「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterXⅢ-α 感想
“愛しい総て、わたしは永遠に見守りたい”
いわゆる三つ巴ルート。
「Amantes amentes」最大の売りの一つ。散見される神咒との関係性に思わずニヤついてしまう。
至高の天に爪牙たちが歓喜したことだろう。
開幕、視点はまさかのマキナ、もといミハエル・ヴィットマン。
時は1944年。第二次大戦下のベルリン。
うぉいっ!?ロートスの立ち絵ぇ!!!
さっそく未知をみせてくれるじゃねえかヽ(・∀・)ノ 。
戦場を共にしている2人。
今回(ミハエルが)勲章を受け取るために一時帰国、いわば英雄の凱旋。
史実でも生涯で「戦車138輌・対戦車砲132門撃破」と、戦史に詳しくないブログ主でもわかるやばさ。そら英雄だわ......。
さてさて、実際の人となりは知らないが、Dies世界のミハエルはそうした英雄扱いにも錆びた考え。
ロートス曰く“根暗に積極的”な性格。実に的を射ている気がするな。さすが兄弟。
一方ロートス。その喋り方を聞いていると、正田卿の言う通り彼と蓮は微妙に正確が異なるのがよくわかる。
ロートスの方がフランクで、冗談めいたことも能動的に話す感じ。
「Acta est Fabula」じゃエピローグぐらいでしか出番がなかったから、その辺判然としなかったんだよな。改めて追加してくれて地味にうれしい一幕。
とまあ、そんな彼なので、ミハエルとの相性もバツグン。
戦争に引っ張られて後ろ向きな英雄を、彼なりの論理で諭す。
そんなロートスの確立された在り方に、ミハエルは問う。
ミ「おまえは、何を抱いて立っている?」
ロ「簡単さ」
「この今が好きなんだよ」
この答え、まさしく蓮の個我。
青臭く、夢見がちな主張だとこぼすミハエル。だが同時に“自分を持っている”ロートスを羨ましくも思う。
そんな旧い記憶から戻ってくるマキナと蓮。現在“特異点”まで潜航してる最中。
先のベルリンでのやりとりが蛇の目に留まったことがロートスとミハエル、ひいては蓮とマキナの悲劇の始まり。
戦火の中で息絶えた両者、待っていたのは天国どころか地獄の蠱毒。
この辺りの詳細はドラマCD「Todestag Verloren」っすかね。
※ブログ主、未聴
そんなこんなで、もうすぐ行われる獣と蛇の頂上戦争。双首領の同士討ちこそ、蓮と玲愛が目論んだ必勝の策。
——だがマキナはそれに「待った」をかける。
マ「本当に、おまえはそのやり方で構わないのか?」
こ、こいつ……せっかく先輩がここまで積み上げてきたことにケチつけてきやがった…。( ´△`)
流出は一度発動させてしまったら特段の理由がない限りノンストップなのが、基本的な性質。それゆえ幻想になることを望まない蓮としては、やはりこのまま静観しておきたいところ。
蓮「なんでも一人で片付けるなんて息巻いてても、駄目なんだよ。それを俺は自覚した」
親友が気付かせてくれたことを無為にはできないと口にする蓮。めちゃくちゃ正論なのだが、実質ルートヒロインなマキナは諦めない。
「水銀の死=藤井蓮の消滅」という可能性。その懸念を抱いたままでいいのか?と煽る。
裏ルートでは“マリィを信じる”ということで片付けたが、マキナが提示した答えはもっと脳筋。
マ「戦えよ、そして勝ち取れ。お膳立ては整っている。あくまで、かつてのように己の存在を確信しているのなら、そこに残る真実があるはずだ」
水銀に与えられた諸々を突き返してやれと、彼らしい言葉で説く。
潜航が終わり城に引き戻される刹那、マキナは旧友へ最後の願いを。
マ「名を呼んでくれ、戦友(カメラード)。それによってこの俺も、確固たる己を取り戻し……真実、解放されると信じている」
そして蓮はアルフヘイムで目を覚ます。
側にいた玲愛は、蓮の心変わりをいち早く察して、そらもう不機嫌に。
戦る気マンマンな蓮に、なんなのバカなの死ぬの?とイライラ(笑)。
そんな先輩を説得する蓮。
曰く、「水銀を消してもなお、自分は氷室玲愛を愛している(黄金に引っ張られていない)ことを証明する」。
多少異なるが、考え方としてはトリファといっしょ。それ蓮が自ら出張る必要なくないか?と思ったら、先輩も同じこと言ってくれてよかった。
が、結局蓮に押し切られる。
玲「キミは何気に、あれだよね。実際のところ一番ヒロイン属性だったりしちゃうよね。男にばっかり、よくモテる」
「しかも結構、異常な域で。それ友情なのって言いたくなる濃さ」
「俺があいつを助けてやる。俺が相棒。いいや俺が一番あいつのことを分かってる。とか、むさいやりとり展開地獄が発動するんだ」
ユーザーみんなが思っていたことを、公式が認めた瞬間である。……しかし蓮が人気なのは本当その通りなんだよな。Diesに留まらず神咒でも東征軍(主に覇吐)からモテモテだし。
それにしても、彼氏がよりにもよって間男に唆されるとは……先輩が不憫でならないぜ(笑)。
話を聴いていたイザークも、第3勢力になる蓮の乱入を容認。黄金も喜ぶと、どこまでも父を第一とした考え。
だが、それだけで終わらず。
玲愛とヨハン、そしてリザを愛していることを告げ、一足先に父の下へ出陣する。子宮など要らぬと、玲愛を戦場から遠ざける家族愛を示して(泣ける)。
そして、蓮も続く。
愛の証明を手に入れるため、という珍しくド直球な臭い理由で。
場面は閃光であったラインハルトと、檻に繋がれた詐欺師の邂逅シーン。
詐欺師の中から突如として現れた断頭刃に貫かれるラインハルト。刃を押し進めながら、「脚本家に不満があるんだろう」と語りかける蓮。
一方、急な代替の登場に喜ぶ水銀。「望みの敵手が来たよ」と囁く。
異なる2つの呼びかけに、黄金は前者に頷き、後者を否定する。
“私に宛てがうと言って用意した強敵が、己の代替品であるという時点からすでに滅びの兆しは見えていたのだ”
“気付いてほしかったのだろう?ずっと待っていたのだろう?完璧十全に拵えた脚本を裏では破壊してほしいと強く強く、切に狂おしく渇望して——”
黄金の主人公ムーブが始まる。
裏ルートではこの後、蛇との壮絶なタイマンが繰り広げられるが、こちらでは本当の主人公が牙を研いでいる!
目覚めた黄金の一閃と同時に揮われるのは、鮮烈な斬首の刃。
狙いは全ての元凶たる“座”の蛇へ——。
メ「……ああ。ついに、私の自滅因子(アポトーシス)が発現したか」
今 ここに目覚めた 真紅の影を讃えよう
契約は交わされ 悦び 狂喜 蝕む
そう、君の手で……
全てよ 還れ
……正直ね、正直、玲愛ルートからの三つ巴って否定的だったんですよブログ主は。
っていうのも、これは蓮自身さんざん言ってたことだけど「一人でなんでも背負ってはいけない」というのが彼にとって最大の啓示であったと思うんですこの玲愛ルートは。
司狼という蓮の裏側がそれを示したことにより、蓮は“戦う”という選択肢を封じ、結果大団円を迎えることができたのが「Dies irae」という作品だと思っていて。
なので、“蓮が自ら最終決戦に臨む”というこのシチュは正田氏がファンの声に応えたものであるというのは重々承知してたんですが……それでもここまで進めていくうちはあまり良い気がしなかったんですよね……。
まぁ、それも榊原ゆい神の「Jubilus」が流れた瞬間すべて吹っ飛んだんですがね!!!!
あんなイケボが聴こえてきたら、誰だって正気じゃいられねえわ!!!
なにより“刹那”となった蓮のその姿よ!
夜刀を彷彿とさせるヴィジュアル。
二柱と対になるような赤銅色。
“今ここに目覚めた真紅の影”という曲の一節にどハマりすぎて、もうたまったもんじゃない!
こちとら何度も絶頂に達してますよ、ええ!!!
蓮「待ちかねただろう。ここに誓いを果たしてやる」
「カール・クラフト」
「ラインハルト・ハイドリヒ」
「今から俺が望み通り、絶命という未知(死)をくれてやる!」
待ちかねたのはこれを期待していた爪牙のみんなの方だろう。
喝采せよ、礼讃せよ、これすなわち正田(てん)の意志。
蓮の背後に広がるは、神咒で追加された設定“随神相”。蓮のそれは、巨大な歯車。
得物もギロチンから、時計の針を模した処刑刀へ変化。
あぁ〜かっけぇ。Gユウスケ氏はホントどこまでも仕事がハンパじゃねえな。
蓮が言葉にせずとも発する意志に、ラインハルトも呼応。それは“既知世界の終焉”。
それに応える座の蛇は——。
メ「私はこんな展開など望んでいない」
「未知を求めた。それのみを願った。その果てに筋書きを外れたならば、確かに是と言えるのかもしれんがね」
「だが、違うのだよ。座にある私は否と告げる。ああ嫌だ。認めない。このような終わりなど許せない」
引きこもってる場合じゃねえと、そそくさと舞台に上がる。
その内心は、許せないと言ったように怒っているのかと思っていたら……
メ「だというのに、私はおまえたちが狂おしく愛おしい!!」
相反する思いを両立させて立つ。
……こいつ、ほんとにめんどくせえな(−_−;)。
そしてこの状況に誰よりも喜んでいるのはラインハルト。魔軍の長は敵手が増えたことを喜んで受け入れる。至高の戦場が生まれたことに、声が震えているのがヤバい。
最終戦争、いざ開戦。
初手はラインハルト。
繰り出す攻撃は“Longinus Dreizehn Orden”
つまり聖槍十三騎士団の総攻撃。
……ん?そう、こうげき…?
