“さあ宗次郎、私達の祝言を始めようよ”
威烈繚乱編ラスト!
単純そうで実は複雑な2人の関係に、ようやく決着がつく。
今となっては死語かもしれない「リア充爆発」というワード。この2人は本当に爆発してそう。
決戦の地、淤能碁呂島。
神話では日本列島最初の島であり、イザナミとイザナギが結ばれた場所。
『神咒』の世界では、波旬幽閉の地。それは同時に第六天開闢の地でもある。
そのため、誰も訪れないし近づけない禁忌の島。
視点は紫織。
秀真へ戻り、冷泉を屠ろうとしたところで待っていたのはまさかの再会。
そこで彼女から、全ての真実を知る。
自分一人で決着を着けようとする竜胆。
その上で、紫織が下した結論は全員を巻き込む。
“文句があるなら後で聞くし、聞けるような未来を目指そうよ。そうしないと、誰もいなくなっちゃう空にしたい奴の一人勝ちだと思うんだ”
“波旬......このイカレた法を滅ぼすために、絆っていうの大事にしようよ”
益荒男たち全員の事情を鑑み、それでも全員が上手くいけばいいと願う。
紫織の口から出たまさかの“絆”というワード。
己しか見てこなかった彼女もまた、天狗道から決別した何よりの証拠。
そんな彼女は、宗次郎を想う。
田舎への帰郷の際、彼が悩んでいたことは気付いていた。
“あんたは、私を斬りたくなくなっちゃたんだね”
宗次郎の剣が、東征の中で“自分のため”から“誰かのため”に変わっていったのを感じた紫織。
紫織自身は......竜胆のように、黄昏のように全てを抱きしめることはできないまでも、大切なたった一人くらいは絶対に包んでみせると心に刻む。
ゆえに、宗次郎がどれだけ自分を避けようとも、戦うことを決意。
宗次郎より先に覇吐とご対面。
2人とも想い人はもちろん、お互いのことも心配。
東征序盤は単なる場を保たせるだけの関係だったが、今ではどっからどう見ても本物の仲間。魂で繋がった同志。
紫織は何気に竜胆のことをよく慕っていた。
彼女の窮状を案じ、だからこそ覇吐へこんな質問を。
紫「ねえ覇吐」
「あんたは、いま、ちゃんと幸せ?」
覇「ああ。幸せだね」
「竜胆と一緒にいられりゃ、世界が滅びようと俺はずっと幸せだ」
紫「はは。あんた、相変わらず馬鹿で羨ましいよ」
覇「じゃあ、おまえも同じ馬鹿になれよ」
「馬鹿になれ。幸せになれよ。笑うんだ。これから一世一代の告白(しょうぶ)だろう。そんな暗い顔じゃあ振られるぜ」
覇吐のまっすぐな言葉。紫織を装飾品としてではなく、仲間と思うがゆえの発言。
自分を定義されることを嫌ってた彼女も、心を許した相手から言われたのであれば、スンと受け入れられる。
ブログ主的には正直「めんどくせえ女」って感じであまり好意的に見れませんでしたが、ようやく紫織を好きになれました。
覇吐を馬鹿だ馬鹿だといいつつも、竜胆を任せることに何の迷いもない。
互いの勝利を祈り、それぞれ決戦の地へ。
紫織は夕日が沈む浜辺を歩く。
その黄昏の景色に、思い返すは母禮の姿。
相容れることはなかったが、彼女たちが真に守りたかったものを知った今は、その意志を受け継ぐ決意を。
本当の意味で主役になることを英雄たちに誓う。
好きな人に自分を刻みつけたい——ずっと続くその気持ちは、もう自己愛だけで成り立っていない。
相手を思い、ふさわしい自分であろうとする。互いが互いを認め、高めあう。それはかつて太陽が示した“双方向の関係”。
目指すゴールに向かうため、一世一代の告白(しょうぶ)へ。
そんな紫織の気も知らず、彼女を待つ宗次郎。
夜行から託されたメッセージの内容は「夜刀の代わりを務めろ」というもの。
夜刀がギリギリまで押し進めた“座”までの道。その最後の一押しを紫織と宗次郎が任された。
求道太極では本来できないことなのだが、両者の太極は、特徴と相性が噛み合っているため例外的に成立する。
......とまぁ字面だけだと伝わりづらいが、要は「全力で殺し合えよ(*^-^*)」ってこと。
その後に本命の波旬戦が控えていることを考えると、ハードなんてもんじゃないミッションである。
さらに宗次郎としては、不安材料が一つ......“再び太極に至れるか”。
波旬のブーストは無く、そもそも悪路戦ほど気持ちが出来上がっていない。
紫織に対する答えが出ないまま——ついに再会を果たす。
祝言を始めよう
それはプロポーズでもあり......殺し合いの合図。
紫織を目の前にしても、答えが出るどころか迷いは強まるばかり。
ふんぎりつけられないダメ新郎へ——いざ、新婦から愛のお説教。
紫「あんたいつまでも、私のこと舐めてんじゃないのよッ!」
宗次郎が紫織と戦いたくない理由、それは戦ってしまえば紫織を殺してしまうから、という思い込みが原因だった。
『相手が誰であれ、自分に斬れないものはない』その思い上がりにも似た自信に、紫織はブチ切れ。
「見くびんなや(`^´)ノ」と、武芸者として、女として、派手に顔面にお見舞い。
吹っ飛ばされ、キョトンとしてしまう宗次郎。
なにせここまで言われても自分が勝つことは必定だと思ってる。
むしろ、「舐めてんのはおまえの方だろ(`・ω・´)」と、自然と戦意が高まっていく——心が晴れる、視界が晴れる。
流れる「吐善加身依美多女」が、この上なく爽快な気持ちにさせてくれる。
宗次郎は立ち上がる。
目の前にいる想い人が、斬れるかどうか試すべく——刀としての、本来の役目を思いだして。
斬りたい・斬る・斬られてくれるな・斬られないだろう——だから、斬る。
この懊悩こそが、宗次郎の在り方。
宗「壬生宗次郎の行く道は、天地に誓ってただ一つ」
「ひとたび抜けば、誰であろうと斬ることです」
「そう、僕は、一振りの刃なのだから」
紫「試してみなさい。あんたの魂、全部、全部受け止めてあげるからッ!」
2人を纏う黄金色。
お互いの関係性に答えを見出せた彼らは、真なる太極へ。
“一、二、三、四、五、六、七、八、九、十”
“布留部 由良由良止 布留部”
“曰く、この一児をもって我が麗しき妹に替えつるかな”
“すなわち頭辺に腹這い、脚辺に腹這いて泣きいさち悲しびたまう。その涙落ちて神となる。これすなわち、畝丘の樹下にます神なり”
“ついに佩かせる十握劍を抜き放ち、軻遇突智を斬りて三段に成すや、これを各々神と成る”
“劍の刃より滴る血、これ天安河辺にある五百個磐石、我が祖なり”
“謡え、詠え、斬神の神楽。他に願うものなど何もない”
“未通女等之 袖振山之 水垣之 久時従 憶寸吾者”
“八重垣・佐士神・蛇之麁正——神代三剣、もって統べる石上の颶風。諸余怨敵皆悉摧滅”
“ここに天の数歌、登々呂加志宇多比あげて、浮かれゆかまく魂結の、聞こえしめして幸給う”
“我が身に阿都加倍奈夜米流、夜佐加美阿部久病をば、いと速やかに伊夜志たまいて堅盤に常盤に守りたまえ聞こえしたまえと——”
“天の八平手打ち上げて、畏み畏みもォォす”
“唵・摩利支娑婆訶”
“唵・阿毘耶摩利支娑婆訶”
“鬼縛——隠身・三味耶形・大金剛輪!”
“此処に帰依したてまつる、成就あれ!
“——太・極——”
“神咒神威——経津主・布津御霊剣”
“神咒神威——紅楼蜃夢・摩利支天”
蝦夷で発現させたときとは違い、純粋に己の意志で至った太極位階。
波旬ブーストが無いため「殺傷力」という一点においては劣っているが、それ以外の完成度は言うに及ばず。
『人間』へとなった刑士郎らに対して、こちらは『神』。
もう元には戻れないのだけれど、そんなこと気にする2人じゃないのは今さら説明不要っすね。
そうして夫婦になった2柱による、初めての共同作業がスタート。
両者とも殺意MAXで激突する。((((;゚Д゚))))
絶対斬る法則vs絶対穿てない法則。
一振りで何千もの可能性を斬り裂く宗次郎。神の御業なため、その威力は人間時の比に非ず。
だが、紫織の芯にはまったく届かず。
試行を何度も繰り返すも、万全の紫織が常に目の前に。
『斬る・斬りたくない』という矛盾した渇望も、紫織ならばものの見事に叶えてくれる。
そこに無上の喜びを感じる宗次郎。
斬られない彼女に感謝し、絶対斬ってみせると猛る。
ゆえに一閃にて真芯を貫かんと、
“五障深重の消除なれ。執着絶ち、怨念無く、怨念無きがゆえに妄念無し。妄念無きがゆえに我を知る。心中所願、決定成就の加ァァ持”
“級長戸辺颶風ェェ!”
石上流“颶風”系統の新技炸裂。
さすがの紫織さんも無視できない負傷が入る。
むしろここまでよく宗次郎の必中の剣を捌いていたなとびっくりするけど......。
宗次郎から手痛い一撃をもらい、しかしそれでこそ自分が惚れた男だと、この状況が嬉しくてたまらないご様子。
刃に反射する自分の姿・そんな煌めきを揮ってくる旦那様。このやりとりを永劫続けていきたいと、吼える紫織。
お互いがお互いの装飾品ではないと思えるからこそ、彼女もお返しの強烈な一発を。
“此処に帰依したてまつる——大愛染尊よ 金剛仏頂尊よ 金剛薩よ衆生を四種に摂取したまえ!”
“陀羅尼愛染明王ォォッ!”
心臓の経絡系を狙い打ちする一打(北斗かな?)。
これをもって「心を奪われたまま死を迎える」と翻訳する14歳神のセンスもやばい。
二柱の実力は伯仲。
相性もあって、求道神になったばかりというにどんどん成長していく。
パンピーじゃ理解できない愛情表現。血反吐を吐き散らしながら、それでも声高に互いを呼ぶその姿......コレが真実の愛ってやつか。
覇吐たちもそうだが、自分の領地でラブられてる波旬に少し同情してしまうな......。
宗「あなたより美しい蜃(ヒト)を、僕は今まで見たことない」
紫「あんたより純粋な劍(ヒト)、私も今まで見たことないな」
↑すさまじく惚気たセリフだが、喉に膝落としくらってる奴と喉に刃が突き刺さってる奴のセリフじゃないよな(;´Д`)
まぁまともな奴はそもそも太極に至れないし。やっぱりこいつらお似合いよ。
そんな殺し愛も、いよいよ終わりを迎える。
互いを認め、高め合った2人は、自身の奥義を以て勝負を決着させる——。
そうして、予定通り“座”まで繋がる。
予定通り両者の負傷具合も見るに堪えないほど。
しかしそれでも、2人の感想は「とても良かった♡」というのだから、
そんな彼らだからこそ、この関係がいつまでも続くことを望み.....邪魔する存在は許せない。
宗「この手で波旬を斃しましょう」
紫「きっと、そこで皆が待ってるよ」
信じた総大将の下知を待つ——。
pvの段階から『殺し愛』をしており、発売前からワクワクしていたこの威烈繚乱編。
結果は期待通り......いや期待以上の満足感!
トータル的に一番厨二バトルしてた気がする。
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