「Dies irae Omnia vincit Amor」感想
“君を守ろう。もう一度ここに誓うよ。流転する命の輝きを、傍で永久に見守ろう”
“何も見えず聞こえなくなっても、そのことだけは忘れない”
“君を誰より愛している”
ブログ主が「Amantes amentes」を購入し、本当の本当に良かったと思えた、史上最大最高の追加エピソード。
マリィルートの後日談にして、神咒神威神楽の前日譚。
女神の法が、敵も味方も関係なく総てを包む第五天。サブタイトル通り、愛は総てを超越するのだ。
このエピソードをプレイした後、改めて最低最悪のウンコ野郎の存在が許せなくなる。
物語は、怒りの日より60年後。
ベルリン芸大に留学したスパルタ先輩を追っかける、後輩ワンコのモノローグからスタート。
マリィの法則がつつがなく機能していることが早くも察せられ、開始数秒で感無量。゚(゚´Д`゚)゚
しかしせっかくあの超絶イケメンと付き合うことができたのに、それをほっぽって怖い先輩のところに行くとか……前世からの調教が魂に刻みつきすぎだろ…。
到着駅では、さっそく会う会う因縁のメンバーたち。
この嫌そうな顔(笑)。
どいつもこいつも(ドイツだけに)転生してすっかり丸くなり、ヒャッハーしていた前世はいったい何だったんだってレベル。
神咒を意識してか、妹(咲夜?)もゲスト出演。
声音だけでおしとやかなお嬢様ってのがわかる。ヘルガからどうしてこうなった...。
そんな妹に頭が上がらないノッポ兄貴。刑士郎臭がぷんぷんするぜ。
アンナちゃんも転生して優しいお母さんとお父さんの下に生まれてよかった。
抱きしめてほしいという渇望は、マリィの世界と最高に相性いいじゃないか。
駅をでると、今度は赤毛コンビ。
この組み合わせも螢ルートを思い出すと苦々しいが、第五天では息の合った掛け合いで実にナイスコンビ!
むしろここまで相性がいいと、後輩の影が霞んでしまう...。
しかし赤アンナちゃん、かわいいぜ。女神を除きあやうく恋をしそうになるところだった。
そんな赤アンナちゃんに懐く白アンナ。
やりとりを見ていていると、やはりこみ上げてくるものがある。
前世での行いとはいえ、赤アンナは一発ぶん殴ってもまったく問題ない気がする。
初めてのベルリン。
なのに何故だか懐かしく、そして胸に迫る“何か”を感じる後輩。
戦乙女の出生地はたしかベルリンだったね。
話の流れで、赤アンナ添乗員によるベルリンツアーが開幕。
その有能ぶり、
“恐らく彼女は、こういう知識を蓄えて活用する行いが、生まれついて上手いのだろう”
“自分だけが高尚な真理を分かっているという賢者とは違い、その言葉は誰もが分かり易く、そして非常に素晴らしいものだ”
前世と同じ、そして前世以上に輝かしくなった彼女の魅力。
おっといけない、なんだか涙腺が......。
そして訪れたブランデンブルク門。
ドイツの分断、統合の象徴。
1791年に関税門として完成して以降、ナポレオンの征服、第二次世界大戦での損害、東西分断の下にいた、まさに「歴史の証人」。
※ちなみに建造を命じたのはフリードリヒ・ヴィルヘルム2世。
その偉大なる門を前に、名状しがたい気持ちを噛みしめる面々。
とりわけかつて“道を照らす光になりたい”と願った少女にとっては、数多の苦難や嘆きを壁ごと取り払った先人たちの意志を門から感じとり、憧憬の眼差しを向ける。
と、そこに通りがかる幸せオーラ全開の家族。
あぁ、もう最高じゃないか。
ブログ主が願った全てがここにある。
お父さんは教員。絶対天職だ。
金髪の長男くんもイイ感じに生意気で年相応じゃないか。愛されて育った証拠だ。
母に捨てられ、父親から見放された悲しい少年は、もうどこにもいないのだ。
え、涙腺?もうとっくに崩壊してますが?
しかし皆さん見事に国籍がバラバラだなぁ。
先輩・後輩は日本。白アンナと白兄妹はドイツ?
赤アンナはロシアで、教員一家はアメリカ。
これらの人間がまったく同じ日、同じ時間、同じ場所に集まるなんて、まるで誰かが運命的に出会わせたみたいじゃないか(棒)。
まったく、これだから女神は究極にして至高なんだ。
大聖堂では祈りを捧げる金髪の牧師の姿。
その内面は神に対する信仰などなく、あるのは懇意。
“見事なことだ、ああ美しいな。愛おしいぞ、よくやっている”
神様に対して、おうおうおつかれぇっす!と、まるで同僚に接するかのような尊大な態度。
その不思議な感覚に牧師自身も困惑。
そんなかつての親友の姿を見て微笑んでいるのは、やっぱりこの人!コズミックストーカー、メルクリウス!!
コイツが消滅していないため、黄金も潜在的に自滅因子を保有。その格は未だ覇道神。
しかし敗者の義務はしっかり弁えている。
黄金は自身の渇きを自覚させることなく、一人の人間として生きていく。
“飽いていればいい、飢えていればいい”
そんな友の矜恃に感謝しつつ、メルクリウスは改めてマリィに恋をする。
メ「我ら共に、この世界を見守っていくとしよう。今のところ、私も死にたいなどと思っておらぬし、あなたにそれを求めようとも思わない」
「既知(わたし)から解き放たれ、されど再び、集ったこの絆(レギオン)に——未知の喜びを見よう(アクタ・エスト・ファーブラ)」
諦観と妄執の権化だった蛇はもうどこにもいない。
そうして、大聖堂にかつての幻想たちが全員集合。
赤アンナとパパ先生の話題は、大昔に人や物の心が分かる神父がいたこと。
「Die Morgendammerung」でのトリファとルサルカとまったく同じやりとりが展開。
“彼が救われるには、脳も魂も総取っ替えして別人になるしかない”
結局、「 黎明」の時と同じ答えに辿り着く……かと思いきや、赤アンナさんはもう一つ別の答えを導き出す。
ア「例えば……そうね、生まれ変わりとかどうかしら」
「生きてる間に辛いことがあった分だけ、次は幸せになれるって仕組み」
「これならほら、さっき話に出た神父どころか、みんなみぃんな救われちゃうでしょ?」
それは一見夢物語。子どもが描くような誇大妄想。
しかし第五天の世界では、それは絶対の法則。
抱きしめたがりの女神は、誰かを見捨てるなんてことはあり得ないから。
最後にこの出会い、この至上の刹那を大切にしようと、後輩は記念写真を撮ることを提案。
ナイス提案と思ったが、おいおい、いったい誰が写真を撮
シ「はいはい。この私になんでしょうか、元気なお嬢さん!」
あ、
あ、
あなたは!!!??
シュピーネさあぁぁぁぁん!!!!!
あなたも転生されてたんですね!
やはり主人公。最後の最後に登場するなんて、さすがだ。
粋な計らいをしてくれるぜ正田卿!
写真撮影に絶対の自信をもつ清掃員さんの協力の下、とびきりの一枚をパシャリ。
抱きしめる喜び、抱きしめられる温もり、そして安らぎを感じ、閃光であった少女は、ここに帰ってこれたのだと喜びを享受する。
キャラ雑感Ⅰ
後輩
かつての戦乙女。前半パートの主人公。
「戦争」という影が無くなったため、すっかりただの陽キャラに。
しかしこの明るさは貴重。
どの人物とも満遍なく絡めるのはおそらくこいつくらい。
第五天の世界で戒と結ばれてるものだと思っていたが、14歳神の采配は鬼畜だということをこの時のブログ主はまだ知らなかった……。
先輩
いくら転生を重ねようと“ドS”という宿業は拭えないのか、相変わらずのツンぶり。
しかしそこに愛を感じるのも、また姐さんの魅力。
こんな漢前な先輩がいたら、学校中の女子は男子に見向きもしなくなっちゃうよ。
アンナ
赤い方。
老獪な部分が消え、とってもキレイなアンナさん。
白いワンコに懐かれるのは、彼女にとって良いことなのか悪いことなのか。
飛び級で留学してる辺り、頭の良さは相変わらずか。
というかシンプルに魅力的すぎて惚れた。
アンナ
白い方。
幸せな家庭で育ったため、前世での壊れっぷりはどこへやら。強烈なまでの癒し属性持ちに。
しかし着ている服が「黎明」と丸かぶりなのが少し残念。
せっかく生まれ変わったのに、格好のせいでどうしても怖いイメージが拭えない……。
シスコンノッポ
相変わらず“白蝋”と例えられるほど、白肌のヤンキー。
妹の存在もありどちらかというと、ベイより刑士郎成分が強かったね。
この世界のどこかで、かつて取りこぼしてしまった天使と再会してほしい。
お父さん
生まれ変わったことにより、サイコメトリーという呪いのような能力から解放されて何より。
冴えない風体ながら、その穏やかで柔和な性格から、美人の奥さんをゲットするのも納得。
第五天の世界において、最も救われたといってもいい人物の1人かも。
そしてだからこそ、邪神の細胞許さずと誰よりも早く淡海に出陣したのかもしれない。
お母さん
随所でそのおしどり夫婦っぷりをアピールしてきやがって、末長く爆発しろ。
当たり前のように長男を愛してくれていることが、とても嬉しい。
彼女にとっても、“子どもを育てる”ということがようやくできた、まさに念願叶った世界のはず。
長男くん
年寄りじみた前世とは打って変わって、年相応のひねくれボーイ。
生まれてくる次男に愛情を持ってるあたり、根はめっちゃ良い子。
あらためて、イザークとヨハンの会話や、ヨハンがイザークのことをどう思っていたのかとても気になるところ。
その辺の補完は……ムリっぽいよなぁ。
清掃員さん
もはや語るに及ばず。
その存在感、わずか数行の登場シーンにも関わらず、我々の脳裏に強烈にまで印象を残していくそのカリスマ性。
真面目な話、演じられているはらさわ晃綺さんの演技は神がかっていると思う。
このキモかっこよさを十二分に表現できるのはこの方しかいない。
牧師
かつて世界を呑み込もうとした男の生まれ変わり。
最大の敵手であった者でさえも、抱きしめてしまうマリィの器の大きさよ。
総てを愛したいという渇望も、全力を出したいという望みも封じ。来たる決戦の時まで、黄金は人として生きていく。
メルクリウス
女神の世界から排斥されすっかり落ち込んでいる……
と思ったら、ノリノリで世界を見て回る、どこまでも無敵な人。
今回ベルリンに集ったかつての団員たちを目にし、ますますマリィにぞっこんになってしまった。
こいつが女神の守護者となったら敵なんかいないだろ……そう思っていた時期が僕にもありました。
前半パートだけでも充分に感動的で、これだけでお釣りが返ってくるくらいの完成度なのだが、続く後半パートはさらにとんでもない代物に。
そこは病室。
60年経ち、すっかりお婆ちゃんになった香純。
孤児院の経営者兼園長先生と、肩書きは大変に立派なものに。
そんな香純の看病に集まる、かつての絆たち。
全員孤児として転生したというのは、よくよく考えるとどうなんだって気もするが、まぁ元気そうなのでなにより。
まずは司狼とエリー。
転生前とまったく変わらぬ捻くれぶり。そして変わらぬ愛情表現に自然と涙がでてきやがるぜ。
香純に孫を見せたいために妊活を調整してるなんて、ステキすぎて言葉がでねえよ。
地味に“ナラカ因子”がないことも示唆されてるし、司狼はようやく“神の玩具”から脱却できたんだな。よかったよかった。
続いて現れるお兄ちゃん先生とロリ2人。
戒は何度転生重ねようとも、イケメンなんだろうなチクショウめ。
螢ちゃん、実の兄妹じゃなくなった分、略奪愛はマジでチャンスなのでは?いかんせん年齢差がでかいが…。
というか略奪愛という言葉を知ってるロリ玲愛はほんと油断ならない子(笑)。
そしてこんな個性的メンバーから慕われている香純は、あらためて本当に偉大だ。
“お婆ちゃん先生と言われる通り……顔も手も皺が寄ってしまったけれど、それは私が守り続けたことの証。何も悔いることはないし、まして恥じるようなことなどない”
経営者や園長として、ここまでにさまざまな現実的問題や苦労があったのだろうと察せられる言葉。
より感慨深い気持ちになってしまう。
Diesはやっぱりおまえがいなきゃダメなんだ。
常に蚊帳の外に置かれてきた。
しかしそれは同時に誇り。
戦う場所が違っただけのこと。
そして守ってきた証。
そのことをある男に証明したいがため、皆を連れて屋上へ上がる。
また一緒になれると、かつて自分が約束した場所へ——。
そこには黄昏の守護者、刹那の姿が。
司狼たちもそうだが、香純の一大事にはすぐに飛んできやがって……ったくよぉ、いったいこの話だけで何回泣かせるつもりだコラぁ。
蓮の目に映る、香純が守り育てたもの。蓮の魂の絆たち。
香「どう?大したものでしょう、私が守ったこの場所も」
蓮「……最初から、馬鹿にしてなんていない」
「おまえはこういうのが得意だってこと。俺たちの共通見解だっただろ」
“素直じゃないことを言いながら、ようやく蓮は口元に笑みを浮かべた”
“真っ直ぐじゃないけれど、誰よりも誠実な感謝を乗せて、私たちの姿を眩しそうに眺めている”
香純以外からしてみれば、赤の他人の登場に困惑するのが普通。
しかしかつての親友はノリを分かってくれる。
蓮を自分の代の同期だと言い、まるで昔からのツレのように語るその優しさ。
あぁダメだ、もう本当にやめてくれ。胸が張り裂ける。
蓮の努力が、命懸けが報われた光景。
あぁ、ホントに良かったな蓮(ノД`。)。
満たされた蓮は、一人また旅立とうとする。
しかし太陽は、もう一つ、至上の奇跡を見せてくれる。
?「————お婆ちゃん先生、ここにいる?」
う
う、
うわあああああああああああああああああああああああああああああああ
マ「……お兄ちゃん、どうしたの?おなかいたいの?かなしいの?」
「ね、これで大丈夫だよ。お兄ちゃんもだいじょうぶ。こわいことも、つらいことも、ずっと続いたりなんてしないもん」
「みんな、みんな、あしたは笑顔になれるから」
「幸せになれるんだから、ね」
たかがゲームで泣くなんて大げさだなんて、言う人もいるかもしれない。
こんなことで感動するなんてどうかしてると言われるかもしれない。
うっせーーバーーーカ!!!
黙れ黙れだまらっしゃい。
この感動と感謝の気持ちは本物なんじゃ。
一番頑張った蓮が、一番報われなきゃ意味がねえんだ。幸せにならなきゃダメなんだ。
そしてそれには女神の存在が絶対不可欠なんだ。
この奇跡の再会に感動して何が悪い。
その愛に溢れた一言一言に感動して何が悪い。
ありがとう正田卿。お礼に1日1万回感謝の正拳突きを浴びせたいほどだ。
小さな女神を、その腕に抱きしめる蓮。
マリィも目の前の青年、いつも傍にいると誓った刹那を思い出す。
彼女もまた帰ってこれたのだ。
蓮はもう一度、ここに約束する。
この新世界を、宝石の輝きを永久不変に守ろうと。
蓮「おかえり、マリィ」
香「おかえり、マリィちゃん」
マ「——うんっ」
キャラ雑感Ⅱ
香純
後半パートの実質的主人公であり、月のように生きた太陽。
長い時間を経たためか、明るい性格はそのままに、落ち着きと慈愛を兼ね備えたステキな女性に。
一人称が「あたし」から「私」に変わってるだけで驚きものだよ。
人の理から外れてしまった馬鹿の代わりに、大切なものを育て約束を守ったその生涯。
黄金や水銀のような異形な存在たちよりも遥かに崇高なものに思う。
神咒でキーパーソンなのも余裕で頷ける。
司狼&エリー
転生前と一切変わらない性格。
それはつまり、誰よりも身内を大事にしているということ。
いじくり回すだけだった香純に、逆に弄られるようになったのも、なんだかそれはそれで見ていて心地いい。
屋上のファインプレーを俺は忘れない。
“海外出稼ぎ組”ということらしいが、一体なんの仕事をしてるんだ?
戒
美人の彼女を持ち、はるか歳下から近隣の奥様方まで虜にしてしまう、もはやモンスターみたいな人。
それが14歳神の怒りに触れたか、この第五天では、いくら転生を重ねても最後まで彼女と結ばれることがなかったというから可哀想。
玲愛&螢
「Verfaulen segen」以来のチビ姿。
お婆ちゃん先生が大好きなのがよく伝わって、プレイ中何度も頬が緩んでしまったよ。
しかしこいつら仲良くやれてんのか?絶対玲愛にイジメられてそうなんだが(笑)。
2人とも成長するにつれ、性格がこじれにこじれるから、先生たちとしてはこのままでいてくれと願うばかりだと思う。
蓮
幻想となった刹那。
黄昏の守護者として、世界を見て回っているらしい。
その孤独な放浪に、ようやく終止符がうたれたようでよかった。
ここから1万年ほど続く女神の地平。
もう狂ったようにラブラブしていてほしい。
この2人はそれでいい。
マリィ
チビ枠の1人として登場、通称ロリィ。
その一枚絵の破壊力は、五体投地してもたりないほど。
ただでさえ尊かった断頭台前のCGと同じ構図だなんて……Gユウスケはあれか?現人神か?
“覇道神の共存”という、オンリーワンにしてナンバーワンの固有能力持ち。
さらに守護者として、主人公・ラスボス・裏ボスが控えているという鉄壁ぶり。
しかし、座が誕生できるほどの文明に達したとき、観測者の意志が動き、最低最悪の結末を迎えてしまう。
この幸せなエピソードもこの先に待っている悲劇を思うと、感動を塗りつぶすほどの怒りがこみ上げてくる。
神咒神威神楽は大好きだが、それがマリィの死の上に成り立っているというのはやはり許せない。
だからこそ「PANTHEON」は我々マリィ信者にとって救いとなる作品……になるはずだったのだが。
……いや、信じよう。
いつの日か、いずれ必ず、またマリィに出会えるのだと。
見つけた......滅尽滅相!!→「神咒神威神楽 曙之光」最後之修羅 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと