“玖錠紫織を誰かに奪われるのだけは我慢ならない”
殺し愛カップルの章。
ぶっちゃけ最初から最後まで剣呑なのだが、それが彼らなりの愛情表現。
開幕、天狗道に呑まれた宗次郎。
頭の中本能でいっっぱい。その足で紫織の下へ夜這いをかける!
素面じゃできねえことを平然とやってのける。そこにシビれる!あこがれるゥ!
しかし、エロい雰囲気になるどころか欲望のままに斬りふせようと!
......が、寸でのところで刃は止まる。
夜都賀波岐たちに言われたアレやコレやが頭の中でぐるぐると。
落ち着きを取り戻した宗次郎は、そのまま退室。
紫織が静かにこぼした「いくじなし」が、とても印象に残る。
翌日。
昨夜のことが夢か現か判別つかず、ソワソワしちゃう宗ちゃん。
その手の煩悩も切って捨ててきたのに、とごちる始末。こいつはまだまだ性欲界紳士道にはほど遠いな。
打って変わって相変わらずサバサバしている紫織さん。よってペースはいつもながら彼女のものに。
紫織と会話している最中も、宗次郎のモヤモヤは晴れない。
それは「夜這い」に限った話ではなく、そもそもの自身の原動力である「斬る」という行為そのものに。
竜胆が逝ってしまったあとから、ずっと宗次郎の中で解決しない悩み。
竜胆の影響はこんなところにも(;´Д`)。
昼食を平らげた後、宗次郎は帰郷する旨を伝える。
すると紫織さん、核心をつく質問を。
紫「天下最強の夢は叶ったの?」
答えに窮する宗次郎。
その当初の気持ちを思い返すための里帰り。
一人で集中したい......のだが、紫織はなんと同伴すると言い出す。
宗次郎の受難は終わらない(笑)。
2人並んでレッツホーム。
帰路の中で、あらためて宗次郎は東征に参加した理由を話す。
故郷で磨いた剣術。斬るものが無くなった彼は、飢えを満たすために冷泉の誘いに乗った。
紫織も流れで身の上話を。
紫織が特殊な渇望を持ったのは、特殊な家柄と生い立ちが遠因。
男が前に出る時代でありながら、男よりも強くなってしまった彼女。
紫織が龍明と相性良かったのも、そういうところからきてたのかも。
紫「どうにも私は身動きし辛い。がっちり自分はこうだと言える形がどうにも見つからなくてね」
「揺らいでいる......ううん、たゆたってると言うのかな」
と、ゆるい世間話に甘んじている2人。
紫織はともかく、宗次郎にはワケがある。
というのも、宗次郎が今もっとも恐れているのは紫織と殺し合いになること。
それは諏訪原で約束したことでもあるし、何より宗次郎は東征前から益荒男たちを斬るつもりであった......にも関わらずである。
なぜ今更避けようとしているのか、自分でも戸惑いを隠せない。
もうリア充爆発しろって話なのだが、ウルトラ朴念仁な彼は、自身が抱いている気持ちの正体に気づかない。
そして——紫織と戦わない理由を得るべく、彼女に思い切った問いをぶつける。
——なぜ壬生宗次郎に拘るのか——
問われた紫織、その答えは、
紫「私が見てきた中で、あんたほどキレイな男はいなかったから」
......おぉ、すげえ殺し文句だ。
故郷に近づく2人。
道中東征を振り返る。
毎日が命懸けであり、だからこそ武芸者たる彼らは充実していた。
しかし東征は疑問の残る終わりを迎え、率いてくれた大将は突然の逝去。
我が道を行く宗次郎ですら、竜胆の死は受け入れがたいものであった。
胸に空いた隙間は埋まらず、今悩んでいることも彼女ならば何か答えを示してくれたのではないか、と喪失を惜しむ。
そんな感傷的な雰囲気になっていると......突然の銃声。
冷泉の差し金が大挙して現れる。
久しぶりに流れる「唯我変生魔羅之理」。
やっぱこの曲かっこいいんすわ!でもってこの戦闘狂カップルにピッタリ!
ということで逆賊扱いになった宗次郎&紫織。
事態に即順応し、戦闘開始。
もっとも、陰気を失った刑士郎と違い2人の武威は東征時と変わらないため、楽土血染花編のような不安はゼロ。
見ていて気持ちいいくらいに雑兵たちをフルボッコ。
そんな状況下で、仲間がやられてくのにも関わらず、宗&紫の首級をあげることに躍起になってる兵ら。
その様——竜胆から魂の何たるかを受け取った2人は、
宗「苛立ちますね——あなた方は軽すぎる」
紫「薄っぺらいよ。魂(むね)に欠片も響かない」
宗「相手がいないと斬れないのに」
紫「どこにいるかも分からないのに」
宗「あなた方は浮遊している」
紫「あんた達はどこにもいない」
冷泉——ひいては波旬の意向に染まっている射干たち。
なので信じられないことに、宗次郎と紫織そっちのけで殺し合いをしている者らも出る始末。
そのありえない光景、宗次郎は悪路たち天魔を思い返す。
彼らが見ていた光景というものがまさにコレであったのだと、嘆き、そして奮い立つ。
彼ら英雄たちに報いるべく、宗次郎の戦意は高まる。
2人合わせて500人以上なぎ倒しているにも関わらず、兵の数は減る様子がなし。
動員されてる規模が凶月の里より多いのは明らか。
さらにヒッキーブーストも相まって、兵たちの強さは上がっていく。
世界の深奥で嗤う邪神。宗次郎もその存在を朧げながらに認識しはじめ、絶対斬ると猛る。
日が落ちたところで、ようやく殲滅成功。
さすがの宗次郎も疲労困憊。しかも充足感などゼロ。そりゃそうだ。
周りを見渡すと、死体の山ばかりでいっしょに戦っていた紫織の姿がない。
以前の宗次郎ならともかく、今の彼はこのことに激しく動揺。“我関せず”だった過去の彼はもういない。
パニックになりながらも、秀真に戻ったのでは?と予測し大返し。
体力が底をついていながらも、必死に紫織の名を呼びながら駆けるその姿は、恋愛ドラマの主人公に相応しい!
“図に乗るなよ天狗道。僕は求めるべき相手を知っているし、おそらくそこは彼女もそう”
“滅尽滅相だと、よくも言った。僕が真に求めるのは彼女だけだ。ゆえに誰にも、そう絶対誰にも渡さない”
紫織を斬れるか斬れないかに答えは出ないものの、掛け替えがないという思いだけは確か。
そして他者が居てこその剣士であるため......ここに宗次郎は第六天を完全に敵視!
その日の内に秀真へ帰還。
殺し合いが当たり前のルールになっているため、広がる光景は世紀末。
玖錠家、中院家を探索するも紫織の姿はナシ。
代わりにいたのは......
作品の都合上、共通ルートはずっと覇吐視点だったために、彼の立ち絵はすごく新鮮。てかシンプルにかっけーな。普通にしてりゃモテるだろおまえ。
紫織がいないことを気落ちする宗次郎に、彼なりの激励。
覇「生きてる限りは負けじゃねえし、次がある。死んでないってことは、いつか必ず何か別の何かが訪れる」
宗「それはまた、ありふれた謳い文句ですね」
覇「含蓄あるぜ?——なんせ俺がそれだから」
この段階で覇吐も自身の真実に辿りついている。
そしてそんな覇吐から、竜胆の生存を知らされる宗次郎。
自然と嬉しさがこみあげてくるあたり、彼にもはや天狗の意思は残ってない( `ー´)ノ
とまぁ、喜ばしい収穫はあったものの、2人とも肝心の探し人の行方が分からない。
行き詰まる中、便利屋夜行から手紙がヒラヒラと。
そこには想い人の居場所と、それぞれが成すべき役割が。
2人はいざ、最後の舞台へ——。
我らの恋路を邪魔するものは→『神咒神威神楽 曙之光』威烈繚乱編 感想・下 - ゆらりゆらりとゆらゆらと