリィと出逢うという楽しみを前もって知りたくないから」というもの。
......
......自業自得やんけ!!!
どこまでもマリィ第一だな。
さすが挺身追跡隊名誉会長だ。格が違う、愛が違う。
事情を全て知り、その上で玲愛とマリィは同時に一つの問いをぶつける。
「藤井蓮が相手なら勝てたか?」
この質問に、
ラ「私は負けんよ」 メ「私は負けんよ」
マ「やっぱりあなた、一度けちょんけちょんにされた方がいいと思うな」
玲「私のお婿さんは手強いですよ。血筋なんか全然気にしないんだから」
とまぁ、本人がいないところでよくもまあ(笑)。
マジメな話、三つ巴は無視してもタイマン勝負のやりとりだと正田氏が以前一問一答した通り。
マジで相性がモノをいうよな正田作品って。
消えゆく二柱。
今度は彼らから質問。
“藤井蓮”という存在はメルクリウスありきのモノ。
基の存在は第二次大戦下の人物。
ゆえに新世界で出会えないかもしれない。
どうするのか————?
玲「信じているから」 マ「信じているから」
女神の世界には無限の可能性がある。
もう繰り返されるということはない。
だから、信じていればまたみんなと出会える日が必ず来る——と。
その眩しい返答に膝を折る旧神たち。
ならばその祈りの手助けをしたいと、メルクリウスは唯一無二の友へ。
メ「なあ、おまえはどう思うハイドリヒ」
ラ「ああ、異論はないよカール」
キャラ雑感 Ⅰ
マリィ
こちらのルートでも無事新世界を抱きしめることに成功しました。やったね!
しかし三騎士と正面きって戦りあうとか、自身のルートより身体はってなかったか?すごいぜマリィ。
あなたに恋をした、花よ。
※以下ブログ主の愚痴 不快に思われるかもしれません 飛ばしてOKです。
いつかの記事でも書かせていただいたが、この作品、収録の関係で演技のブレ幅がひどく、その最たるがマリィ。
玲愛ルートのマリィはマジでスラスラ喋りまくっていて前ルートとは別キャラじゃないのか?ってくらい違和感がすごいものに。
かと思えば、その延長線である三つ巴やこのエピローグでは再びゆったりとした話し方に戻っている。
演技指導とかやらねえのかlightは?
獣殿の「妙(みょう)なる」もネタにされてっけど、本来ならアレも駄目だろNGだろ録りなおさせろよ。
“怒りの日事件”のインパクトがでかすぎるせいで細かいところを許しがちになってしまいそうだが、やっぱり良くないと思う(倒産して今さら言っても仕方ないが)。
断っておくが、マリィが悪いとかそういうことでは決してない!
そんなことは天地ひっくりかえってもあり得ない。
当然榊原ゆいさんが悪いなんてこともない。
lightが悪い。
メルクリウス
女神の手に抱かれて逝った、ハッピーエンドをつかんだ男。
その規格外な強さも存分にみせてくれて“変態ニート”の二つ名に偽りなしでしたね。
女神から目を背けたことが、結果的に女神に抱かれることにつながるとは…。そりゃ今までできなかったわけだ。
現代。
教会の一室にて目を覚ます玲愛。
周りには呑んだくれて死屍累々な司狼、香純、エリー、そして螢。
なぜなら玲愛の誕生日。
死しか感じえなかった既知世界とはえらい違いだ。
何気に香純との関係性もはっきり再従姉妹に。
香純のこと「綾瀬さん」から「香純ちゃん」呼びになっているのがとても新鮮だ。
とりあえず目が覚めてすぐ司狼に絡むあたり、前世のもろもろがDNAに刻まれてるな(笑)。
司狼の司狼が3倍に膨れ上がる危機だった。
いつも通りのメンバー。
だけど、誰かがいない。そんな違和感が離れない玲愛。
5人は、教会の裏で眠る曾祖母リザの墓参りに。
顔も声も、どんな人だったのかも知らない。
それでも運命的な何かがあることを確信する。
“RIZA BRENNER 1915〜1945——これが、私の知る曾祖母(リザ)の総て”
“だけどここに来るたびに感じてしまう。有り得ないはずの思い出が、脳裏をいくつも過ぎっていくのだ”
“彼女の声を。彼女の顔を。そして温かさを忘れていない。ああ、私は覚えているよと、胸の中で祈るように繰り返している”
それぞれリザにあれやこれや好き勝手な願いごとを頼む。
螢が諫めるも、リザの笑顔が見えたようで微笑む玲愛。
だから、玲愛も一つ願い事を。
この日常に欠けている、宝石のような何か。
玲「私のお婿さんを捜して、リザ」
熊本に行くのはもう少し先。
キャラ雑感 Ⅱ
玲愛
新世界に包まれ、ゾーネンキントという呪縛から解放された先輩。
ダウナーな性格はその呪われた出自のせいかと思っていたけど、どうやら関係なかったらしい...。いや、いくぶんか明るくなってるか。良いことだ。
誕生日を祝おう、フローエ・ヴァイナハテン!!
