「神咒神威神楽 曙之光」楽土血染花編 感想・下
“俺は、こういう生き方でいい”
“ありふれた、ただの人間なんだからよ”
楽土血染花フィナーレ。
前世の因果に散々振り回された2人の結末は、誰がなんと言おうと至高の刹那。
花園から戻った夜。
夜行からの手紙は「冷泉の兵そっちいったよ(/・ω・)/」というもの。
刑士郎に迫られる、迎撃か撤退の2択。
里も妹も両方守らねばと決意し、咲耶を連れて里を出る準備を。
しかし、咲耶は固辞。
咲「この地で永劫、兄様と睦みあい、暮らしていとうございます」
兄、そして里に繋がれた思考しかできない咲耶。
変わっていく兄と変われない自分の関係性を嘆く。
刑士郎としても、咲耶を置いていくことなどありえないので、さてどうしたものかと思索に耽っていると......待ってはくれない冷泉の配下たち。
手紙が届いたその日のうちに、凶月の里を襲撃。
里と都がどれほど離れているのか知らないけど「遠い」って描写あったよな......。どんな進軍速度なんだ(;゚д゚)。
急いで屋敷より出る刑士郎、その景色は凄惨そのもの。
村人たちが蹂躙される様は当然のこと、蹂躙する奴らがどいつもこいつも狂っている。
「俺が凄い、俺こそ一番、俺こそ正義、俺こそ......」と、有りもしない栄光に酔いに酔い狂った人獣ども。
笑いながら誇りながら列を成し殺戮していく群れを見て、さすがの刑士郎も唖然。
夜都賀波岐たちに散々言われてきた「薄汚い穢れた西側」の意味がようやく分かる。
自分もこんな風に見られていたことを、ただただ恥じて——。
かつてない嚇怒で、兵たちに吶喊。
しかし歪みは完全に消えているため、その膂力は東征前よりも劣る。
相手が並みの武人程度であれば、刑士郎の敵じゃないんだけど......。
相対する奴らは神の加護を信じる馬鹿ども。よって本当に神からのブーストがかかる。
自分だけは死なない、自分こそ選ばれし者だと、根拠も大儀もないその浮遊した価値観に、
刑「安すぎるんだよ......てめえらの魂は」
「——目が痛ぇ」
「——胸が軋む」
「——薄っぺらいぞ。てめえらは」
「俺の魂を、舐めるなァァァアアアア!」
進んで前に出て、敵の的になる。
銃火器を所持している部隊もいるため、刑士郎に余裕はゼロ。
ぶっちゃけ東征よりもハラハラする(/ω\)。
無視できない負傷を抱えていくが、魂を謳いながら次々と屠っていく。
その姿に、ブログ主もいつのまにか拳を握っていたぜ......。
そしてなんと、100人以上いた射干の群れを単独で撃破!
すげえぜ。
なんとか咲耶の下へ戻ろうとするも、屋敷はもぬけの殻。
どこへ行ったのかわずかに逡巡し......思い当ってしまう最悪の場所。
案の定、咲耶は薔薇園に。
それも思いっきり良い笑顔......。
この楽園だけは奪わせないと、妖しく微笑む。
そんな彼女へ、
刑「馬鹿馬鹿しい、囚われるなよ咲耶。俺たちはここから離れることができる」
「———どこへだって、行ける」
怒涛の説得タイムに。
ミスれば一巻の終わりなため、刑士郎も必死。
刑士郎しかみていない世界、そこに価値を見出してはいけないと冷静に諭す。
ダメ押しに竜胆の名前をだす。奇異な価値観と断じていた彼女の在り方も、今の刑士郎なら理解できる。
さすがにこれには咲耶も反応。彼女にとっても、竜胆は唯一無二の存在だったゆえに。内側に潜む薔薇女とせめぎあう。
思いの込もった説得の甲斐あって、ついに差し出された手を掴みに。良かった......咲耶はまだ手遅れじゃなかった(´∀`*)。
と、ブログ主がホッとした瞬間、響き渡る発砲音。次いでその場に倒れ伏す咲耶。
ゆっくり死を受け入れていく咲耶。
これこそ自分たちの運命であり業なのだと、どこか安心した表情で......。
刑「何言ってやがる。そんな言葉、誰が認めてやれるかよ!」
「業など俺は背負っちゃいねえ!逃げるな、縋るな、そいつは最初から俺らに憑いた幻だ!
「見果てぬ夢に過ぎねえんだよ!」
必死の否定。
しかし咲耶の意思は固く、流血は止まらない。
死して兄の糧になることを選択。
そうして——刑士郎へ捧げる薔薇騎士の詠唱。
艶やかに紡がれるのがなんとも底冷え。
これが仮にヴィルヘルムならば、この奉仕を快く受け入れただろうが......刑士郎はベイに非ず。
間髪入れずに拒否。
逆に自らの血を咲耶に捧げる。
すると、ヘルガさん大興奮したのか、傷口はあっという間に元通り。
刑士郎らを目指し進軍してくる第二陣。
満身創痍の刑士郎、それでも打って出る。
射干とは違う。神様の恵みに頼らない、宿儺が寿いだ、ただの人間として——。
惚れた女を守りたいと爽やかに笑うその姿。それをイジることなんてブログ主にはできそうもない。こりゃ“非モテ”なんかじゃないっすわ。
その強い輝き、咲耶も内なる誘惑とは別の意思を持ち始める。
始まる二戦目。
人間vs邪神の細胞の図。
射干たちの力もいよいよバカにできないレベルに。
そんな死地においても「魂懸けて生きる」と叫ぶ刑士郎。正直かっこいい以外の言葉が見つからない。
刑士郎の中にも、竜胆の魂が息づいているのがよく分かる。
兄の死闘を花園で感じ取る咲耶。
こうまで身を粉にして戦う姿を見せられ、これまでと一転して「自分は兄に相応しくない」と嘆きだす。
愛した人を縛ろうとしていた己を呪い、自己愛を猛省。
涙ながらに「逃げて」と訴える。
そんな哀訴に耳を貸さず、耐えしのぐ刑士郎。
そのあまりの痛ましさとひたむきさ......プレイしてるこっちまで無事を祈ってしまうほど。
そして......奇跡は起こる。
己しか見てない射干たちは、刑士郎が自分たちとまったく異なる生物であることを感じ取る。その恐怖、とどまることなく伝播。
『人間』という最も強大な相手をしていたことに慄き、我先にと逃げていく。
——そしてそれは最強無敵の天狗の理にも影響が!
総体から見れば極小のヒビ。それでも確かに傷は入った。
神座が始まって唯一解脱を果たした男。その偉大な功績がここに。
そうして咲耶の下に帰ってくる。
限界を超えて戦ったため、風前の灯。
第三陣が迫ることを恐れ、咲耶へここから離れることを促す。
最期の刻まで守ろうとするその姿勢......あぁこいつまぎれもない主人公だわ(お手上げ)。
そんな兄を見て、咲耶が出す選択は......
咲「——さ、ない」
「——許さない、よくもっ」
「わたくしの刑士郎に、手をあげたなッ......!」
お宅のお子さんイジめられてるよモードに突入。
よりにもよって流れるBGMが「神威曼荼羅」
咽びながらの雄たけびは、なんとも凄まじい。
天狗道に残った最後の天魔が躍動を開始。
兄の重荷でしかない自分含め、諸共消え去れと最大級の禍憑きを発現しようとしたところで......
刑「......やめろ咲耶。禍憑き(それ)は使うな」
「腹の子に障るだろうが」
その一言、たった一言で、ヘルガの妄念は掻き消える。
刑士郎だけが気付いていた、自分たちの子供。
その小さくも偉大な存在を、母たる咲耶も感じ取る。その目からは涙(ブログ主も無論泣いております)。
刑士郎の最期の問い——咲耶にとって家族とは?
今まで一人しか見てこなかった彼女の答えは
咲「——兄様と、この子でございます!」
大・勝・利
天狗道ではありえない、次代の誕生。
共に手を取って、大切に育てていくことを誓いあう。
春も、夏も、秋も、冬も、孤独にはならないさせない、いつまでも睦まじく。
前世のアホどもに到底出来っこなかった生き方。それでも、この2人なら——。
刑士郎は、束の間の休息を申し出る。
目覚めたあとの、穏やかな営みを夢みて。
頷く咲耶。
託されたもののため、後を追うことはしない——。
役者がよければ芝居は至高......なるほど。
なら筋書きも良いならそれはなんと表現すればいいのか!?
正直一番期待してなかったルートだけに、大きく感動させられました。
ブログ主は凶月兄妹に土下座しなきゃいけませんね。
終わり方が終わり方なために、このあとのグランドルートには出張ってこないのだが、だからといって2人が役立たずなのかといえば断じて否!否なのだ!。
覇吐が言う通り、この2人の行いこそ天狗道を砕く一番大きな所業なのだから。
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