ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

『相州戦神館學園 八命陣』水希ルート第十話 感想・壱

“永きに渡る混沌の因縁、そのすべてを精算しよう!” 

 

最序盤から物語をずっと引っ張ってきた神野と水希の決着章。

ここで多くの爪牙が留飲を下げたことでしょう。

 

 

 

開幕は安定のモノローグ。語り主は水希。

彼女目線で振り返る、邯鄲1週目のラストバトル。なんと水希は、四四八が甘粕に勝てないことを予期していたひでえ話だ。

四四八の強さは生来のものではなく後天的に得たもので、当時の水希の価値観からすると不純物。

邯鄲では純正品こそ強く、ゆえに生粋のバカ強さの甘粕には及ばない。水希は強くあろうと無理をしてきた弟を見てきたため、ことさらそういった考え方が凝り固まっていた。

しかし前々話で四四八の折檻を受けたことで、ようやっと彼女も反省。これまでの醜態を払拭せんと、怨敵たるべんぼうへ果敢に挑む!

水「行くぞォッ、神野ォォーーーーーーーーーーッ」

役者さんの雄たけびが凄まじい。個人的意見ですが、演技力は水希の中の人がぶっちぎってると思うのよね。

 

水希がやる気を出しているため、当然神野も絶好調。

ノッブの絶望を媒介に生まれた悪魔が、いよいよその正体を晒す。

 

 

さしずめ害虫の集合体といったよう。みてるだけで嫌悪感をもらたらすビジュアルで、もう普通にキモい。

神「やあ、そんなにじろじろ見ないでくれよ。照れるじゃないか」

 「それとも、目が離せないくらい僕に興味を持ってもらえたかい?それなら嬉しいねえ」

キモい。

 

グロ画像を見せられても、水希の気概は衰えない。モノローグで語った通り、今の彼女は以前までとは一味も二味も違う。

......のだが、それでも神野の嘲弄は止まらない。その理由はすぐに現れて――

 

 

 

突如水希の脇腹に生えてきた虫の脚。神野曰く女王蜂のもの。

幻といった類でなく、完全に水希と同化した一つの臓器。切除したくてもできず、おまけに意志を持ってるかのように好き勝手に蠢く。テキスト追ってるだけで不快感やべえんだけど(゚Д゚;)。まさにこれ↓

 

能力のカラクリとしては親友セージのオマージュ。“神野に悪感情を抱いた者へ、異形のパーツを付与する”というもの。セージ以上に破るの困難じゃね?

これを機に、神野の舌鋒はより鋭く!信明くんの無念を晴らしてやろうと、悪魔は嗤う。

 

神「僕は甘粕(あるじ)が目指してる楽園(ぱらいぞ)とか、実のところどうだっていいんだよ」

 「セージに与える絶望とか、戦真館の連中とかさ。その他神祇省、鋼牙、辰宮――彼らに構うあれやこれやなんてのは全部二の次三の次だ」

 「僕の行動のすべては、君を混沌(べんぼう)に堕とすためにあるんだ」

 

これぞ神野が神野たる所以。姉への想いが歪み捻じれて誕生した存在。ゆえに生まれの業を果たさんと躍動!

戦場は完全に神野ペース。煽りに乗れば乗るほど、水希に増えていく蟲の数々。矢継ぎ早な詰りも、さすがは波旬越えと作者からお墨付きもらってるだけのことはある。

 

水希の気持ちが折れかける......が、こういうとき頼っていいものがあることを、彼女は学んでいる。

暗闇の中でも響いてくる、仲間たちの声。言い方が優しかったり乱暴だったりとそれぞれだが、みんなが水希が懸けてきたものが安くないことを知っている。

だからみんな揃って言いたいことは一つ!

 

「「おまえの戦の真を見せてやれ!」」

 

 

 

 

 

 

“あなたが傷つくと私は泣く。あなたが私の家族だから。心の通った言ノ葉をこそ伝えたい” 

“急段・顕象――犬飼現八、信道ッ!” 

 

 

 

仲間の声援を受け刀を握り直した水希に迷いはない。それに苛つきを隠さず、暗黒のオラショを奏でた神野へ、ついに水希の急段がキマる!

急段の成す効果は、時間の巻き戻し。発動条件は“対象との回帰したい時間の符合”

作中最高難度の協力強制。成立させることが出来たのは水希と、べんぼうの中にいる信明の、やり直したい過去が同じだから。従ってその日に向かって、水希はひたすらに突き進む。

神野は当然猛反発!何せ自身の核である信明の浄化は、そのまま敗北への直結コース。

これまでのヘラヘラした態度はどこへやら。余裕をかなぐり捨てた悪魔は、嘲りの言葉すら陳腐なものに。

 

神「女ごときが悪魔(ぼく)に逆らうな、苛つくんだよおおォォッ!」

水「いかにもモテない奴が言いそうなことねッ!」

 

 

時間逆行の効果は、こと戦闘面でも顕著に出る。

生えていた蟲パーツは尽く消滅していき、負傷もたちまち無かったことに。厳しい協力強制の見返りは、相手が悪魔だろうと問答無用。水希の元の戦闘力も相まって、凄まじい強さを見せつける!

この状況に後のない神野は、必死に信明に声をかけるが......最後の犬士である彼も漢気を発揮。神野の誘惑には断固として耳を貸さない。強くなろうとしてきた人間が、こんな悪魔に負ける道理はねえわな。

そんな弟の輝きを、姉が誰よりもわかっている。今度こそ彼への答えを誤らないと、覚悟は完了。

水希万感の一閃にて、神野を退ける。

 

 

そうして、巻き戻りは成る。

死別を超えて再会する姉弟、やり直すのは過日の告白。

 

信「好きだよ、世界中の何よりも」

 「僕は、あなたのことを愛している」

 

水「私もだよ。ありがとう、信明」

 「弟として、世界で一番愛してるわ」

 

 

 

信「うん――知ってたよ」

 「弟か。そうだよね、姉弟だもんね」

 

 「本当に、ありがとう」

 「ああ。僕はきっと、姉さんのその言葉が聞きたかったんだ――」

 

 

振られたノッブの表情に、影は一切ない。

あの日本当に欲しかった言ノ葉を受け、彼の魂は堕ちることなく天上へ。

惜しみつつも、弟の旅立ちを見送ることができた水希。彼女の長かったトンネルも、ここでようやくゴール。物語全体としても、一つの大きな区切り。やったぜ水希!

 

 

 

キャラ雑感

神野明影

この作品のキーパーソンとなった演出家。

こういう無軌道なキャラは物語を動かしやすそうなので、正田卿も便利に思ったんじゃないかなぁと予想。

ただまぁこいつや信明、四四八は設定が二転三転しただろうなと思わせるところも随所に見受けられたので、やはり厄介者なのかも(笑)。

なんにせよ、ストーリーを縦横無尽に暴れてくれて、我々爪牙を楽しませてくれました!あばよ二度とツラ見せんな!

 

世良信明

この物語の影の主人公。

シスコンをこじらせたことが、こんな一大事になるなんて彼も夢にも思ってなかったことだろう。甘粕が悪いよ甘粕が。

彼が持つ戦の真は、次回作で大いに発揮されることに。

 

 

盧生vs盧生→

 

 

出典元:www.light.gr.jp