ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterⅪ 感想

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“だからこそ彼はマキナ。機械仕掛けの神と呼ばれる”

 

前半は蓮とマリィの真の逢瀬 。

深く結ばれる両者のつながりに胸が熱くなるのだが、後半の邪聖vs鋼鉄の勢いにすべてもってかれる、色んな意味で破壊力満点な章。

 

 

黄昏の浜辺で一人、“こんな~時代もぉ あぁったねと~♪”といった具合に過去を振り返るメルクリウス。

マリィと出会い、代替わりを決意。

座にいる者の責任として自死はできぬと思慮にふけるその姿は立派だが、浜辺でマリィの残り香を嗅いでいるのではと考えるとやはり危険人物だ(震え)。

メ「彼が愛しいか、マルグリット」

水銀にしては珍しく寂寥感を帯びたセリフ。

息子へ真実を伝える準備に。

 

 

その息子は神父と行動を共に。

香純を部屋へ残したのが、後々裏目に。

トリファから諸々の情報を得る蓮。

しかしこれがまたブラフ混じりで悪質なもの。

目立った内容は、

・五色の一つ“黄”はラインハルトの聖遺物であり、破壊不可

 → 正しくはラインハルトの身体(器)であるトリファ自身。

  自身が攻撃されないようにこう言ったか。

・五色を削れば不完全な黄金錬成が発動でき、玲愛は死なずに済む

 →トリファの狙いは玲愛から香純へ母体の資格を移した上での黄金錬成(香純ルート参考)。

  なので、玲愛は死なないが香純は危険。

 

といった具合に同盟に都合の悪い箇所は伏せており、確認のしようがない蓮は鵜呑みにするしかない。

オマケに自分は誰よりもリザの気持ちを汲んでいると嘯く始末。

もう救えないよ神父様…。

 

 

螢は夢を見る。

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“もしも”の夢。

黒円卓など関係ない、ただの一学生だったら——。

学友たちと道すがら、恋・勉強・部活などそんな他愛のない会話で彩られる陽だまりの日常。

右側の眼鏡っ子の声はシュライバー役の人だと分かるが、左の子は誰だ?特徴だしすぎていて逆にわかんねえ...。スタッフロールで確認しなきゃ。

妄想の世界、群衆の中で最愛の人とすれ違う。

 

そして目が覚めると公園。

我らがシュピーネさんが散った、格式の高い場所といえよう。

側には物言わぬ屍兵。

螢「あれは私の希望(ユメ)なのかな。それとも、あなたの願い?」

 「顔も後姿も見れなかったけど、そこですれ違った気がするのよ」

さんざん人を殺してきたクセに、なんと甘い夢を見てしまうのだろうか。

しかしこの未熟さこそが“螢”。愛した人たちを取り戻し、自分自身も救われたい。

その甘さを後にトリファに指摘されることに...。

そんなナイーブになっているところに、Mr.イジメっこ司狼登場。

相性がかなり悪い2人。

戦闘になりそうなならなそうな絶妙な空気のところに、蓮&トリファも到着。

この不可思議なペアに、螢も司狼もびっくり。

 

さっそく神父による“レオンハルト説得(抱き込み)作戦”が始まろうとした瞬間、「なに義妹に手出そうとしてんじゃ変態!」とカイン(ベアトリス)大暴れ。

ぽかーんとする練炭とアホタルを差し置いて、魔女の知識を喰らった司狼は一計を考じる。

“信用できない神父をここで殺っちまおう”

蓮&トリファの夢のコラボは早くもオジャン。もう少し見たかった気もするが。

 

ここまで大した活躍がなかった分、飛ばしまくるカイン。

しかしこの暴走もトリファの掌の上。

“狂え、哀れな愛の亡者(ピエロ)よ”

“あなたが望んだ救済は、邪聖の祈りに食い潰されるが幸いと知れ”

11年前の悲劇を“茶番”と零す、この邪悪さよ。

それでも神父を嫌いになれない辺り、ブログ主はしっかり調教されています(^q^)。

 

蓮&司狼はトリファを急襲。

ここまで散々その頑強さを示していた神父も、創造位階に達した蓮の攻撃には思わずヒヤリ。

マリィの力が黄金に通じることが何気に示唆された瞬間。

いやぁ司狼とのタッグはやはり鉄板で、熱いね。

“今の俺にはこいつがいる。馬鹿で阿呆でどうしようもないチンピラだが、こいつと一緒に喧嘩しに行って負けたことはないんだよ”

このコンビが輝けば輝くほど、玲愛ルートラストの慟哭が胸に響く。

蓮との同盟を反故にされたトリファ。しかしそれは誘導されたもの。

「明晩、教会へ攻撃を仕掛ける」と言い残し、トリファは行方をくらます。

連戦が続いた蓮も力尽きてついにダウン。

 

 

そして夢の中で、ついに水銀パパにより明かされる蓮の真実。

“超越する人の理”

その正体は、メルクリウスがマリィを次代の神にするために創った人造神。

聖遺物を揮うための聖遺物。

前ルートでも臭わされていたが、蓮自身が事実に直面するはの何気にこれが初。

蓮「なに順応してるんだ、ありえないだろ。いきなり殺されかけて、巻き込まれて、ちょっと悩んだようなポーズ取れば殺すことにも躊躇なしかよ。絶対おかしい、普通じゃない。そんなただの学生がいるわけない」

こういった心情をしっかり描写してくれるのはさすがとしか。

なろう系作者たちはぜひこの辺りを綿密に設定してくれよ。

薄っぺらい主人公なんて不快なだけだからな。

 

マリィもまた回顧する。

メルクリウスと初めて出会った日。いきなり告られて、「アナタの奴隷」宣言されて、跪かれた日。

......いきなり会ってこれか。やっぱあいつハンパねえな。

しかしそれも今は昔。

蓮という一個人を愛し、“代替”などと思ってしまった過去を詫びる。

そしてアイデンティティを見失った蓮に対し、シモン兄貴よろしく「アナタが信じるわたしを信じて」とそっと寄り添う。

——葛藤の末、答えが出る。

蓮「俺はマリィを、幸せにするためだけにいるんだよ」

マ「わたしも、レンのためだけにいるんだよ」

おれもおまえらのイチャイチャを見るためにいるんだよ。

 

 

時は1945年4月10日。

イザークが揃い、黒円卓最初で最後の全員集合。

作中でもかなりのキーパーソンなのだが、本格的な登場はこんなに遅かったか。

イザーク少年の渇望、それは“帰りたい”

しかし帰る場所が分からず、ゆえに総てを呑みこみ見つけ出さんと、父と同じ世界を望むことに。

そんな祖父の夢を見た玲愛。

場所は黒円卓の間、傍らにはなんとエレ姐さん。

この2人がタイマンで話すシーンがあったなんて、再プレイするまですっかり忘れてたよ。

話の内容はゾーネンキントまわりのことがメイン。

リザやトリファの話をするときの嗜虐的なセリフがいかにも姐さんらしいや(誉めてない)。

黄金による祝福の日を楽しみにしとけよ残し、姐さんは姿をくらます。

監視の目が無くなり、明らかに泳がされていることに気付きつつも玲愛は動く。

蓮への届かぬ愛の告白が切ない。

 

 

そしてその玲愛を待つトリファ。

場所は学校。香純を攫い、螢を誘い出し、蓮たちを遠ざける。

当初の計画とはかなり違うはずなのに、この見事な立ち回り。

邪聖の真骨頂ここに極まれりといったところか。

狙いは第七を開き、玲愛の資格を香純に移すこと。

 

一方、螢。

一応自分の頭で考えて神父の下に来たものの、まんまと神父の策略通りの展開に。

螢の手の中で震える“青褪めた死面”

カインがプンプンしてる理由を神父に問いただす。

しかしその程度の怒りなど可愛いもんだと嗤う神父。

香純ルートを彷彿とさせる、トリファの歪みの真価が露わに。

ト「私は永劫苦しまねばならない。救いなど要らぬ。祝福は遠ざかっていけばいい。たった独り、何処までも、歩き続けるのだ、永遠に」

 「あなたの?彼の?彼女の憎悪?断罪?笑止。私が科す私への罰。それに勝るものなどない」

その罰をおまえは喜んでいるだろう!と弾劾してくれる主人公はこの場におらず。

恐怖に駆られた螢は突撃するも、当然傷一つつけられず。

蓮とは結ばれず、兄や義姉とも会えず。このルートの螢の痛々しさは見ていて辛い。

そんな螢へ、神父からトドメの一言「自分も救われたいだなんて思うな」

完膚なきまでに言葉でねじ伏せ、おまえもいつか掬って(救って)やるよと“白鳥の騎士”を紡ぎ始める。

そんなすごいタイミングで玲愛登場。

制止にはいった彼女だが、詠唱は止まらず。

むしろ矛先を玲愛に変え、資格簒奪を狙う。

トリファの悲願達成の瞬間——。

 

エ「馬脚を現したな、下種が。鍍金の剥げた代行(きさま)など、もはや一片の価値もない。分際を知れよ、劣等。貴様ごとき、どれだけ望もうとハイドリヒ卿にはなれん」

 

怒れる姐さんにより、神父の王手は潰される。

しかしアレだな、“ベアトリスの復活”という特大のイレギュラーがないと、つくづく神父に当たりがキツいな姐さん。

だが、この姐さんの乱入は、あくまでトリファの想定の範囲内

どころか、おまえじゃあ玉体に攻撃できねえだろと余裕すら窺わせるその態度。 

それでもエレオノーレは確と告げる。貴様の敗因は戦士を侮ったことであると——。

 

 

先の神父の宣言を真に受け、教会へ向かった蓮&司狼。

しかしそんな彼らを待っていたのは生首だけとなったルサルカたん。

狂犬との第三帝国闘争歌のデュエットは、可愛らしくも恐ろしい。

にしてもこのルートのルサルカ、イジメられすぎである。

 

 

そして学校では、いよいよ現れた“神父ぜったい殺すマン”ことマキナ卿。

トリファの笑顔もようやく消える。

教会で蓮とかち合わせようと目論んでいたものの、“全力勝負”を至上としているマキナは策に流されず。

7つしかスワスチカが開いてなかった螢ルートでも、できれば戦いたくなかったって言ってたしな。

マキナのガチホモぶりを読み切れなかったトリファ。逃げたくても既にエレオノーレの結界内。

エ「詰みだ、クリストフ。貴様の巡礼とやら、ここで終わる」

王手をかけられたのはトリファの方。

 

あらゆる保護が施された聖餐杯も、マキナのご都合主義パンチの前では紙に等しく。

お得意の口舌も、ぶれない鋼の武人には通じず。

 

勝負が決まったと高をくくっている姐さん。

玲愛へトリファの正体と目論見を丁寧に説明。

三騎士って姐さん以外マトモな会話が難しいから、どうしても姐さんのセリフと出番が多くなるな。

大事な器である玲愛への態度は丁寧なものの、ベアトリスの後任である螢に対する当たりの強さは異常なほど。

エ「猿回しの猿にも劣る、不格好な踊りを幾度も私の視界に入れていたが、罰が欲しいのか貴様?」

 「いいぞ、今はすこぶる機嫌がいい。名乗れよ能無し。貴様どういう了見で、私の部下を愚弄している」

やっぱり嗜虐家じゃないですか...(((;゚д゚;)))

そのまま焼却処分にとりかかろうとする姐御に、ついに叛逆の決意を固める螢。

エインフェリアなんか認めねえと気炎をあげる。

...が、気質、渇望、面倒くささ、全てにおいて完全上位互換であるエレオノーレ。

螢の炎なんて通る訳もなく。

あっという間に敗北。本当に螢にいいところがないなこのルート。

 

しかしそんな義妹のピンチに、黙っていられなかったカイン(ベアトリス)が乱入。

トリファ最後の賭けが見事ハマる。

大隊長2人もカインの中の人に気付く。

特に大喜びなのがやはり姐さん。

吶喊してくる戦乙女に最愛の炎をプレゼント。ものの見事に灰燼に。

長年戦ってきた理由を目の前で失う螢。

エレオノーレへ向けた怒りの一撃、それがまさかのクリーンヒット。

学校の結界が解ける事態に。

 

この一連の流れにトリファは嗤う。

あとは時間を稼ぎ、蓮の到着を待つのみ。邪聖最後の奸計。

しかしマキナはただ苦笑するだけ。

なぜなら、蓮は進路上で天敵シュライバーの妨害に遭っている。

そして、そもそも終焉を望んだ男の渇望は、時間稼ぎなどできるものでもなかったゆえ。

 

“死よ 死の幕引きこそ唯一の救い”

“この毒に穢れ 蝕まれた心臓が動きを止め”

“忌まわしき 毒も 傷も 跡形もなく消え去るように”

“この開いた傷口 癒えぬ病巣を見るがいい”

“滴り落ちる血の滴を 全身に巡る呪詛の毒を”

“武器を執れ 剣を突き刺せ”

“深く 深く 柄まで通れと”

“さあ 騎士達よ”

“罪人に その苦悩もろとも止めを刺せば”

“至高の天はおのずから その上に照り輝いて降りるだろう”

 

“Briah——

“人世界・終焉変生”

 Miðgarðr Völsunga Saga

 

一撃必殺のその効果はまさに「ぼくがかんがえたさいきょうののうりょく」。

厨二どころか小学生が考えそうな代物だが、正田卿の手にかかればものの見事に物語に組み込んでくれる。

 

追い込まれたトリファ、切り札たる“白鳥の騎士”で迎撃態勢。

しかしそんなトリファへ、マキナは拳よりも痛烈な一言を浴びせる。

マ「相変わらず子供を殺すしか能がないのか」

ト「——抜かせぇッ!」

 「私は二度と、私の愛を失わない」

 「私は負けぬ。私は死ねぬ。私は永遠に歩き続ける——止まりなどしない!」

 「永劫償い続けるのだ。あなたのような都合のよい安息(おわり)など要らない」

トリファらしからぬ、焦燥とプライドを帯びた魂の叫び。

しかし幕引きの一撃は、無情にも聖餐杯を砕く。

 

螢ルート同様、代行の退場=首領の出陣を意味する。

ラ「大儀だ、聖餐杯。卿の巡礼、私の中で永遠に続ければよかろう。そう悲観したものでもあるまい」

大隊長達の唱和の下、現世に呼び出される“至高天・黄金冠す第五宇宙”

もうだめだ...おしまいだぁ...。

 

 

キャラ雑感

トリファ

これまでの集大成といわんばかりの暗躍ぶりも、ついに今章で幕引き。

まぁこのルートだと徹頭徹尾なにかしかの妨害にあっていたから、むしろよく粘ったほうではあるが。

格上から格下までレスバでねじ伏せれるこの男が、マッキー相手だと手も足も口もでなかったのは新鮮かつ驚愕。

しかしここまで都合3ルートすべておいしい役どころをもらっている彼が、まさか次のルートでもおいしい出番をもらっているだなんて......。この男は神に愛されている。

 

ChapterⅫ Ring des Nibelungen→「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterⅫ 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと

 

 

 

出典元:www.light.gr.jp