「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterXⅢ 感想Ⅱ
“触れ合える喜びを教えてくれたあなた”
“わたしを包んで、愛してくれたあなた”
“レンに貰った宝物で、あなたの総てを抱きしめたい”
マリィルート完。
蓮たちの戦いとその結末のすばらしさに、ただただ平服するしかない。
ああ正田卿、あなたは美しい。
ついに流出を果たした黄金と刹那。
激しくぶつかり合う地獄と超越。
あのラインハルトと拮抗しているというだけで感涙ものだ。
人の人生を奪って楽しいかと糾弾する蓮に対し、おいしいおいしいだからもっと寄越せと豪語するラインハルトは正真正銘の悪魔。
「戦争」を法則とするだけあって、争いを全肯定。
自らこそが人類の渇望であり、祝福だと直言してはばからない黄金。
人の世から争いは無くならないのだから、我が世界に渦巻けばいいと、その論説にどこか納得してしまいそうになる。
しかしそんな迷えるブログ主なんぞとは違い、蓮は真っ向から否定。
その人の日常を、陽だまりを奪う権利は誰にもないのだと。なぜなら世界は穏やかに安らげる日々を願っているから。
“愛する刹那よ永遠に”という蓮だからこそ揺るがない答え。
やっぱすげえよ蓮。
戦闘も激化。
ラインハルトはお得意の“髑髏の軍勢”を召喚。
エレオノーレも同じようなことをやっていたが、ラインハルトが呼び出すは戦車100輌、万の銃剣と、数と規模が文字通りケタ違い。
本当に1人で戦争やってるよ......。
それでもってその攻撃を1人で捌いている蓮もやばい。
座興はここまでと、黄金ついに愛する部下たちの創造を解禁。
これぞ“怒りの日”の真骨頂“軍勢変生”。
発現される“死森の薔薇騎士”&“拷問城の食人影”。
ドレイン効果とストップを同時に使用とか初っ端からえげつないコンボだ。
ただ、「このデバフ能力はやっぱ好きじゃねえわ」とボソっとディスる黄金閣下。ヴィルヘルムほんと報われねえ(笑)。
しかし“軍勢変生”を揮えるのは、蓮も同じ。
蓮だって独りじゃない。
“なあおまえら、このラストバトルで俺とマリィにだけ美味しいところ取られていいのかよ”
“そんな気ないよな?だったら——”
蓮「一緒にぶっ倒すぞォッ!」
蓮の絆(レギオン)が加勢。
その勇姿、ラインハルトも「美しい......」と漏らすほど。
黄金は“戦雷の聖剣”があることに注目していたが、個人的にはバラバラに砕けたはずの“緋々色金”が復活していることに驚きだ。
蓮、おまえそんなこともできんのかよ...!
続けて“雷速剣舞・戦姫変生”も発現。
“聖遺物を揮う聖遺物”という二つ名に偽りなし。
この一連の流れにテンション爆上げの獣殿。
あろうことか、姐さんの心のポエムを読み上げてしまう!!
“我は輝きに焼かれる者。届かぬ星を追い続ける者”
“届かぬゆえに其は尊く、尊いがゆえに離れたくない。追おう、追い続けよう何処までも。我は御身の胸で焼かれたい——逃げ場なき焔の世界”
いったい何の罰ゲームだこれは。
超越補正が入った戦乙女は、焦熱地獄と拮抗。
“激痛の剣”を抜けた先、シュライバーの創造により加速の入った槍の一閃すら、無理やり停止。
流出位階に突入した蓮は本当につおい......!
お互い切れる手札が無くなり戦いはシンプルな、脳筋のぶつかり合いに。
しかしこれこそラインハルトが長年望んだもの。
胸のトキメキを声を大にして叫ぶ。
そんなはっちゃけすぎな父さまのノリに、ついていけなくなっていくイザーク。
イザークのバックアップは、城の出力を全開にするのに必要不可欠なのだが、逸る黄金は息子にすら容赦なし。
広がらない産道など要らぬと、城の心臓たるイザークを弾き飛ばす。
イ「父様......」
「あなたまで、私を疎ましいと仰るのか......」
誰からも愛されなかった少年の最期。
このルートのイザークの救われなさは胸に残る...。
産道の消滅により、爆発的に広がる黄金の地獄。
負けじと停止の世界も拡大していく。
覇道神同士の鬩ぎ合いにより、ついに2人は黄昏の浜辺“特異点”に突入。
待ち構えていたのはもう1人の覇道神、メルクリウス。実にウッキウキでお出迎え。
ここは聖地だから汚すなよと、両者に流出の展開を禁止。一番汚してるのは誰なのか......。
最終決着直前の凪。
ラインハルトは盟友に感謝を述べる。
未知、全力、神殺し、望んだ総てを達成できたと。
ラ「ただ......」
「私がもっと早くに気付いていたら、卿と直接矛を交えていただろう。その機を逸したのが、残念といえば残念だ」
むしろ最初に疑ってかかるべきだろ!と突っ込みたくなるが、そこはまぁ水銀がうまいことボカシてきたのだろう。親友に殺されるのはちゃぶ台まっしぐらコースだからな。
親友2人の最強決定戦は持ち越し。
蓮はマリィを(あろうことか変態の下へ)残し、一人で黄金とケリを着けに。
「邪神の理おぞましい」と、マリィ以外の覇道神は自身含め残らず退場すべきだと決死の覚悟。
その眼差しに黄金も 、螢ルートのように蓮を否定することはせず。
その想いごと呑み込んでやろうと、いざ最期の一合。
現世、教室で目覚める香純。
全ての状況を把握できたわけではない、それでも彼女は屋上へ駆ける。
また皆と会う、それが蚊帳の外に置かれてきた太陽の願いだから。
“たとえ誰もいなくたって構わない。だったらあたしはそこに立って、声の限りに叫ぶんだ”
“迷ってるならお願い、あたしを目印に——”
香「あたしはここにいるからっ!」
マリィは水銀と対峙。
那由多の時を懸けて望んだ終わりがすぐそこだからか、水銀の声音が今まで以上に優しい。
神座システムの設定も開陳。
“流れ出した法則は止められず、塗り替えるには他の法則で上書きするしかない”
なんにせよ残るのはただ一人。
黄金の世界は当然認められず、蓮の世界は蓮自身が否定する。
そして現在の神は死を希求している。
マリィが座につく以外道がなく、完全にメルクリウスの思い描いた筋書き通りに。
女神の斬首の手が伸び、積年の望みが果たされるまさにその瞬間。恍惚とした表情でうっかりマリィの本当の願いを口にしてしまう。
メ「君にとって真実の渇望はね」
「抱きしめたい——だよ」
次元の狭間を揺蕩う玲愛。
閉じていた目を開き、塞いでいた耳を澄まし、噤んでいた声を上げる。
イザークを救えなかったことを悔やみ、これ以上後悔しないために、玲愛は想いを力に——。
蓮の刃はラインハルトの首を断ち切るに至らず。
マリィへの未練が枷になったか、蓮一人では黄金には届かず。
ラ「興醒めとは、言わん」
「ああ、今こそ言おう。怒りの日、来たれり」
総てを呑み込もうと哄笑する黄金。
蓮はマリィへ新世界を捧げるため、最期の死力を尽くす決意。
そう、蓮一人では届かない。
しかし、蓮は、独りじゃない。
司「だから——」
エ「あんたは——」
螢「そんなことばっかり——」
玲「死んじゃやだよ、藤井君」
~In a shade and darkness~
神曲「Shade And Darkness」と共に、クライマックスが疾走する。
玲愛は最後の踏ん張りで、諏訪原市民80万人の魂を解放。
その影響はラインハルトに甚大。
斬首の刃が、確実に首を断ち切っていく。
敗因はイザークを蔑ろにしたことだと告げ、玲愛は死と引き換えに自身の勝利を奉じる。
己が渇望をついに自覚したマリィもまた、答えをだす。
メルクリウスへ伸ばした手を引っ込め、究極の変態に究極の一言を。
マ「フリンなんだよ。いけないんだからね」
“だからあなたには触りません”
“本当に抱きしめたい人は、別にいるから”
水・銀・玉・砕
くっそざまあぁぁぁあぁああーーーーm9(^Д^)wwwwww。
仲間たちの助力を借りて、蓮は見事ラインハルトを斬首。
死にゆく黄金、しかしその格が落ちるということはまったくなく。
蓮達の勝利、そして絆を喝采。
ラ「我らの敗北が真に絶対のものであったと、卿らは示して見せなければならない」
それこそ勝者の義務だと残し、最強の敗者は輝かしい新世界に溶けていった。
その表情は、全力を出し切った少年のように眩しく。
多くの犠牲の上に、勝利を掴んだ蓮。
マリィと熱く抱擁。
しかし2人とも胸に抱く想いを口にせず。
特に死を決心している蓮は、マリィとの別れを嘆きつつもその幸せを願う胸中がつらい。
そして仲間たちとの約束を果たすため。ほんの刹那展開される“超越の物語”。
屋上での打ち上げ、さあ、
目覚めてさっそくイチャつく主人公カップルがたまらねえ!!
相変わらずマリィの膝枕CGは神々しいし、ご褒美のチューのくだりは幸せすぎてつらい!!!!
そんな2人のやりとりをはやし立てるレギオンたちは言うに及ばず最高さ!!!
螢の「がっつきすぎ。性獣みたい」は(その後の司狼のマネも含めて)思わず吹き出してしまったよ笑。
和気藹々とした団欒の画。
そうさ、この日常こそが至高の宝石なんだ。
蓮が目覚める前に戒とベアトリスもいたらしいんだが、帰っちゃったのが実に実にもったいない!
ノリが悪いよ、それこそ十年来のツレみたいに混ざってけよあのバカップルよぉーーー。
そして流れの中で始まる独断と偏見に満ちた表彰式。
まず技能賞は司狼&エリー。あのシュライバー相手によく粘ったもんだ。
次に敢闘賞は螢。うん、ボコられっぱなしのこのルートまじで頑張ったと思うよ。
殊勲賞は玲愛先輩。一発逆転できたのは先輩のおかげだったしね。
残念賞優秀賞は香純。待ってくれている人がいるってのはいいものです。
だけど、楽しい時間はあっという間に。
香純を先に帰し、次いで他のメンバーたちもその姿が霞んでいき......。
司「あばよ、喧嘩はおまえの勝ちでいいわ」
エ「いい経験したから後悔してないし」
玲「私初めて、生まれて良かったって思ったよ」
螢「本当にありがとう。あなたに会えてよかった」
......なんだよこいつら......全員最高かよ...クソが...。
仲間たちの気持ちに応えるように、最優秀賞の蓮とマリィは、互いの胸の内を吐露。
学校に行かせてやりたい、外の世界に触れさせたいと、自分が死ぬことでマリィを自由にさせようとしていた蓮。
しかし我らがマリィの女神力は、好きな男を死なせるようなそんなチャチなものでは断じてなかった!
マ「わたしの中から流れる心は、抱きしめたいっていう願い」
「だから、レンはいなくなったりしない。わたしがあなたを包むから」
いつも、いつでも傍にいる。そう言い残し、流れ始める新世界。
“時よ止まれ、君は誰よりもキレイだから”
“俺は生きていくよ。また再び”
“君が永遠に包んでくれる、陽だまりの中で”
メ「つまり、私だけが彼女の愛から外されたということになる」
エピローグ、そこには大失恋をかましたメルクリウスの姿が!!メシウマだぜ!!!
マリィの生まれ故郷を訪れたら、まさかの鉢合わせとは...。
さすが挺身追跡隊隊長だ、レベルが高えぜ。
すっかり背後霊と化した水銀。
離れる間際、蓮へ“ツァラトゥストラ”の真実を教えようかと囁く。
その個我、かつて幻想にはなれないと口にした刹那の斬首官。
その名——。
しかし蓮はその誘いを一蹴。
教えたがってそうだから嫌だ、という理由が実に痛快で心地いい。
このルートの水銀は蓮に完敗といっていいね。
そんな恋敵である息子へ去り際「女神とまた逢えるかもね」と残し、メルクリウスは本当に去る。
最後まで彼らしくウザったく、しかし女神には真摯なその口調で。
蓮はその言葉から“輪廻転生”を想起。
“もしもこの世界がそういう創りになっていたらと仮定して、その場合はまた皆と会えるかな?”
そう独りごちた、その時。
“——蓮”
“いいね。それ”
始まったばかりの新世界。蓮はその明るい未来を思い描く。
“すべての想いに巡り来る祝福を”
キャラ雑感
蓮
文句ナシの主人公。
愛する人、そして仲間たちの力を得て、強大な悪を討ち倒すという王道ながらもこれ以上ないほど胸を熱くさせてくれた。
自身の法則がロクでもないものであると自覚できているところも素晴らしい(水銀が意図したものではあるが)。その心はどこまでも愛する女神のため。
やっぱり俺はこのルートの蓮が一番好きだ。
マリィ
全世界があなたに恋をした、花よ。
その輝きで、愛する人を高みへと導いた女神。
誰にも触れず、触れられなかった彼女の願いが「抱きしめたい」だなんて……。どこまで泣かせりゃ気がすむんだよ。
歴代神座の中で、彼女ほど愛に満ちた神様はいないだろう。あぁ間違いない、君は誰よりも美しい。
香純
全滅ルートの中で、蓮を除き唯一生き残ったレギオン。
仲間たちの帰る場所を示したその姿は、まるで道を照らす戦乙女のよう。
そんな彼女はこの後、誰にもマネできないような大役を果たす。
螢
よくエレオノーレに勝ったなおまえ。
というか格上相手にあれだけ舌戦をできるなら、もっと早い段階で仲間になっといてくれよ。
マリィが「フリン」を覚えるキッカケになったので、割と重要人物なんだよな笑。
幸薄い少女も、最後に最愛の騎士2人に会えて良かった。
玲愛
主人公勢の逆転大勝利の一翼を担った先輩。
司狼が言う通り、この人いなきゃ詰んでた。
メメモリを乗り越えた先輩のメンタルは、マジで作中最強クラスといっても過言ではないのでは?
イザークとまともにお喋りできなかった分は次ルートへ持ち越し。
司狼
打ち上げを盛り上げてくれた人その1。
このルートでは“自滅因子”としての印象は薄く、蓮との親友感がいい意味でフラットに見ることができて良かった。
なるべくこの2人の悲しいところは見たくないんですよ。
あとvsシュライバー戦は、どうしてもvsヴィルヘルム戦には及ばなかったね。やはりヤンキー対決こそが至高。
エリー
打ち上げを盛り上げてくれた人その2。
表彰式での厨二発言は地味に好き。正田色がめちゃくちゃ強かったね笑。
シュライバー戦では形成状態で参戦したけど、強さ的にはどのくらいなのかイマイチ分からなかったのが残念。いっそのことエリーも創造位階にしちゃえばいいんだ。
登場シーンはメチャクチャ少ないのに、その生まれの哀しさ、そしてラストの悲しさから、かなり印象深い。
玲愛と同じ声優さんと知ったときは、開いた口がふさがらなかったよ。
ラインハルト
念願だった“既知を超え、全力を出す”という望みがようやく叶ったね。
最期までその強さ、カリスマ、不敵さが衰えず、まさにラスボスとして相応しい存在。
そんなラスボスも、次ルートでは主人公として覚醒してしまう。
全世界グラズヘイム化も見てみたい気も...。
メルクリウス
筋書き通りに話が進んでいったが、最後の最後にヒロインのアドリブによりエンディングが書き換えられた、悲劇の脚本家。
しかしヒロインがやることは全て容認。
どころかさすがは女神だと、その世界・存在を守る宣言まで。死にたがりだった性格まで矯正してしまうなんて、さすがマリィ。
彼の芝居は未だ終わらない。
新世界へ捧げた超越の物語→「Dies irae Omnia vincit Amor」感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと