「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterⅨ 感想
“奇跡にすがり、外道に落ち、涙なんかで報われない、祈りなんかで叶えられない、修羅道の果てにある夢を掴むため——”
記念すべき螢のイジメられ珍道中開幕。
可哀そう可哀そうと思いつつも「そうそうこれでこそ螢だな!」ってどこか納得してしまうあたり、正田卿の罪は重い。
序盤、学校がベイの創造領域内となり、螢が玲愛の監視を言い渡されるまでは香純ルートと同様の展開。
※「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterⅧ 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと
学校に到着する蓮だが、となりにいるのは司狼でなくエリー。
月学の制服がよく似合ってらっしゃる。
蓮「知らねえぞ。そんな薄手のひらひら着てどうなっても」
エ「アクションでパンツ見えるくらいあたし気にしないし」
もうなんか一周まわって漢前よね。
さらに、問題発言も。
エ「それから、この制服可愛いのはいいけどやっぱ寒いね。デザインした奴、かなりキレたセンス持った変人でしょ」
作中のキャラ使って、Gユウスケをイジメるな正田(笑)。ほんと仲いいな。
死森と化した校舎に入る2人。
ここも香純ルートと同じ流れで、玲愛と螢に接触。
だが、螢は前ルートとほどの戦意がない。舞台から外されたことが、よっぽど口惜しかったのか。
抵抗の意志すら見せないその姿に、敵である蓮からも呆れられる。
中庭では生徒たちを虐殺するカイン。
校舎内は本格的に創造を展開するベイ。
司狼がいない分、蓮側の戦力が圧倒的に足りない状況。実に歯がゆい。
ヴ「選べや、小僧。上か下か」
「どっちと戦う?どっちを助ける?どれを選んでも構わねえぞ」
悩んだ末、蓮は下=トバルカインを選択。香純の発見&玲愛の保護は、エリーに託す。
“トバルカイン——おぞましい死体野郎。俺はおまえのその在り方が、一番気に喰わねえんだよ”
徹底して死者の生を認めない蓮。
一人廊下にポツンと螢ちゃん。
なぜか敵意むき出しのヴィルヘルムに、あらためて自分が何者であるか告げる。
螢「私はおまえ達に育てられた、おまえ達の子供だ、ベイ」
ヴ「違う——」
「おまえは太陽の子じゃねえ、獣の爪牙でも、鬣でもねえ。何者でもなく何者でもない」
“何者でもない”ってなんで2回言ったんだろう?2重で何か意味があるのかな、それとも”何者にもなれない”と言いたかったのか。誤字が無いわけじゃないからなぁこの作品。
ベイによる戦力外通告。
さらに間をおかず、薔薇の杭が螢を貫く。
威力は折り紙つき。ここでゲームセットとなってもおかしくなかったが......螢の諦めの悪さはここから!
“胸にはただ、あの日の記憶が、未だ焼き付いて離れない”
陽だまりを取り戻すため、覚悟完了。
貫いていた杭を断ち切り、ベイを倒すことで黒円卓の資格を手にするとはっきり宣言。
みなさんご存じ、この手の啖呵が大好きなのがヴィルヘルム。
それでこそ戦士だと、この展開を寿ぐ。
両者たかだかと名乗りを上げ、どちらかの命を以てスワスチカを開くことを宣誓。
ヴ「てめえがな」
螢「いいや、あなただ」
いいぞぉ~、やはり敵同士のバトルはあらゆる作品で面白い。
中庭では激闘が繰り広げられる蓮vsカイン。
本来の操者リザがいないことで、カインの戦力は大幅に弱体化。
珍しく蓮の押せ押せムードだったが、突如カインの口からルサルカの声が。最高にアンバランスでキモい。
創造“拷問城の食人影”を発動。
カインの雷撃と連携させ、厄介極まりないことに。
しかしあらためて考えてみるに、ルサルカの創造って汎用性高いのはわかるんだが、いかんせん地味だな。覇道型なのに「影に触れさせなきゃいけない」っていう条件もよろしくない。ベイやエレオノーレなんかは強制的に領域内に効果発揮されるっていうのに...。
とまぁ嘆いたものの、形成位階の蓮には未だ高い壁。
校舎内に吹っ飛ばされる。そこには螢とベイの激突の爪痕。
次の日出勤してきた校長先生はコレをみて何を思うか。
屋上では......一方的にフルボッコにされる螢の姿が!!
ここまで大きな強さの開きがあると、共通ルートでベイ相手に「殺すか」なんてイキっていた螢はいったい何だったんだ...。
ボロボロにされながらも、こいつも珍しく冷静さを失わない螢。
ベイ的には気にいらない。曰く“ノリが悪い”。ブログ主的にはノリのいい螢なんてみたくねえ!
ベイの攻勢は止まらない。展開は変わらず一方的で、螢の攻撃は効果を成さず。
嬲り、いたぶり、そしてトドメとばかりに螢の心臓を杭が一突き。
......普通ならここで勝負あり。
普通ならね。
普通じゃないのが櫻井螢。
ベイの口元の出血に目が行き......それが炎によるものだと気づく。
わずかにも勝機を見出し、胸に宿る渇望を爆発させる――
“かれその神避りたまひし伊耶那美は”
“出雲の国と伯伎の国 その堺なる比婆の山に葬めまつりき”
“ここに伊耶那岐 御佩せる十拳剣を抜きて”
“その子迦具土の頚を斬りたまひき”
“創造——”
“ 爾天神之命以布斗麻邇爾ト相而詔之 ”
螢「これで少しは、いい勝負になると思うわ」
ヴ「ああ、そう願いてえな」
香純ルートでは不発におわった螢の創造。能力も”炎になる”というシンプルis best。
頼むぞ、螢。そろそろ良いところみたいぜ。
求道型(螢)vs覇道型(ベイ)。
「覇道型は効果範囲が広い分、取り込んだ異分子が多いと弱体化する」という、強力無比な覇道型にも弱点ありと螢の解説。戦闘中の説明はこれくらいさりげなくやってくれるとありがたい。イカベイはそのあたりがきつかった。
現状、取り込んだ強大な魂は、蓮・螢・ルサルカの3人。
苦しいんじゃないの?と煽ってみるも、
ヴ「だが、それで?」
戦争とはそういうものだろうと、戦争大好きマンは揺るがない。
創造を発動し、勝負は伯仲するかと思いきや......そうは問屋が卸さないのが正田作品。実力、場数ともに未だベイが上回る。
多角的な攻撃に、炎による透過も追いつかず。相性はこれ以上ないほどいいはずなのに、届かない。
ベイの捨て身の一撃も入り、今度こそ勝負あり。
強い。
ベイがここまで強いのがなんか新鮮だ。
“現世組最強候補”は伊達じゃない。
だがベイが強さをアピールすればするほど、こいつを一撃で退かした戒兄さんの異次元っぷりも際立つな。
魂を燃やした、命も懸けた――それでも60年前より存在する魔人には届かない。
螢が絶望する中、ベイは螢と同じ求道型の団員の名前を挙げる。
マキナ、シュライバー、そして——ベアトリス。
その名前が出た瞬間、「助けて」と下を向いていた姿はどこへやら。再び心に火がつく螢。
“ベアトリスと私が同じなら、あなたなんかに負けるはずがない”
“彼女の技を真似できるなら、絶対に私は勝てる”
そんな愚直な双眸に、ベイも楽しくて仕方ない。
一方避難中のエリー&玲愛、剣道場でカインをコントロールするルサルカを発見。
焦っていたエリーは、ろくに確認もせずマグナムをバキューン。珍しく痛恨のミス(;´・ω・)。
当然通用せず、さらに退避させていた玲愛も捕捉される。
どこもかしこも絶体絶命。
この状況に、ついに玲愛先輩がメメモってしまう...。
——Dies irae, dies illa solvet saeclum in favilla, teste David cum Sybilla——
唐突に流れ出す「Lohenngrin」。うわぁ、あいつ何かやっただろと一発でわかる優しい仕様。
ルサルカの手綱を離れたカインは、自我を持ったかのように激しく咆哮。
屋上にいるベイも、たまらずこの状況に咆哮する。
ヴ「クリストフッ——!」
「てめえ、俺を謀りやがったなァッ!」
戦力外通告を受けたのは螢ではなく自分だった、その事実に気付かされる。
ベイの領域内に降りてきたのはマキナ、シュライバー、エレオノーレ、トリファ。どいつもこいつもド級の魂持ちでヤバい。
カインの中で半覚醒したベアトリスも入れて都合八名の圧に、薔薇の夜が軋む軋む。
この展開を引き起こした張本人は、悪びれる様子などなく「玲愛が死を想うまえに、螢を殺しきれなかったおまえが悪い」という始末。
さらにこの時香純を回収・ゾーネンキントとしての核の譲渡まで行っている徹底ぶり。
ト「眠れ戦友、ヴィルヘルム・エーレンブルグ中尉殿。あなたは私が知る限り、もっとも優秀かつ勇敢な戦士の一人でしたよ」
だからもう用済みだ、と言わんばかりのセリフである。
当然ヴィルヘルムはこの退場宣言を認めない。
怒りの矛先が神父に向くことで、背後に立ち上がる諦めの悪い少女に気付かない。
螢の無我の一太刀により、吸血鬼ヴァルハラへ。
敵ながら哀れな最期に、さすがに同情してしまう。
ベイを撃破し、その場に崩れ落ちる螢。
そんな勝者を抱き上げる神父。
優しくいたわるその声音が怖い、怖すぎる(((;゚д゚;)))。
ト「娘というものは、どうしてこう成長が早いのでしょうか」
螢「......娘?」
ト「ええ、あなたをそうしたのは私だ。テレジアと同じ、あなたも私の娘ですよ、レオンハルト」
戒兄さんが聞いてたらブチ切れどころじゃないな(;´Д`)。
“黒円卓の家族”として認められたことは決して栄誉なんかじゃない、そのことを螢はすぐに思い知ることになる。
校庭では未だ戦闘中の蓮vsカイン。
ルサルカのコントロールを離れ、中の犬っころが顔をのぞかせる。
カ「貴様、誰カ......」
「貴様、聖餐杯カ......」
「聖餐杯ハ——何処ニイルッ!」
『Verfaulen segen』の恨みを晴らさんと、雷撃が嵐のように蓮を襲う。
蓮は満身創痍。だがこのカインの脅威を野放しにするわけにはいかぬと奮起。
脳裏には黄昏の浜辺。
“貴様にこの子の姿が見えるかッ!”
“彼女は生きてるときも死んだ後も、何処にも居らず何処にも行けず、永劫あの浜辺で止まっていたんだ”
“メルクリウスに目をつけられ、こんな凶器に宿らされ、あげく俺のような馬鹿に使われる”
“それでもマリィは、怒りも恨みも知らないんだ”
“それがどれだけ悲しいことか——”
“分かるまい、貴様のような未練がましい亡霊には”
香純ルートとは異なり、マリィへ深く想いを巡らせる。
本当の終焉・停止の理をみせてやると、創造位階に手をかける。
熱い、熱すぎる。ようやく主人公のターンが回ってきたぜ...!
カ「聖餐杯デハ......ナイ?」
蓮「......ああ」
「おまえは誰だ」
カ「私ノ、名前ハ......」
——Briah——
Donner Totentanz——Walkure
奔る雷撃、しかしそれを上回る蓮の速度。
必殺の刃が届こうとするも、横合いから揮われた剛腕により強制解除。
蓮のターンが回ってきたんじゃないのか......。つくづく主人公に厳しいゲームだぜ。
現れたのは黒騎士マキナ。流れる「Einherijar Nigredo」はまさにマキナの存在を表現しているかのように重厚。
マ「——双方、退け」
「ここでこれ以上の流血に意味はない」
この低音ボイスがたまらないんじゃあぁぁぁーーーー!
屋上のトリファも反応。
ト「お久しぶりだ、マキナ卿。やはりあなただけは何一つ変わっておられぬ」
「“城”は如何でしたかな?狂おしく待たれましたか?御身の渇望は今そこに。ああ、しかしその行き着く果ては無限の虜囚......あなたは変わらず終われない」
いやに饒舌だなこの神父(笑)。
こんな悪い顔ばっかしてるせいで、マリィルートでは鉄拳制裁を喰らうハメに。
エレオノーレも屋上に降臨。
シュライバーは剣道場でルサルカに撤退の指示。
学園がヤバい奴らで溢れて、まさにヴァルハラ。
トリファは螢に、役目を果たしたから好きにしていいと残し、その場を去る。
圧のある上司から解放されたと思ったら、こんどは圧しかない上司エレオノーレから話かけられる。螢マジ涙目。
エ「ふふ、ははは、何にせよ寿ごう。貴様らは名誉アーリア人とやらの身で、大隊長(われわれ)を除く八名中、もっとも早く獣の祝福を約束されたわけだからな」
「貴様もだ、キルヒアイゼン。敗者復活など、本来なら有り得んぞ。ブレンナーに感謝しておけ」
そしてついに、螢は真実に直面する――。
エ「貴様らは、大隊長(われわれ)と同じものになるのだよ」
黄金錬成=獣の戦争奴隷化。
螢が行ってきたことは、愛する人たちを終わらない戦争に駆り出すものであった。
絶望に打ちのめされる螢。
<ひどいよ...こんなのって、あんまりだよ...
「血の色は嫌い。火なんかみたくない」
香純ルートで吐露したように、本来戦いの人ではなかった螢。
それでも大切な人たちのために剣をとった。
その結果がコレでは、酷いなんてもんじゃすまされない。
無念と悔しさに包まれ、どうか許してほしいと泣きながらに兄を叫ぶ。
蓮もここに至り、カインが螢の兄であることを知る。
だがマキナは容赦ない。
動こうとするカインをボディブロー一発で黙らす。
さらにどうやったのか、蓮の形成すら強制解除。
...うん、もうやめよ?こんな化け物にどうやって勝つのさ(震え声)。
黒円卓、全員撤退。
ベイの創造もようやく完全崩壊。地味に粘ったなベイ。
蓮はエリー&玲愛と合流するも、そこに香純がいないことに歯噛みする。
それでも生き残ってくれた2人の無事と、屋上にいる螢に思いを馳せ、学園を後にする。
キャラ雑感
ヴィルヘルム
強かった!ベイは本編でも外伝でも格上と戦うことが多く、どうにも苦戦するイメージが強かったから、ここまで圧倒的な強さをみるのは新鮮。
しかしそれでじゃあ最後まで上手くいくのかと、そういう星の下には生まれていないのがヴィルヘルム。
けっきょく幹部連中の計画の歯車とされてしまったのが実におもしろ......ゲフンゲフン、実に悲しい。
濃厚なバトル回だった第9章。
というか螢ルートはバトル多めだからうれしい。
強いて文句をつけるなら一戦一戦が熱すぎて、読みおわったらグッタリしてしまうことか(笑)。
さぁ蓮よ、はやく螢を救うのです。そして存分にラブるのです。
ChapterⅩ Vanalgand→「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterⅩ 感想Ⅰ - ゆらりゆらりとゆらゆらと