“我が初恋よ 枯れ落ちろ——”
story:黄金錬成を間近に控え日本に向かおうとする聖槍十三騎士団黒円卓ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイ。そんな彼の前に現れる女性記者ディナ・マロイ。彼女の取材に快く応じるヴィルヘルム。彼の口から明かされる在りし日の戦いと1人の少女の物語——。
またしても外伝作品の感想。時系列で考えると次コレにあたるかなって。
主役はヴィルヘルム・エーレンブルグ。
ってヴィルヘルム?!まさかの?!
こいつ転生後でもおいしい活躍したというのに、転生前でも主役をもらうなんて......。14歳神の寵愛を受けてやがる。
ブログ主は「ベイが好きか」と聞かれると、ふつうです。
かっこいいと思うところも多々あるのですが、なぜだか「好き」というハードルはこえてこないんだよなぁ。
なんだったらコイツと殺りあう司狼やシュライバーのほうが好きだったりする。すまんなベイ。
舞台はニューヨーク・ブルックリンにある怪物園(ボルヘス・ハウス)と呼ばれるフリークスバー。
取材に応じるは、怪物園のカリスマ・ヴィルヘルム。
そうえば司狼もクラブ(ボトムレス・ピット)の主だったわけで。仲良いなほんと(笑)。
まず己の出生を語るベイ。
「お母さんはお姉ちゃん(=^・^=)」
これにドン引きするディナ。そりゃそうだ。ふつうに引くわ。
幼き日のベイの思考はだんだん暴力方面にシフト。
虫に始まりネズミ、動物、赤ん坊を殺害。
果てに母であり姉のヘルガも蹂躙する。曰く生まれの呪いを断ち切るためだと。
ここまででも充分壮絶なバックボーンだが、さらに話は黒円卓入りへ。
この世で上だと認めたのはラインハルトただ一人。
だが計り知れないのはメルクリウス。死にかけ衰えているのに、その巨大さが計り知れない。だから嫌いなんだ、と。ベイがメルクリウスに対しどういう印象を持っているかわかる割と貴重なシーン。
そんな彼にとって究極の理想はラインハルトがメリクリウスを打倒すること。さらにその聖戦に爪牙として参加すること。
ベイごときが何言ってんだって話だが、事実那由多の回帰の果てにその望みが果たされるとは......。
続く回想はワルシャワ蜂起戦。
ブログ主がここで少し驚いたのが、彼がこの段階で創造位階に到達していたこと。エイヴィヒカイトを得てまだ日は浅いはず。このチンピラの聖遺物適性はやはり相当なもの。
ここでDies初心者のための、ベイによるありがたい死森の薔薇騎士&エイヴィヒカイト講座も導入。(しかしこの作品からDiesに入る人はなかなかスゴイと思う)
できれば創造の詠唱聴きたかったぜ。好きなんだよなぁバラ夜の長ったらしい詠唱。
燃えるワルシャワでさんざっぱら暴れるも、同時に自身の限界も見えヤキモキしだすチンピラ。やっぱりチンピラ。
八つ当たりで人や物をぶっ飛ばし始める。もう嫌だこのチンピラ。
そうして――ふっとばしたガレキの下から現れる1人の少女。
助けてくれたと勘違いし礼を述べる。
そしてお互いの見た目から、自分たちの共通点を聖書を引き合いに
ク「彼の肌は雪のように白く、また薔薇の花のように赤く、髪は羊毛のように白く、目は美しく透き通ってた」
同じアルビノ。太陽に愛されず、夜の世界にしか生きられない。
自己紹介、名をクラウディア。
こいつは使える( `ー´)ノ、と謎の確信を感じ少女を連れ帰るベイ。
さぁここから始まる怒涛のベイとクラウディアのラブコメ。
これが未知か!
刑士郎とはまた別ベクトルのツンデレ具合を発揮。ラブコメこなせちゃうベイなんて俺たちの知ってるベイじゃない......。
クラウディアは、同じアルビノであるにも関わらず堂々としているベイを眩しく感じる。
どうすればベイのようになれるのか。彼の答えは
ヴ「叫べ。自分の感情を解放すんだよ。限界なんかあると思うな」
「出来るってよ、信じて一気にぶちかませ」
乱暴だけど力強いベイの考え方。かっこいいです。
ここでルサルカとベアトリスが乱入。まじめな空気どこへやらのコメディシーン。しかしドラマCD以外で黒円卓の日常シーンって意外と新鮮。
ベイが危険人物だということを、承知の上で彼についてきたクラウディア。半分の世界しか知らぬまま、何もせず死んでいきたくはないと語る。
ク「私は光の世界にどうしても触れたい」
シュピーネさん!シュピーネさんじゃないですか!
なんだそのメッセージ欄の顔のカットは(笑)。買い物担当て!
ちくしょうあいかわらずこちらの頬をゆるませてくれやがる大好きだ!
シ「薔薇に棘があるように、女性も毒がなければ完全とは言えませんよ。己が魔性を意識し、かつ磨きなさい」
すごい(;゚д゚)ゴクリ…。女性かく在るべしと教授するシュピーネさんはやっぱりすごいや。形成(笑)とか言うヤツは全員グラズヘイムで便所掃除な。
その後シュピーネさんと別れた2人は教会へ。
クラウディアはベイへ神の存在について問う。
吸血鬼の答えは「そんなモノがいるなら戦争は起きないし自分のような外れた存在が生まれるはずがない」という、至極常識的なもの。
それに対しクラウディアはなんと、「神様とはそういうもので、人を死なせるのがクソならばラインハルトも同じでしょう」と、炎の処女が聞いてたら一瞬でムスペルヘイムな爆弾発言をかます。勇気あるな。
続けてクラウディアが語るのは、人類の普遍的な願い。それは“善き処に行きたい”
作中何度もでてくる言葉であり、確かになと頷けるキーワード。
そんなやりとりを交わしていると出ずにいられないのが本物の変態神。
メルクリウスにとっても興味深い話の内容だったようで(コイツに興味持たれた段階でクラウディア詰みじゃん......)、招集がかかったベイといっしょに城へおいでと、クラウディアを招待。
城にあつまる爪牙のみなさま。双首領の新規CGがかっこいいんすわ。
しかし神父の姿だけがどこにも見当たらず......?
そうなんとトリファさん、黄金相手に逃走し、かつ成功してしまった!
行方は不明。が、匂いを辿ればわかるから今は手を出すなと、首領から団員たちへ厳命。
ラ「神父の渇望が熟れて落ちる瞬間を待つ。よいな」
これがトリファにとって最大の悲劇につながるわけだが、ラインハルトにしちゃあめずらしく悪辣なことをするなぁなんて思うんですよ。いや悪の親玉だし、ベルリン大虐殺っていう鬼のようなことやっているのは知ってるんだけど......。
ラインハルトが孤児の子どもたちを殺す指示だしたのがなんか解せないというか......そんな小物っぽいことしてほしくなかったなぁ、なんて。
そんな感想はさておき、水銀が話を本題へ移す。
曰く“カチンの森って知ってる?(*^^*)”
反応を見せるのは頭良い組。
彼の地で大量の死体がでているものの、詳細が一切不明。この神秘を排除することが、今回の黒円卓のミッション。前座の終いにふさわしいと不敵に語る双首領。
さて、いざ投入されるのは......死体の専門家リザ。
ハブにされて不貞腐れるベイがウケる(笑)。
そんな部下に気をつかえる上司の鑑副首領閣下。他の団員はリザの指揮下なら行ってもいいよと促す。
解散したあとベイに絡んでくるのは、我らがエレ姉さん。ラインハルトのことで理解しあっている同士とても仲がいい。本編の玲愛ルートでもその辺の描写がちょっとあったり。
ここのトークが地味に重大で、ベイはなんと、ラインハルトの黄金錬成ないしは流出の意味を正しく理解していた!!?
ヴ「この城の、いいやハイドリヒ卿の一部になれば不死身になれる。よく知らねえが、それをエインフェリアっていうんだろう」
アホの子ベイが把握してるのに、これじゃあわかっていないルサルカやリザがベイ以下のアホみたいじゃないか!!
件のカチンに、クラウディアを連れていく予定のベイ。するとエレオノーレからクラウディアに関するとある書類を渡される。
その後クラウディアと合流。待っている間なにをしていたのか訝しむも、口にはせず。
場面は進み、カチンに向かう列車。メンツはベイ、クラウディアそしてベアトリス。
(しかしなぜ列車?こいつら大地の脈かなんかを移動できるのでは?)
先行しているリザに代わり指揮官をつとめるはまさかのクラウディア。ドヤっててめちゃくちゃ可愛い。
可愛い。
というかベイとベアの漫才が豊富。後の『Verfaulen segen』での殺伐とした雰囲気はこの段階では皆無。
しかしこのベイ面倒見よすぎである。
その後リザと合流。
事前に確認できたところで、約5000人の死体が発見。実際にはこの5倍死んでいるのではと推測。さらにそんな死体が夜な夜なさまよっているとかいないとか......ヒエっ!
しかしながらリザさんがこれほど前面にでてくるのは新鮮。本編では玲愛ルートぐらいしかいいところなかったもんな...。
さてそんな御一行、森の深部に到着。
リザさんの後出し情報によると、すでに東方正教会&ヴァチカン(教皇庁)の調査があったらしい。なぜ先に言わない?
さらに雨が降り出してくる。
リザさんの後出し情報によると“月”と“雨”が怪異が起こる条件らしい。
なぜ先に言わない?
そうして現れるゾンビの群れ。泥の波にさらわれるクラウディア。ヒロイン力を発揮してるね。
ベイは形成を発動。同時に表層にでてくるヘルガ姉さんまじ怖いっす。
そのまま戦闘に移行。この敵が何なのか、どうすれば適切かといった説明が入る。
ここでブログ主的に1個不満なのが、
説明の描写多すぎじゃね?
ただでさえ列車の中でも魔術の説明めちゃくちゃ長かったんだけど。Diesってもともと状況とか単語の説明多いけどさ、にしてもクドイ。クドすぎる。本編じゃあもっと自然にやってくれてた気がするんだけどなあ。
......というかそもそもベイが説明パート任されてるのが違和感なんだわ。
いやおまえヒャッハーしてるわりにめちゃくちゃ思考してるのな!って何度思ったことか。融合型のデメリットとはいったい...?
まあ実際主役という扱い上仕方ないことではあるのだろうけど、このあたりは読んでいてストレスを感じる場面だった。
蓮、覇吐、四四八。おまえたちは良い主役だったんだな。
と嫌な文句を垂れてしまったが、ベアトリスの心情が垣間見えるシーンがあったのは嬉しい。
ベ「私の器はこんな所で終わらない。そう信じている」
「たとえ自ら水銀に染まっても、人であることを忘れないと誓っているから」
我欲のためでなく、尊敬する師を魔道から救うため入団。水銀から魔術の薫陶を受けたあとでも”殺し”はほとんどしていないという彼女。
そんな気高い矜持持ってりゃ、本編で三騎士の代わりになれるのも納得。
そんなこんなでベイとベアが持久戦していると、リザも形成発動。
いつものマスクが出てくると思いきや、初出のドレス姿にチェンジ。
その胸元けしからん!けしからんですぞ!!
“愛しい人よ 私はあなたに口づけをしました”
“そう口づけをしたのです”
“とても苦い味がするものなのね”
“これは血の味?”
“いいえ もしかしたら恋の味ではないかしら”
死者を操るリザの形成。質より量重視の場合は、聖遺物はドレス状態になるらしい。
新詠唱といい能力といいズルいぞ!形成(笑)さんにもなにか分けてやってくれ!!
リザさんの形成(強)により戦闘は終息へ。
迷子のクラウディアを探しにいくと怪しげな洞窟を発見。黒円卓探検隊は訝しみつつも中へ。
立体的な洞窟を進み、ちょうど一回りしたところで探検隊に異変が!!
闇に囚われる藤お、、、もといベイ中尉。
聞こえてきたのは、在りし日のリザ・ブレンナーの悲嘆の声。
リザを中心に並ぶ子どもの亡骸。
超人の創造を目指すも積み上げられるのは死体の山。なぜ上手くいかない、何が足りない、何をしなかった?と繰り返される自責の念。
戦闘をしていた先ほどとは打って変わって、震えるリザの声が痛ましい。中の人の名演が光ってる......!
超能力者の生産方法を9割方確立していたリザ。十分偉業なものの、彼女の中ではまだ足りない。
ブログ主がここで驚いたのがリザが不妊症であったこと。
これ本編じゃ描写なかったよね?ファンブックとかには載ってたのかな。とにかく初めて知ったので驚きました。
多くの子を死なせた挙句“戦争”という非日常により、追い込まれていくリザ。
もし......身籠れるなら
リ「悪魔に魂を売っても構わない」
メ「よかろう ならば御身の真実を教える」
悪魔よりタチの悪いやつ降臨。
伝えてくる言葉も最悪。
おまえは死体しか愛せないよ、生きた男は意味ないよ、もうすぐ極上の死体がでてくるよ良かったね。
メ「ああ ヨカナーン ヨカナーン 死したおまえこそが美しいと、謳いながら交わればよい」
おい、だれかこいつを滅尽滅相してくれ。
リザの過去の一幕が終わると、今度はベアトリス。
明かされる、悔恨と祈り。
時は1942年。ラインハルト暗殺が世間に報じられた直後、エレオノーレは動揺し再起不能の重傷を負う。
しかし、この状況にベアトリスは安堵していた。
エレオノーレがラインハルトの呪縛から解放されたと思ったから。
これからも悲劇は続くだろうが少なくとも“人”として死んでいけることが幸せなんだ、と。
「ベアちゃんってホント、
バカだよねぇぇーーー!」
ハイドリヒ卿が死ぬわけないじゃん?え、信じちゃった?ウソでしょ?ウケる(笑)と脳内フクナガの嘲笑がすごい。
ベアトリスが花瓶の水を替えにいく一瞬のスキをつき、病室に現れる黄金閣下。
ラ「隠すな。恥じる必要など何もない。今の卿こそが美しい」
「私と共に来い、少佐。一度死んだ身なのはお互いだろう」
エ「はい、はい......何処までも!」
なにこのプロポーズ。なにその女の顔。
そりゃあエレ姐さんの創造の詠唱もああなりますわ。
ほんのつかの間の幻想を信じてしまったことに、激しく後悔する戦乙女。
ベ「悔いが、悔いが残るのだ。取り戻したいと切に願う」
メ「然り、その渇望こそ御身の真実」
もう嫌だこのニート。
最後はヴィルヘルム。
出演されるのは当然我らがヘルガ姉さん。病んでるっていうレベルをとっくに超えてるせいで逆にメンタル最強、いや最恐。
とにかく、わたしがわたしがとスゴいうるさい。天狗道かな?
このままヘルガ・オン・ステージが続くと思いきや、クラウディアの一声で覆っていた闇は霧散。
すると今度は背後から謎の男。
こと挨拶にはうるさいヴィルヘルム。
名乗るならまず自分からでしょ?と常識的なセリフを吐くと、
?「だから?芸のない返答だな。つまらんぞおまえ」
めちゃくちゃ辛辣な返しがくる。司狼ですら名乗ったっていうのに...。
そのまま戦闘になるかと思いきや、クラウディアが目覚め、かつリザ&ベアが来たため中断。
男はヴァチカンの工作員ルートヴィヒ・ヴァン・ローゼンクランツと名乗る。女子の前だと名乗るのかコイツ。
ここで一旦感想を区切り。
とりあえずリザやエレオノーレなど本編で語られなかった話を補完してくれていてうれしい。
特にリザは黒円卓の中でどうしてもキャラが弱い(というか他が強すぎる)と感じていたので、過去が語れることにより厚みができて良かった。
新キャラのクラウディアも見た目ヨシ、性格ヨシ。メインヒロインとして最高だぜ!
ただ読んでいてダレるシーンもちらほら。ベイとベアトリスの漫才なんかはこのあとも続くのだがワンパターンすぎてな......。
まあ双首領はいつも通り。通常運転。あれが通常運転なのが双首領。
ところでキッス・イン・ザ・ダークってほんとにあるカクテルなのか。
カタカナ表記だとすげえダサうわなにをすやめくぁwせdrftgy
続き→「Dies irae ~Interview with Kaziklu Bey~」感想Ⅱ - ゆらりゆらりとゆらゆらと