“この東征(いくさ)、勝って帰ったらまたここで、桜(こいつ)見ながら派手に飲もうぜ。祝勝の宴だ”
本格的な穢土攻めスタートな章。
嵐の前の静けさどころか乱痴気騒ぎに、到底許せる彼らではなく......。
淡海を踏破し、穢土の西端に乗り上げた東征軍。
戦闘以外能無しやることがない益荒男たちは各々自由行動を。
そんな中、覇吐・紫織・咲耶が集合。ちょっと珍しい組み合わせ。
覇「真面目な話、おまえらとはちゃんと交流持とうと思ってたんだよ。そこらへんが甘かったから、海の上じゃあごたついたし」
紫「あー、そりゃそうかもね。実際今だってこんなだし」
咲「我々は、お互いのことをもう少し知る必要があるということですね。それにつきましては同感です」
なんだかんだこの3人が一番常識人なのかも。
......にしても、
こうしてみると2人ともただの美少女なんだよなぁ。
内面がぐちゃぐちゃなんてパッと見じゃわかんえねえよ。
3人は敵情視察もとい穢土観光へ。
一方建設中の砦には竜胆・龍水・刑士郎・龍明。
龍明は拾ってきた柿をみせながら、穢土の法則をみんなに説明。
植物以外に生命はなく、その植物にも命は宿っていない。
つまり、時間が止まっている、と。
龍「表面上は実りの季節だが、さながら死の世界だよ」
う~ん、このように説明されると改めて太極を封印していた蓮の判断は正しかったんだな......(しみじみ)。
さらに龍明から「奴らは様子見なんかしない、来るときは一気だぞ」と脅し文句。
しかし刑士郎は怯むどころか、龍明に詰問。
淡海の天魔——その正体を知っていたかのような発言は何だったのか?
何気に龍明大ピンチな質問なのだが、「300年前のご先祖様の記憶が流れ込んでくるんだよねぇ(遠い目)」
そんなことより、と龍明はみんなの気持ちを一つにしようと宴会を開くことを提案。
いわゆる「飲みニケーション」ってやつなのだのだが、酒=絶対悪と考えているゆとり世代竜胆は即反対。
一方単独行動大好きな宗次郎は、夜行という超絶かまってちゃんに捕まる。
イラっとした宗ちゃんは、思わず皮肉を。
宗「夜行さん、あなたは何処にいても浮きますよ。まるで世界(いろ)と喧嘩をしているかのようだ」
深い意味で言ったわけではなかろうが、それでも核心をついた一言を放つ宗次郎のセンスはさすが。
対して夜行も、剣士という他人ありきな存在にも関わらず他者を拒む宗次郎の在り方を“喜劇”と笑う。
そんなやりとりをしていると物見遊山中の覇吐たちが合流。
集まった一同、宴会をやろう→やるなら全員で→じゃあ誰か竜胆連れてこい。
ということで、竜胆拉致チームが結成。面子は「夜這いでどっきりヌキヌキポン作戦」を目論む覇吐とお目付け役の刑士郎
覇吐の理想の流れとしては、素早く優雅に美しく寝室に侵入し姿勢を正して全裸正座で姫が起きたところでソッと囁く。
覇「今宵、あなたを抱くために、我は千の山を越えて参りました。いざ尋常に、夜の立ち合いを所望いたす」
「この閨という一つの宇宙で、あなたという海に溺れてみたい」
屋内まで侵入に成功するも、一番おっかない龍明にエンカウント。
......が、漢・覇吐、ここで終わるようなタマではない。
ぜんぶ夜行のせいにして言い逃れようとする!
御前試合以降、まるでカッコいいところがない.......。
しかし、幸運にも龍明も宴会には賛成だったため、まさかの覇吐にお咎めなし!
どころか、忠勤大義と背中まで押しちゃう始末。
あの姐さんがここまで砕けた人になるなんて......月日の経過ってホントにすごい。
竜胆がいる部屋。その最後の襖を開け、覇吐いざ運命のヌキヌキポンの刻.......!
そこには恐ろしい笑顔で待ち受けていた総大将の姿が!
竜「死ね。遺体は海に流してやる」
刀を一振り。
顔面を真っ二つにするそのお手並み、お見事です。
と、やってることはギャグなのだが、このやりとりがまさか2人にまつわる超重大な伏線になっていようとは......。
なにはともあれ、竜胆を誘い出すことには成功。
準備中の宴会場では、宗次郎がいち早く違和感を。
“天空の月から視線を感じる”
夜行以外で気づけたのは宗次郎のみ。すごいぞ宗ちゃん!
そのあたり、夜行からもお墨付きが。
夜「単純な剛性では覇吐や刑士郎に一歩譲るが、その眼力、その感性、群を抜いている」
しかし、自分で思いながらも「バカバカしい」と先の違和感を切り捨てる宗次郎。
宗「そんな怪物に、僕らが何をしようと勝てるわけがないでしょう。あなたがどれだけの手練であろうと、それを知って、そんな余裕でいられるわけがない」
夜「ああ。現状、打つ手などないからな」
「ゆえに一度、皆々死ぬる必要があるのだよ」
冗談めかして話す夜行。
しかしそれが真実意味を持って発した言葉だったことが、もうすぐわかる。
本格的に日が沈み、いよいよ宴会がスタート!
乾杯の挨拶は龍水!
さあさあ皆で杯を上げて、いざ、かんぱ~
竜「——貴様ら全員ふざけるなァッ!」
竜胆、怒りの雄たけび。
しかしここの竜胆がマジですごい。
なんと一升杯を12回一気飲みして、未だ正気を保っている。酔いつぶれるどころか死んでもおかしくないのに......化け物か。
ということで13杯目をあおらせようとしたところで、
龍「悪いがそれは無しだ。十三という数字は、何やら無性に腹が立つので使いたくない」
水銀涙目。
竜胆が折れたことで、ようやく宴会がつつがなく進行。
......なんだよ、けっきょく竜胆が一番かわいいじゃねえかよ(恍惚)。
てかまだ飲むのかよ!もう天魔だ、天魔。
そして地味に龍明の絡み酒もおもしろい(笑)。
娘に対して「なんだ私が嫌いか?死んでほしいのか?屑だと思ってんのか?あぁそういや私の師匠も真正の屑だったなあチクショウめ」と言いたい放題。とりあえず水銀涙目。
なおも、姐さんの勢いは止まらない!
爾「紫織はいいお嫁さんになれそうですのね。他の連中は女の風上にもおけないけれども」
他の女連中「」
覇「やーやーやー、まあいいじゃない。俺は全員守備範囲内よ?」
竜「黙れ」
水「死ね」
咲「すっこんでいてください、覇吐様」
覇「おいなんだよこれ、なんで俺が怒られてんだよ」
宗「僕に同意を求めないでください。あなたが悪い」
龍「そんなことより、今の流れでなぜ私を抜かしたのか、貴様らに問いたい」
「どうなのだ?」
なにこれ超楽しい。
姐さんがまさかの大オチ担当とは。
ていうかその手のコンプレックスやっぱり持ってたんだな。
「女は信用するな」とか言ってた頃がなつかしいぜ。
宴会は大盛り上がり。
竜胆もなんだかんだ悪く思っていない感じ。
そんな主を見て満足する覇吐。
ならばと、東征直前に持ち込んだ桜の枝を地面に挿し、次回の約束を。
宴もたけなわ、竜胆は一人一人へ意気込みを訊ねる。
夜行は、自らの指針となる蝉を求め。
龍水は、御門家に恥じぬ自分であることを。
宗次郎は、変わらず最強の剣士を目指し。
紫織は、曰く“花嫁修行”を。
咲耶は、自由を勝ち取るために。
刑士郎は、己が歪みの廃絶を望む。
爾子・丁禮は、拾ってくれた主の恩に報いるため。
龍明は、遣り残しの精算を。
そして、締めは覇吐。答えは当然、
覇「おまえを俺の女にすることだ、竜胆」
「惚れたからな、前にも言ったろ」
当の竜胆、そんな覇吐の宣言に、辛口ながらも無碍にはしない。
益荒男たちの気概を信じ、竜胆は必勝をここに誓う——。
......本当の地獄はここからだ→ 「神咒神威神楽 曙之光」卯月・不和之関 感想・下 - ゆらりゆらりとゆらゆらと