1939年12月25日。
ラインハルト・ハイドリヒSS中将はドイツ遺産局を訪れる。
ホールで読書中の青年に局長の居場所を尋ねる。
青年はめんどくさいという確固たる意志の下、適当にあしらう。
......やれやれ系かよ。
だが、さすがに獣殿の圧に耐えきれなくなり顔を上げるを得ない青年。閣下、さすがです。
不在の局長に代わり、ラインハルトは彼に質問。
ラ「カール・クラフトを知っているかね?」
本人に出会ったものの、コレジャナイ感がものすごかったらしく思わず青年に聞いてしまう。
続けて自身が抱える悩みも。
ラ「見てはおらぬ、聞いてもおらぬ、事実そのようなことはないというに、ふと思うのだよ。そんなことがあったはずだと」
「私は正気だよ。そう思っている。いや、そう思いたいがゆえの足掻きかな。我ながら、女々しい限りではあるが」
そんな嘆き、常人では理解できない苦悩に......だが、訊かれた彼は自然と口を開く。
まるで、最初からそれを伝えたかったかのように。
ロ「あんたは正気だよ」
「俺達は現実に生きている。良いこともあれば悪いこともあるし、満たされない夢を抱えて飢えてもいるさ」
「だけど、それが人間だろう?」
「俺達は永遠になれない刹那だ。どれだけ憧れて求めても、幻想にはなれないんだよ」
その言葉に、ラインハルト・ハイドリヒは救われる。
飽いていればいい、飢えていればいい。
閃光のままで良いのだと。
自分を救ってくれた男——ロートス・ライヒハートに感謝を述べる。
ロートスの背景。それは死刑執行人として、最も多くの処刑を行ったヨハン・ライヒハート、その一族。
蓮がマリィと親和性が高かったのも、彼の血筋ゆえ。
お互い別れを告げ、蛇vs獣ルートではラインハルトから、三つ巴ルートではロートスの方から日本へ渡る旨を。
女神の抱擁、マリィに包まれていることに安堵して「Acta est Fabula」は終劇する。
キャラ雑感 Ⅲ
ラインハルト
友との友諠を経て、人として生きていくことを選んだハイドリヒ卿。
大物感が最後まで薄れることがなかったのはさすが。
メルとのタイマンも、三つ巴も、作中の誰よりも活き活きしすぎていてこわい(笑)
結局この人が主人公だったのかもしれない。
ロートス
刹那を愛した男。
「Acta est Fabula」は彼の一言で幕を閉じる分、印象に残りやすいキャラ。
三つ巴や玲愛アフターなどで描写も増えたが、こいつもかなりの厨二病でびびる。
「蓮より大人」という正田卿の談だが、そうだろうか?なかなかいい勝負してる気がする。
まぁ要は、蓮の個我にふさわしいってことよ!!
Zwei Wirklchkeit→Dies irae Zwei Wirklichkeit 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと