ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterXⅢ-Ω 感想

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“あなたに恋をした”

“あなたに跪かせていただきたい、花よ”

 

 

偉大なる歌劇のクライマックス。

蛇と獣の怪獣バトルの章。 

いつから蓮が主人公だと思っていた?

 

 

 

 

微睡みから目覚めるラインハルト。

そこは1939年のゲシュタポ

ラインハルトがまだ“閃光”であった頃。

“生まれ落ちてより何事にも不感、熱を感じたことなど皆無。笑みさえも冷笑しかない”

ただ与えられた仕事をこなすのみだった中将時代。

厨二病の気配は感じられるものの、今ほど重篤ではなかった……。

 

夢で見た、魔軍を率いていた自分の姿に苦笑する。

そこに、入室してきた部下から報告。

内容は「総統暗殺未遂事件が起こり、なんか変な奴を捕まえたから見てほしい」というもの。

 

 

牢屋に行ってみると、ハイハイいました変な奴。

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トーク内容は「Die Morgendammerng」と同様。

「Dies irae Die Morgendammerung」感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと

枯れ果てた詐欺師は、獣の“渇き”を指摘。

既知感の嵐がラインハルトを襲うも、たる彼は詐欺師の甘言を悉く否定。

ラ「殴れば斃れ、撃たれれば死ぬ。人はそうであるべきだ」

 「総て野垂れ死ぬ。ならば私も、かく野垂れ死ねばいい」

 「飽いていればいい、飢えていればよかろう」

地獄を引き連れる魔軍の長、そんなものに興味はないのだと。

壊される前の獣殿はこれほどにまともだったのかと、びっくりせずにはいられない。

しかし、壊す側の詐欺師は誘惑を止めない。

 

すると、突如詐欺師の首がすげ替えり、断頭の刃がラインハルトを一突き!!

蓮「おまえはここで死ぬべきだった」

玲「黄金の獣になんて、なるべきじゃなかった」

水銀と入れ替わって現れた蓮。そして響く玲愛の声。

2人とも、昔の黄金がまともな感性を持っていたことに驚きつつも安堵。

そしてだからこそ、こんな詐欺師と会うべきではなかったと嘆く。

哀愁の込もった2人の言葉に、状況はよく分からずともこのまま死を受け入れようとする。殴れば斃れ、撃たれれば死ぬ......先に語ったように、それこそが人の定め。

……でもやっぱりあいつが邪魔をする!

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おまえがこんなちっぽけなことで死ぬわきゃないだろ?と嬉々として囁く。

受け入れようとしていた死。だが連続する詐欺師の言葉に、否定しきれない感情が徐々に鎌首をもたげていく。

 

自分が何者なのか——。

何を願って生まれてきたのか——。

 

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ラ「私はまだ何もしていない」

 「本当は総てを愛してやりたかったのに、愛するには万物総て脆すぎたから」

 「ならば、我が愛は破壊の慕情。愛でるためにまずは壊そう」

 「総てを愛そう。例外はない。その平等を与えぬことこそ、蔑ろにしている証明そのものではないか」

 

例外はない。その言葉通りに黄金の獣は、愛を与えていなかった唯一へと迫る。

覚醒したラインハルトの圧により、蓮と玲愛は空間からはじき出される。

ここに主人公交代のお知らせ。

ロンギヌスを構え、友へ全霊の一撃を——。

 

 

メ「……ああ。ついに、私の自滅因子(アポトーシス)が発現したか」

 

 

 

流れる「ΩEwigkeit」。

蓮が終曲を発動した時より、はるかに圧倒する緊張感。

これまでの世界線が渦を巻き、ついに最強のニートが立ち上がる!!

 

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都市一つ吹き飛ばす黄金の一閃を、宇宙規模の蛇の外殻が受け止める。

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もはや「学園伝奇オペラ」という肩書が完全に消え去った瞬間である。

SFとファンタジーの超融合の間違いだろ?

しかし、展開が爆上がりすぎて、テンションが全く追いつかねえ。

逆に素面になってまう(笑)。

 

ラ「許せよ、カール。私は知らず卿を蔑ろにしていたらしい。出会ったときからその望みを無視していた。ならば今こそ叶えよう」

——さあ、未知(死)を与えよう”

自滅因子として活動を開始するラインハルト。

蓮と司狼の衝突を目にし、自分たちに必要なものもソレだと気付いた。

「全力の発露・その先の未知」という願いも、メルクリウス相手ならば叶えられる。

さらに“格上に挑む”という生涯初の試みが、戦争の権化たる黄金の戦意を高めていく。

息子のイザークもやる気マンマン。

マリィルートにはなかった様々な補正が加わり、“怒りの日”の出力は史上最高潮に。

 

思いの丈をぶつけられたメルクリウス。

諦観と妄執に囚われ続けてきた生涯。そんな中、唯一の友が死を与えてくれるという。

希っていた生の終焉……しかし蛇の深奥はこれを拒絶。“まだ諦めたくない・こんな結末は認められない”という切なる想い。

狂える第四天の座が、その意思を発露する。

 

メ「まだ死ぬわけにはいかんのだ」

 「ここで斃れる終わりなど認めん」

 

“Et arma et verba vulnerant Et arma”

“Fortuna amicos conciliat inopia amicos probat Exempla”

“Levis est fortuna id cito reposcit quod dedit aznar”

“Non solum fortuna ipsa est caeca sed etiam eos caecos facit quos semper adiuvat”

“Misce stultitiam consiliis brevem dulce est desipere in loc”

“Ede bibe lude post mortem nulla voluptas”

 

“生と死の刹那に——未知の結末を見る”

  Vive memor mortis——Acta est fabula

 

 

落ちる流星一つ一つが、ラインハルトの総軍と相当。めちゃくちゃだよぉ……。

 

そして怒涛の水銀煽りタイム。

「もう邪魔だからオメーはもう要らねえぞハイドリヒww」

「パパに愛されたかったのw?可愛いねぇイザークww創った甲斐があったわwww」

「ベイ、マレウス、キミらそんなに英雄ごっこが好きなのぉ?そういう年頃ぉ?可愛いなぁwww」

「おいおいベアトリス、グラズヘイムに照らせる光があるとでも思ってんのwww亡霊は死んどけってww」

「カイン共の絶望?笑わせんなwwこっちの絶望と比べればおまえらのなんざゴミ屑以下だわ」

 

……なるほど、こりゃ嫌われるわ!!

 

 

ラ「卿にとっては万象悉くが塵芥であろうが。雑魂で我らを殺れると思うなよ。結束が違う。愛が違う」

 

王の言葉通り、猛る黒円卓の面々。

人生を弄んできた蛇へ、いざ意趣返しの時。

最初に躍り出るはルサルカ。泥に引きずりこんだ張本人を前に、その渇望をフルに発動。

続くヴィルヘルム。自身の長年の夢であった、獣の軍による蛇の踏破に打ち震える。

軍勢変生により強化された彼らの束縛と吸生。

……だが、効果が感じられるどころか、水銀は何事もなかったかのように超新星爆発をぶっぱする!!

第三天・明星を滅却せしめたその威力。

あのラインハルトが絶叫。

黄金の必死な声を聞くときがこようとは……。

 

そんな黄金の危機に、当然応えるのが紅蓮の赤騎士。

永劫追いかけたい・抱かれたいという熱を最大限に帯びた“激痛の剣”

その愛は、超新星爆発とご、互角……?!!

すげえぜ姐さん!!!

 

追撃する水銀。続く技は“グレート・アトラクター”

 

Q.グレート・アトラクターって何ぞ?

A.グレート・アトラクターは、近傍宇宙の大規模構造の一つであり、いくつかの銀河および銀河団の特異運動からその存在が予測されている銀河間空間内の重力異常である。 Wikipediaより

 

……ふぅ〜ん、なんかよく分かんねえけど、とりあえずアレだな。メルクリウスってやっぱアタマおかしいな(結論)。

 

敬愛する騎士のピンチ。誰よりも速く駆けつけるは戦乙女。

未来を信じて発動する“戦姫変生”

さらにそこから導かれるように現れる櫻井一族。

憤怒を帯びた屍兵たちの憎しみは強い。

 

一連の黒円卓ラッシュ。どれもこれも直撃してるのだが、なんの痛痒も感じない水銀。

渦巻く感情は、果てしない嘆きと絶望。

メ「私の宝石に捧げる愛を愚弄するのか。笑止、儚すぎて抱きしめたくなるよ」

その言葉に激怒するのは、螢。

自身の宝石を奪われ、道を潰され、迷って、血に塗れてきた彼女だからこそ、先の発言が許せない。

 

盤面は依然として水銀優勢。

もうおしまい?と煽る蛇に、迫る最速の獣。

さらに、その後ろから幕引きの拳がメルの全ての技を打ち砕く。マキナはほんとバランスブレイカーやな……。

 

水銀の胸中は複雑。

“失敗した”という思いとは別に、この状況を楽しんでいる自分もいる。

形容できない気持ちのままに、“暗黒天体創造”を発動。

 

Q.暗黒天体創造って何ぞ?

A.知らね。正田に聞け。

 

生まれた世界を間違えたのだと、常に渇いていたラインハルト。

しかし、その絶望を壊してくれた友に最大級の感謝を。

ラ「私は今——生きているッ!」

 「ゆえに滅びろ。勝つのは私だ!」

 「新世界の開闢に散る花となれッ!」

 

自身の始まりが分からず、終わりも見えなかったメルクリウス。

しかし、ようやくその円環にゴールを見出してくれた友に感謝を。

メ「私は今——生きているッ!」

 「ゆえに滅びろ。勝つのは私だ!」

 「女神の地平を生む礎となれッ!」

 

 

第四天頂上決戦が行われている裏で、蓮と玲愛は弾き出された空間で反省会。

これが最善だったと半ば強引に納得する2人。 

蓮「......まあ、この手で決着つけられなかったのは悔しいけど、しょうがない」

 「別に、全部一人で片付けられるヒーローなんかじゃないから、俺。悪い癖は、いい加減に直さないと」

他ならぬ司狼が気づかせてくれたこと。

結果的に「他人本願」な作戦になってしまったあたり、やはり蓮はメルクリウスの息子だなぁ。

そのまま玲愛と共に事態の終息を待っていると、イザークがそこに。

ここまでは共同戦線の形になっていたものの、獣と蛇がぶつかり始めた段階で協力する必要がなくなってしまった。

イザークは父の勝利を願い、蓮側は双首領の共倒れを望む。ゆえに相いれない。

イザークと戦うか、撤退か。

蓮がどう踏み切ろうか躊躇していると、

 

玲「ねえ、私達と来ない、イザーク?」

 

 「だってあなたは、私のお祖父ちゃんなんだもの」

 

玲愛は、イザークと一緒に生きたいと告白。

そりゃあ…そうだよな……。だって家族なんだもんな……。リザもトリファも逝ってしまったのだから、残った最後の身内なんだもんな……。

 

玲愛の切実なる哀訴。

しかし、イザーク「くだらない」とその誘いを一蹴。

玲愛のその、黄金の継嗣らしからぬ頭の足りなさ、そして黄金の継嗣らしい身勝手さに嘆息した彼の表情は——。

 

 

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おっふ

 

イ「私は総てを愛している」

 「ゆえに」

 「無論、おまえを愛しているよ。その道に幸あれ、テレジア」

 

おっふ

 

イ「ヨハンも、母様も、私は憎んでなどいない。愛している」

 「家族、なのだからな」

 

↓昇天したブログ主

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これ、ちょ、やべえっすわ反則っすわなにその笑顔、なにそのセリフ、なにその優しい声音もう無理まぢむり。

Walhal」が流れるタイミングも完璧ですわ、ごちそうさまです。

 

機械的な口調で理屈をつけ、蓮たちを見逃すイザーク

それはあくまで表面上。

孫たちの幸せ、そして父と共にあることを誇りに、イザークは大切な人の下へ進軍する。

 

行ってしまった祖父を思い、咽び泣く玲愛。

唇を噛み締めているCGが、とても胸にくる。

結局、何もかも取りこぼしてしまった。

オマケに黄金と水銀の決着すら不明瞭。

不安に包まれる玲愛を、蓮はギュっと抱きしめる。

口にするのは明るい未来。

結婚して、熊本行って、いっしょに温泉入って——。

絶対離さない、信じようと、2人はここにいない黄昏の少女を想う。

 

 

——そして蛇と獣の頂上決戦も決着が。

空間を揺蕩うボロボロの水銀。

地の文からして、両者の暴れっぷりは“座”を粉々にするというとんでもないものに…。

しかしここまできて、水銀はこの結末すら既知の範疇であることを悟る。

それどころか、この瞬間こそが既知のスタート地点であるという最悪の事実に気付く。

どんな選択、どのルートを辿ってもこの地点に戻ってくる。そしてまたやり直し。以後ループ。

八方塞がりな現実に嘆いていると、勝手に始まってしまう回帰の法。

哀れ......どれだけ自分の法則に縛られているんだ、こいつは……。

メ「何処にいる、ハイドリヒ。今のうちに私を殺さねば、元の木阿弥だぞ」

 「私を破壊するのだろう。破壊してくれよ。自分では死ねない」

 「ゆえに、なあ、頼む友よ。早く私を……」

心からの嘆願。

しかし返ってくる声はない。

 

もう辞めようと、心が折れてしまえばそこで永劫回帰も終わるのだが、残念なことにその法則を垂れ流してる本人は宇宙一諦めが悪い。

何度ループを重ねても“もう一度、もう一回だけ”という思いが止められない。

理想のエンディングに辿りつくため、永劫を永劫倍繰り返してきた水銀は、再び回帰に身を沈めようとするが——。

 

 

神である彼に、生涯初の未知が。

 

 

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マ「なぁに、わたしが来たらいけなかった?」

 「わたし、あなたに怒ってるんだから」


 

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あのメルクリウスがしどもろどろに。

やっぱりマリィがNO.1ってハッキリわかんだね。

 

愛想を尽かして黄昏の浜辺に帰ったと思われていたマリィ。

だが、実際は違った。

奪われる悲しみや傷つく痛みを知ったマリィは、“抱きしめたい”という自身の渇望に辿りつく。

もうこれ以上思い通りにはさせないとプンプンなマリィに、しかし水銀が流すのは——喜びの涙。

 

メ「君に抱かれて死にたかった」

 

これこそ、メルクリウスの真実の望み。

そもそもこうまで何度繰り返してもほとんど同じ道のりだったのは、「マリィと出会う」という選択肢を必ず選んできたため。何度ループしようとも、それだけは絶対に欠かせなかった。

絶望の中にあった唯一の光、メルクリウスにとってかけがえのない刹那。

安寧と祝福に包まれる彼に、マリィは釘をさす。

マ「でも、勘違いしないでね。勝ったのはわたし達」

 「頑張って、傷ついて、それでも折れずに立ち上がって……この結果を勝ち取ったのはレンの力」

この言葉に頷き、最高の役者たちであったことを謳いあげるメルクリウス。

無限に繰り返してきた人生の終着点に、どこまでも傍迷惑だった脚本家はようやくその筆を下ろす——。

 

“芝居は終わりだ(アクタ・エスト・ファーブラ)”

 

 

キャラ雑感

司狼たちの仇を討たんと猛ったものの、その親友の言葉により結末を女神に託した主人公。

賛否両論あるものの、ブログ主的には非常に満足なケリの着け方。

このルートの蓮は神格になることを選ばないのが尊い

 

イザーク

あの笑顔に、おそらく何人か死んだんじゃねえかな.....。

仏頂面で無機質な奴があんな顔みせたら、誰だってオチるって。そうした意味じゃ、さすが黄金の息子。魔性だ。

しかし父とは違い「家族愛」というものをしっかり弁えてるあたり、立派なのはこっちの方だと思うよ。

父と歩むその道に幸あれ、イザーク

 

 

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出典元:www.light.gr.jp