ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

『相州戦神館學園 万仙陣』感想ⅩⅣ

“クリームヒルト・レーベンシュタインは、必ず第三番目の盧生となる” 

“そのとき、私が紡ぐ夢のかたちをおまえに命名してほしい” 

 

いよいよ登場する第三盧生。

このあたりから物語が加速度的に進んでいきます。

 

 

甘粕事件終息後、柊四四八の次の戦いは現実の世界。

邯鄲で履修したことにより近々に取り掛からねばならないことは、人類史に残る最大の悲劇・第二次世界大戦

甘粕を制した功績を認められ、四四八は政府の中枢にまで手を伸ばすことに成功。中国へ渡り満州事変の阻止を狙う。このあたりは学祭の劇まんまやね。

そこで実際に出会ったのは逆十字の忘れ形見、そして稀代の殺人鬼。

焦点は、その殺人鬼にあてられる。

彼女は人という種を愛していた......が、その表現方法が殺すことでしか成し得なかった(どこの獣殿?)。本人もそんな己を壊れた機械であると分析できていたものの、それでもやめられない。

ゆえに目指したのは、邯鄲の極地。愛という概念を真に理解するために。第二盧生へ粛々と宣言する、後の死神。

 

 

——と、現在夢で流行っているのは、上述の第三盧生様。

タタリ狩りにきた四四八たちも、さすがに盧生本人が出てきたらやばくね?と及び腰。

だがそもそも盧生という超常の存在がタタリとして出るのか?ってのと、仮に出てきたらそれは紛い物だろってことで、気持ちは多少上向きに。

とはいえ、クリームヒルトは鎌倉と縁もゆかりない人物。どこでエンカウントできるか見当もつかない。

そんな中、水希だけは一人誘われるように場所に心当たる——鎌倉円応寺。

ja.wikipedia.org

冥界の番人たる閻魔大王を本尊としている寺社。たしかにヘルヘイム(冥府)の名を持つクリームヒルトと親和性はバツグンだわ。

 

現地に着くと、すでにそこは彼女のフィールド。眷属程度では到底抗えない力に呑まれ、全員が彼女の城にご招待。つまりはタタリではなく本物

主賓は水希。彼女のみがクリームヒルトに誘われ、いざご対面。

ク「ヘルと呼んでくれよミズキ。おまえも、ヨシヤも、私をそう呼んでいただろう。今さら他人行儀は無しにしないか?」

ここで100年前の水希が、第三盧生と懇意だったことが判明。

曾祖母と間違えられても困ると思ったが、「いや私本人ちゃうんすよ~(´・∀・`)ヘヘ」と言える空気でもなく、あえて流れに乗ることに。さらに胸から湧き上がる謎の闘争心が水希を後押し。

そんなわけで、さっそく両者抜刀!

ヘル曰く、八層へ至りアラヤを理解したものの未だその本質を手にしたわけではない。水希との闘争を経ることで掴めるものがあるとのこと。当の水希にすりゃなんのこっちゃサッパリだが、盧生ってのは基本バカなので待ってはくれない!

ク「心配するなよ、終段などは使わない。これは純粋な武の勝負だ。どだい盧生と眷属では、そうしないとまったく戦いにならんからな」

水「お望みどおりやってやるわよ——泣かしてやるから覚悟しなさい、ヘル!」

神野以外に珍しく語気を荒げる水希。やはり何やら因縁がある模様でバトルスタート。

専用BGM「Hávamál」がオシャレかっこいい!

 

ゴリゴリの白兵戦を展開する両者。盧生が並外れているのはまぁ分かるが、問題は水希よ。なにおまえ互角の戦い演じちゃってるの?

ヘルが振りかぶる剣は一閃一閃が死属性の凶悪さなのだが、フェイントや強弱の類がないため勝機が十分見込めると水希評。あらためて純粋な戦闘力は作中一だということがよくわかる。

幾度かの激突を繰り返し、水希のキャンセルがヘルの資質を看破。

四四八と同じ、オール7。

その事実に動揺し片腕をやられるも、返す刀で相手の肩口をズバッ。敵手の実力に比例するように、水希も覚醒。

感情という人間の根本が分からず、だからこそ追い求めるヘル。それを教授するかのように水希もだんだん熱くなってくる。しまいにゃ誰が四四八に相応しいかに話が逸れていってるのも面白い。

そしてクライマックス。明かされるヘルの本当の実力。

10がカンスト値だと 誰 が 言 っ た ?

本来の彼女は、スーパー脳筋仕様。

ク「一つ、女らしく化けてみた」

 「それが嗜み——なのだろう、友よ」

 

 

水「ええ、こっちこそね」

 「私は大正女子なんかじゃないし——」

 「それは私の曾お祖母ちゃんよ!」

 

勝負あり!決着は水希の背負い投げで一本!

ステゴロだけとはいえ、まさか盧生に勝っちまうとはな......。

この場での敗北を認めるヘル。戦う前の礼儀正しさやこの潔さなど、とても史上最悪の盧生という評判に似つかわしくないが......。

すべてのあらましを把握しているかのような彼女。散り際に残す言葉は......

ク「本当、おまえも随分面倒臭いぞユキコ......いくらなんでも嵌りすぎだ」

 「しかし、だからこそなのだろうな。私もヨシヤも、アマカスも、まともにやったところで万仙陣は崩せない」

前話の学祭で登場した雪子という名前がまさかクリームヒルトの口から。重要人物であるということが重々察せられる。

ヘルは溶けるように消え、水希はみんなと合流。

今宵のタタリ狩りは無事終了し、日数的に残りはあと2体ぐらいだろうと予想。

ゴールが見え始めみんなの気分も上がるのだが、一人しーちゃんだけはなにやら浮かない顔。

 

 

 

一方そのころ、ノッブと南天もまたクリームヒルトの夢を見ていた。

彼女の生い立ちから邯鄲に至るまでの経緯を履修。死は平等、ゆえに死=救済という方程式に辿り着いてしまった彼女の境遇に、複雑ながらも理解を示すノッブ。

南天も補足。クリームヒルトが万人に死を与えるのは、そうすることで人類は格差を無くし群体として正しく機能するのでは、という思想込み。あくまで人類を机上の数字としか捉えず、感情という大事な部分を見れなかったのが、彼女の哀しい性。本人もそれを理解しているから、なおのこと。

と、考察はここまでにする2人。

あんまり深入りすると、また引っ張られるおそれがあるため。バカが良い教訓になってんね。

邯鄲を終えた彼女が、果たしてどういったアラヤを手にしたのか。答えは本人しか知らないものの、南天はその後の彼女の動向について重大なことを伝える。

南「邯鄲を制覇したクリームヒルトは、柊四四八とその後同盟を組んだらしいわ」

結局クリームヒルトは善性だったことがわかりホッとするのも束の間——そもそもこんな規格外2人が同盟を結ばなければならなかった事態......すなわち強大な敵対者がいたということで。

歴史の裏の真実に触れたノッブ。隣ではド派手に高笑う南天

どないなってしまうんやと慄きながらも、彼女を守ると変わらず誓いづつけるノッブであった。

 

 

 

ってなわけで、ついに登場した作中最強格の一人ヘル姐さん。

思想や価値観が黄金の獣に通ずるところがあれど、世界をヴァルハラにしたいといったものは無く、甘粕みたいに魔王の楽園にしたいといったこともなく。考え方は極めて常識人。

つまりラスボスの器ではない。

ラスボス務めるためには頭イッちゃってなきゃダメっていうのが、正田作品の業の深さよね......。

 

 

続き→『相州戦神館學園 万仙陣』感想ⅩⅤ - ゆらりゆらりとゆらゆらと

 

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