
“愛したのだ。愛していたのだ。全霊を込めて私はあなた達を救いたいと願っていたのだ”
香純ルート最終章突入。
13章はとにかく大ボリューム。
とりあえずあれだ、カールクラフト死ねって言っとこう。
トリファの過去。
生まれながらにサイコメトリーの力をもっていたサイコメトラーTRIFAサイコメトラーEIJIなんて若い子しらないよね......。
コントロール不可なその能力に参ってしまったトリファは、自己の救済を求め聖職の道へ。
しかしそこに救いはなく、漫然と死に向かっていく中、訪れた運命の日「黎明」。
“他者と世界観を共有できない男にとって、黄金と水銀の超常性は祝福だったと言っていい”
そして誕生した集団・黒円卓。
どいつもこいつも日に日に強大に(変態に)仕上がっていくなか、トリファが抱える——別人になりたい——という欲求も膨れ上がっていく。
そんな肥大していく渇望に耐え切れず、神父様家出を決意。
家出後、孤児院で子どもたちとキャッキャウフフな生活を送る神父。
一方そのころ黒円卓は、修道女を拾ったり、森でセクシードレスになったり、ジャガイモ買いに行ったり、“夜”にボコられたり、太陽に灼かれたり、失恋したり、なんかいろいろあった!
「Dies irae ~Interview with Kaziklu Bey~」感想Ⅰ - ゆらりゆらりとゆらゆらと
そうしてメトシェラ討伐後、神父の前に姿をみせる黄金とその近衛3人。

......メンツがガチすぎるだろ。どんだけ神父好きなんだよラインハルト。
ラ「十人」
「卿の値段だ。それを代価にここで支払え」
計ったかのようにその場には10人のユダヤの子どもたち。逃げた罰なんだろうけど、それはあんまりな仕打ちでは......。
そして、差し出してしまうトリファもまた救えない。「愛していた」と嘆くだけ。一人また一人と散っていく。
——そうしてこの世に神はいないと悟った神父は、真に完全なるモノへの変貌を望む。
ト「私が神(あなた)になるのだ、ハイドリヒ卿」
教会に着いた香純は、出迎えた玲愛と会話。

玲愛もまた泉の子どもたちより、真実を知る。
玲「私、頭きてるの」
「今でも、リザのことがあまり嫌いになれない」
そしてそんなリザが「生かしたい」と願ったヨハンの血脈・香純がここに来たことが許せない。
だが、香純は穏やかに、力強く、
香「あたしが来たのは、勝つためです」
自分たちの出会い・友情が、仕組まれたものなんかじゃないと信じ、人を殺めてしまったケジメをつけに来たと語る。
当然、大好きな男を守るためにも。
香「先輩、蓮のこと好きですか?」
「あいつの駄目なところ、十個くらい言えます?」
そして挙げられる主人公のダメな点......もとい彼女たちが惚れているポイント。
“藤井君の良くないところ。それを挙げろと言われれば、絶対これだけは外せない”
「みんな一人で片付けようとするところ」
「みんな一人で片付けようとするところ」
香純の狙い、それはゾーネンキントとして劣っている自分が矢面に立つことで、黄金錬成を不完全なものとさせること。
すばらしい目のつけどころなのだが、最悪なのが神父の狙いも同じという点。まさかトップの代理が裏切り企んでいるなんて思わんものなあ(-_-;)。
いつか来る幸せな未来を夢みて、前を向く2人。
玲「どっちが藤井君とゴールするかは、今日の頑張り次第ってことで」
香「あたし負けないですよ、姉さん」
“ああ、頑張ろう。戦おう。私たちの好きな彼のために、二人で人事の限りをつくそう”
香純にひっぱられる形で玲愛もまたググンと魅力が上昇。自身のルートでみせる戦う姿勢を、こちらでも発揮してくれてうれしいしカッコいい。
力持つ持たない関係なく、ただ守られるだけのプライドのないヒロインなんて正田作品にはいないんすよ。だからみんな魅力が超新星爆発してる( `ー´)ノ。
2人はトリファの招きの下、教会内へ。
道中、佇む螢へ声をかける香純。大切なものを失った彼女に同情し、だが大切なものは何と引き換えにしたって釣り合わないことを告げる。
この言葉が、螢の運命を決める。
一方、遅れて教会へ進む蓮一行。
「帰るときも全員一緒だ」なんていう特大のフラグをしっかり建てて、到着。
門番は、出番多すぎて敵側の主人公みたいになってるヴィルヘルム。因縁ができてる司狼に託し、蓮は礼拝堂まで進み、螢と対峙。
さてさて、ド本命との決着と城への登城が迫って、ウキウキ気分のヴィルヘルム。
司狼だけでなく、蓮や螢、最終的にはトリファをも殺すと猛る。むしろここまでよく性悪神父に従ってたもんだ。肩書とか立場とか、粗野な性格のクセにそのあたり妙にキッチリしてるんだよなコイツ笑。
そしてそれゆえか、城に召し上げられなかったことを根に持っており、そらもうめちゃくちゃ愚痴る。
司狼と初見ユーザーが激しくおいてけぼりをくらう中、一人勝手に納得して戦いをおっぱじめる!......もうなんなんだよこのチンピラ。
さらにその初撃が、よりにもよってエリーに命中!「あと数分で死ぬぞ」とシャレにならない煽りを((((;゚Д゚))))。
“心配するな”
“しちゃいないよ”
“まあ見てろ”
“うん、任せたから”
...はぁ...おまえら戦闘中だぞ?死ぬかもしれないんだぞ?
なんだその舐めたやりとりは......。
最高に萌えるじゃねええええかああああぁぁぁ。
なんだよアイコンタクトってよぉ!
主人公とヒロインより通じ合ってるじゃねえか、大いに結構。
こういうのは大好物だっつうの!
しかし状況はどうあがいても絶望。
最初からトバシてるヴィルヘルムに、ちぎられては投げられちぎられては投げられ。礼拝堂の屋上までぶっ飛ばされ、やられたい放題。
だが、ただやられっぱなしで終わらないのが司狼。煽りスキルは一級品。何をしたかというと、ベイの顔面に靴をポイっ。
こんなこと夜の街の怖いお兄さんにやったらコンクリに詰められ暗い暗い海にフライアウェイすることになるだろうが、変態ヴィルヘルムは一味も二味も違う。
喜んだ。そりゃあもうとびきりの笑顔で。
ようやく出会えた自身と対等の目線を持つ存在に歓喜する吸血鬼。
そっと肩に手を置き、“夜”という最高の環境の下、創造を発動する——。
すぐ真下で戦う蓮たちに、さっそく降ってかかる死森のデバフ。
この機を逃さんと、螢は室内を炎で満たし酸欠を狙う。

...
...
いやいやここまで来て酸欠て!!!ショボ!!
でもって蓮に効いてるしっ!
上で戦ってたやつらのほうがよっぽど異次元バトルしてたぞ......。
螢「こんな、策ともいえないような手で、簡単に追い詰めらるなんて......」
いやほんとだよ。てか活動使えば礼拝堂に風穴あけるくらい余裕じゃねえの?上のほうステンドグラスあるの見えんのか練炭。
病みまくっていて精神状態が芳しくない螢は、弱い弱いとボソボソボソボソ蓮を詰る。
“ぶつぶつと死んだ魚みたいな目で、ネガい台詞に酔いしれてんじゃねえ”
“のうのうと自分のシナリオ垂れ流してんじゃねえ。俺は俺のジャンルってやつの中で生きてるんだ”
すごい、仮にもルートヒロインに対して抱く気持ちじゃない(笑)。
蓮はキレたとき根っこにあるヤンキー属性が顔をだすのがいいね。隠してるつもりだろうけど、こういうとこ司狼といっしょだぞ。
対する螢は中身は子ども。11年前から止まったまま。ラインハルトの圧にビビリ、支えとなった存在はもうおらず、完全にメンタルが折れている。
心の鎧が剥がされ、真実の言葉がでてくる。
螢「血の色は嫌い。火なんかみたくない」
これが螢の本音。言いたくてもずっと口にできなかった心からの言葉。
「失くしたものは取り戻せない/もう手を引け」という蓮の説得も、いまさら引き返せるほど彼女の心は柔軟ではない。
螢「私は馬鹿なの」
「藤井君は悪くない。藤井君は悪くない。馬鹿は私。愚かなのは私。分かってる。分かってる。分かってるのよォッ!」
「分かってるけど、だからごめんなさい悪かったわって、今さら言えるわけないでしょう!」
八つ当たりのように刃を振り下ろし、死ね死ねと泣き叫ぶ。
「メンタル弱すぎ笑」とさんざんバカにしてきたが、こうまで叫びながら当たり散らすその様は「あぁ中身ほんとうに子どもなんだな」と、その強くなれなかった幼少時代に憐憫を感じてしまう。
螢「それができないなら、殺してよ。ねえ殺してみせてよ。あなた強いんでしょ、ヒーローなんでしょ?」
「もう嫌なのよ、冗談じゃないのよ!早く終わって!お願いだから!私はもう、一秒だって聖遺物(こんなもの)に触っていたくないッ!」
緋々色金は泣いていい。
螢が強さを見せるのは、自身のルートとマリィルートだが、ここまで弱さをさらけ出すのは香純ルートだけかもしれない。
え?玲愛ルート?あの醜態は忘れろ。
誰を憎み、誰を恨めばいいのか分からず、病んだ末に「全てどうでもいい」という結論に達した彼女。切り札たる創造を解き放たんとする——。
屋上ではベイの夜に吸われる司狼。
ヴ「俺の夜は破れねえ。ハイドリヒ卿と一つになって、世界丸ごと枯れさせてやる。てめえも俺らと城で遊ぼうや」
ヴィルヘルムはすでに勝利を確信。司狼を誘うあたりほんとに気にいってるのがよく伝わる。
だが勝ちをあきらめていない司狼は、右腕を引きちぎり十字架のオブジェの背後に逃げる。その様を「悪あがきだ」とベイ。空間から召喚した杭により、槍衾に。
秘策である銀の弾丸も見破り、ここに形勢は決まる。
想い人を吸い、城へ上がる――宿業を破り、“英雄”という名誉はもう目の前。
だが、観測者由来の性根の悪さなのか、自滅因子としての特性か、はたまた単に譲れないプライドからか、「お宅のお子さん、いじめられてるよ」クラスの爆弾発言を、司狼は口にする。
司「敵とまともに戦おうとしねえこんなもんが、英雄の条件なわけねえだろう」
「てめえが城とやらに上がれねえのは」
「単にてめえが、道ってやつを知らねえ畜生だからだ」

“ヴィルヘルムの渇望は英雄に似つかわしくない”という、たぶん周りのみんなが気遣って言わないであげていたことを言ってしまう司狼マジ司狼。
その図星ともいえる発言に怒号し、吸血鬼はすぐさま殺さんと迫る。
司狼はここで、銀以外のもう一つの弱点“炎”に勝機を見出す。
準備していた手榴弾で屋上に穴をあけ、礼拝堂にたまっていたガスにより大爆発を起こす。
創造状態という原典の吸血鬼に近くなってしまったツケで、聖遺物を介していないこの攻撃にも甚大なダメージを負ってしまうヴィルヘルム(そんなんで大戦中の空襲のときよく生きてたなおまえ)。
司狼は銀の弾丸で追い打ちをかけるも、意地のある吸血鬼は止まらない。
ヴ「俺は負けねえッ!」
司「てめえの負けだッ!」
ヴ「俺に勝てるのはあの人だけだァッ!」
司「蓮以外に俺が負けるかァッ!」
炎上する屋根から落ちる両者。
勝敗を分けるのは、勝利の女神。
エ「 ——司狼ォォッ!」
「上ッ——手を伸ばしてッ!」

司「くたばれ吸血鬼(ヴァンビー)、地獄でジークハイル謳ってろ」
ヴ「やるじゃ、ねえ、かよ......くそが」
“聖遺物を用いず魔人を殺す”という偉業を達成(右腕が無事なのはご愛敬)。せめてヘルガがサゲマンじゃなかったら......。
だが、結果的に少しだけ満足して逝くことができたヴィルヘルム。呪いの踏破としては最良ではなかったかもしれないが、これはこれで彼の救いとなる一戦だったのでは。
礼拝堂内でも決着。
爆発の混乱に乗じ螢を組み伏せ、こちらも試合終了。
都合の良さ、友情パワーを含め螢は負けを認める。その表情と声は、まるで憑き物が落ちたかのようで――。
螢「私は何がしたかったんだろう。本当に大事なものは、失くしたら戻らないのに」

地球とだって釣り合わない……そんな当たり前の算数もできなかったと涙を流す等身大の彼女。泣きたいときに泣けなかった彼女の11年間を考えると、こちらの涙腺もなんだか刺激される。
そんな螢を見た蓮は、刃を戻す。
蓮「櫻井螢は死んだ」
そう告げ神父の下へ向かう。
螢の救済としては、とても素晴らしいの一言に尽きるのがこのルート。彼女は一旦ここで退場するのだが、最後にもう一度魅せ場も。
まっとうな人として産声をあげた螢。
一方司狼は笑顔で逝く。

穴だらけじゃねえか......。
十分すぎる戦果を挙げたものの、エリーはこの結末に不満。
エ「あったじゃんこれも。あんたが相打ちになるのだって、デジャヴのうちだよ......」
「いつか抜け出してやるよ。そうすれば、次はもうちょっと面白くなってるでしょ」
このルートにおける2人の出番は終了。デジャヴからの脱却はまだまだ先の話。
......しかし自滅因子の設定やベアトリスラジオの描写をみる限り、司狼死んでないよね?
蓮の生存により、司狼も復活。エピローグでエリーがいなかったのは、2人で姿をくらましたからでは?と勝手に憶測をたててみる。
でも司狼は不死性ないんだっけ?だけどスワスチカで散ったなら城に上がってるわけで、ベアトリスラジオで存在が確認されてないのが謎だ。あれ一応公式アフターだよな。
とそんなこと書いてたら文字数けっこういったので、後半戦は次の記事で。
他のルートの13章はどれだけのボリュームになってしまうんだ...。
続き→「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterXⅢ 感想Ⅱ - ゆらりゆらりとゆらゆらと