初っ端ぶっぱする技じゃねえだろ、それ。ふつうの作品だったら最終奥義クラスのやつじゃねえか。
ラ「おお、身が震える。魂が叫ぶ。これが歓喜か、これが恐怖か、私は今、生きているッ!」
「至高の天はここにあり!」
……おまけにめっちゃ喜んでるよ…もう手がつけられねえ。
そんな黄金閣下は自滅因子という特性上、攻撃はすべて“水銀キラー”が乗る。“座”からみれば塵芥にも満たないといわれる総軍突撃(それもおかしな話なんだが)も、メルクリウスには大ダメージ。
二柱がいい勝負になる一方、魂の保有量で遅れをとる蓮。唯一のアドバンテージは“時間”なのだが、水銀のマップ兵器ならぬ広域な範囲攻撃に対処しきれず。
戦場を一人見守るマリィ。
蓮が玲愛を選んだことに、思うところはあれど、それでも心を獲得できたことに幸せを感じる(やっぱ女神がNO.1なのよ)。
この決戦の中で自壊しつつある黄金へ、思わず手を伸ばす。……マリィが自らラインハルトへ向かうなんて、なんだか新鮮で不思議な気分だ。友達と壊し合うことが幸福だなんておかしいよ、と。マリィの言ってることはもっともすぎる。
だが、闘争が本質なラインハルトにはそんな常識は当てはまらない。壊すことでしか愛を感じ得ない哀しい存在なのだが、黄金は一顧だにしない。
ただこの戦いに心の底から没頭するのみ。
ラ「ここにまみえた友らを抱こう。砕け散るほどに愛させてくれ」
「共にこの宇宙で謳いあげよう、大いなる祝福を」
「フローエ・ヴァイナハテン!」
そんな友のテンションにメルクリウスも引っ張られる。
その結果、力関係が完全に「水銀=黄金<蓮」の図式に。
水銀新技“グランドクロス”お披露目。
どこかできいたことあるなと思ったら、アレだ、FF9のペプシマンの攻撃だ!アレも対策しないと理不尽極まりないいやらしい攻撃だったな……。
ボロクソにされながらも“その時”を待つ蓮。
一気呵成に終わらせんと、黄金は幕引きの祈りを謳いあげる。
——待ちかねた瞬間の到来。
蓮「そうだ、おまえを待っていた」
「来い、ミハエル——!」
「司狼、おまえもだ!帰って来い!」
この接触に、グラズヘイム内で緊急会議が。
蓮の呼びかけに、目が覚める何人かの面々。
玲愛ルートで、蓮に対してキツイ当たり方をした螢を慰める戒兄さん。
その声音はどこまでも優しい。
戒「僕も一緒に謝ってあげるから、さあほら、おいで」
螢「うん、うん......」
一緒に行こうと、まず櫻井兄妹。
次いでベアトリス、そしてリザが。
ベ「そういうことです、ヴィッテンブルグ少佐。私は行かせていただきます。たとえ道を違えても、あなたのことは忘れません。またいつか、何処かで会えると信じています」
リ「イザーク、あなたがそこを選ぶなら何も言わない」
「ただ、玲愛に言われたことを忘れないで。そして私も……愛しているわ」
さらに、ベアトリスから厳しい視線を向けられるトリファも、蓮側を選択。
そして割と繋がりがあるのにどうにも発言権の弱いルサルカもおそるおそる手をあげて——。
そんなハチャメチャなメンバーをまとめあげるのは、ハチャメチャが代名詞なトリックスター!
司「一丁派手に、最後の花火をあげようじゃねえかァッ!」
誇らしげに宣誓し、黒円卓メンバーを悉く掻っ攫う!
集った蓮の絆(レギオン)。
軍勢変生により、それぞれ戦闘能力が飛躍的に上昇(神父は知らん)。
その最たるは、司狼。
現実を真面目に生きていない幻想たちを糾弾するように揮われる“マリグナント・チューマー・アポトーシス”。対象を自壊させる、その効果は絶大。
負けじとマキナも、その拳で“グランドクロス”をかち割っていく。
この反則的な両雄とレギオンたちのおかげで、蓮の劣勢は覆される。
蓮のバックで意気揚々な相方2人。玲愛先輩の危惧していたことが、ものの見事に具現化されてる(笑)。
無間大紅蓮地獄の躍進。
兵を奪われた黄金は——大喝采(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎。
戦場を彩る全てを愛するラインハルトは、どこまでもそのカリスマ性が落ちることがない。
そして対である水銀も、この未知に心を震わせる。
“踊れ——あまねく万象、女神を主演とした舞台装置。我が脚本に舞う演者なり。さあ、今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めよう”
時間回帰を渇望とするメルクリウスらしい技がようやく披露。
第三天を基に、水銀が手を加えた恐るべき攻撃。
満を持して放たれたわけだが、受けた黄金と蓮は耐えるどころかこの一撃から水銀の本質を見抜いてしまう。
蓮「おまえの渇望、その真実は……」
ラ「ただ、己も舞台に上がりたかった」
そう思わせる節はいたるところにあったよね。登場人物たちに干渉しまくってて、演技指導の域は完全に超えてたし。
告げられた言葉を吟味し、図星だったか含み笑う脚本家。
戦争もいよいよ大詰め。
メルクリウスは最後に、自分が消えた後の各々の身の振り方を尋ねる。
本当にこの結末でよいのか——?
真っ先に応えるのは、蓮。
邪神の理おぞましいと、自らは神の器ではないことを告げ水銀からの脱却を望む。
蓮「恵んでもらった力振るって、それに縋ってなきゃ生きていけない情けない男には、なりたくなんかないんだよ」
「たとえその果てに、自分が自分でなくなっても......それは死じゃない。負けじゃないんだ」
ただ一人の人間として、本当の自分を勝ちとるのだと誇らしげに宣言する蓮。清廉だ。
眩しい回答に、尋ねた水銀も満足。さすがは女神に見初められたわけであると。
しかしここでそんな自分自身に疑問が。
“どうして自らの代替なら、マリィと結ばれると思ったのか”
「自分の血が混ぜればいけると思った...。お?これって自分こそが女神にふさわしいってことじゃね?キャっ、はずかしい(*´ω`*)」と勝手に悶える変態。
ってか犯罪者まがいのことしてる奴が今さら照れてんじゃねえぞおい。
そしてラインハルトもまた、この先に訪れるであろう結末に異議など唱えない。
ただ破壊の愛を贈るのみ。
自滅因子などではなく、唯一の友として。
そんな盟友の言葉に感謝しつつ、歌劇「Dies irae」は終幕へ。
始終を見届ける女神。
三柱それぞれが掲げる祈りは違えど、その眩しさは間違いなく至上のもの。
それゆえに、マリィは全てを抱きしめることに躊躇いはない——。
“あらゆる祈り(アイ)は綺麗事じゃすまされない”
“だけどだからこそ、それは尊く......何にも勝る輝きである”
“すべての想いに——巡り来る祝福を”
Amantes,amentes——Omnia vincit Amor
決着がつき、蓮は本当の現実に還っていく。
そこに恐怖は感じるも、後悔は一つもない。
蓮「ありがとう、司狼、ミハエル......そして他の奴らも、ここでひとまずお別れだ。いずれまた新世界で会おう」
そして、ここまで付き合ってくれた女神にも最大級の感謝を述べる。
——瞬間、蓮の脳裏を過ぎる在りし日の自分。
刹那を愛しオデュッセウスを謳う姿に納得し、消えゆく間際、蓮は愛する彼女へ自身の勝利を報告する。
キャラ雑感
蓮
三つ巴お疲れ!!!
彼女よりも友達の言葉を優先させちゃう辺り、おまえはもういろいろおしまいだ、そりゃホモ認定されますよ!!
とまぁ冗談はともかく、自身の存在証明を懸けた戦いは実に素晴らしいものだった。
夜都賀波岐の雛形も見れたし、神咒を意識した作りは満足です!
マキナ
三つ巴ルートの正ヒロイン。
蓮との聖戦が終わって満足したのかと思ったら、誑かして決戦にまでもっていくその手腕。
司狼との“親友合戦”含めてマジ笑える。
マジメな話、自分の名前を取り戻し、怨敵たる獣と蛇を戦友と共に討ち果たすことができて、真実安らかな終焉を迎えられたことだろう。
EPILOGUE→「Dies irae ~Amantes amentes~」EPILOGUE 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと