“ああぁ、僕のまりあ。愛してるよ、愛してくれ”
グランドルートへ繋がる水希ルートの開幕。
次々と明かされる物語の核心。賛否両論ありましょうが、初見時はやはり驚いたもんです。
6話のラスト、本来なら盧生に連なる誰かしらが四四八を吸血するのがお約束だったが......水希ルートは一味ちがった。
立候補した神野は四四八をスルーして水希をガブリ。こいつ性癖発揮したかっただけじゃ(; ・`д・´)と勘繰ったが、神野的にはちゃんと目的アリ。今までのルートでずっとポンコツ晒してきた水希に、いい加減しっかりしてほしいため、その今までのルートの情報を水希に開示!
ここではっきり各ルートがパラレルでなく地続きしたものであることが判明。物語の核心である。
四四八らのループは都合4周。
記念すべき1周目は、プロローグで描かれた通り全滅。BADEND。
2~4周は、それぞれ晶ルート・歩美ルート・鈴子ルート、といった具合。
これらの情報を明かした上で、神野はさらに続ける。
回想は、プロローグの直後から。
仲間が討たれ、四四八も甘粕に敗北。生き残ったのは水希のみ。
この状況を嗤う神野に、水希は特攻。
水希の剣閃は次々ヒット。まぁ攻撃が当たるのはいつものことなんだが......なんと確実にダメージを与えている?!!
神野の透過を無効化しており、これまでかませ犬良いところナシだったのがまるで嘘のよう。
しかし神野曰く、これこそ水希本来の実力。それは地の文でもお墨付き。
“得物である白刃を編んだ形の精度”
“斬撃の瞬間に刃筋へ集中させる解法のコントロールとタイミング”
“一切の無駄を排した体捌きに、純粋な剣術の技量”
“有るか無しかの隙を無意識かつ本能的に察知する直観力”
“すべて基本の組み合わせであり、ゆえに極意と呼ばれるものだ”
“強い。偽りなく彼女は強い”
主人公涙目。
水希の覚醒に、神野も上機嫌。いよいよ本領発揮といった具合で邪気プンプンだが、水希の殺気はまったく引けを取っていない。かつてここまで頼もしかったヒロインがいただろうか?
勝負は拮抗。しかし舌戦はやはり神野の土俵。水希の亡き弟を引き合いに、過去のトラウマを抉りにかかる。そもそも水希が他者の前で本気をださないのも、そのトラウマが原因であり——
唐突に場面と視点が切り替わる。
その日は千信館の合格発表当日。
合格に浮かれるいつもの面々。在学生の水希も大喜び。
なんてことないいつものやりとり。視点の主は当然主人公四四八かと思いきや......
月日は流れ、学園生活が始まる。
勉強も運動もぶっちぎりトップの水希。男子生徒すら凌駕し、これでまだ本気じゃないというんだからおそろしい。
一方の視点主くんはというと、まるで逆。他の生徒より遥かに劣る身体能力。病弱なのは明らかで、仲間たちもそれを分かっているからか同情的。そしてそんな憐みが、視点主の不満を募らせる。ことさら水希からの励ましが、いちばん堪える模様。
そして放課後の資料室。
水希と2人っきりになり、なにやら良い感じのムードになったところで、ようやく視点主の正体が判明——水希の実の弟、世良信明。
一連の学園生活は、彼が望んだ夢。
そして夢から覚める信明くん。状況はなんと、ハラキリの直前?!
こうなった背景.....夢で匂わされた通り、ノッブが愛してしまったのは姉である水希。
まさに禁断の愛。だが男ノッブは告白までこぎつける(すげー)!
信「好きだよ、水希。僕を男と見てほしい」
かなりの男気を見せたノッブ。
しかし困ってしまった水希。傷つけないように、と言葉を選んだ彼女は「私、強い男がタイプだから......ヽ(´o`;」と胡乱な返答をしてしまう。
ノッブも遠まわしに拒否られたのをわかっているものの、「強い男になれれば......」という仮初の希望に縋ってしまう。
そうして強さを求め始めたノッブ。その真なる目的は、強くなってちゃんと振ってもらうことだった。
強さの指標は、姉と同じステージ“戦真館”。そこに入学するため、死に物狂いで奮闘。身体が弱いにも関わらず、標準男性と変わらない身体能力を手にいれたのだから、その努力は本物!
しかし......結果は無情な不合格。
ユーザー的には、ここまでの努力は決してムダには思えないのだが、ノッブ本人はそう思えなかったようで......
信「だから、僕はここで死ななきゃならない」
“このまま自分が生きていたら、きっと水希を憎んでしまう”
ノッブの中にある......というより男なら誰しもが持っているであろう“女が男より勝ってるなんて許せない”という醜く小さなプライドが顔を覗かせる。それをこれ以上肥大させないために、自刃を決意。
当然、これで一件落着とはならず。その日から、水希の後悔は始まった。
この悲劇は、自分が強さをひけらかしてしまったことが原因と考え、己に大きな縛りを課す。
水「女性(わたしたち)は、男性の前で本気を出してはならない」
この縛りのすごいところは、生死が懸かった局面でも発動するところ。それほど水希がかけた暗示は強く、すさまじい強迫観念。
一方潔く散ったノッブの魂は安らかに天に昇ったかというと......否!
水希に振られ、落ちたその絶望は、べんぼうにとって格好のエサ。
ノッブの魂を依り代とし、廃神・神野明影誕生!
神野がやたら水希に固執するのは、この背景があるから。
これら全ての情報が四四八にも流れ込む。
水希の懺悔、幾度のループ、そもそもの始まり——真実に辿り着いた四四八の前に現れたのは、
?「やあ——」
友達かっ!!
主人公、ついに念願のゴール地点・第八層に。
待っていたのは全人類の普遍無意識集合体・阿頼耶識。
同時にすべてを思い出した四四八から、作品の壮大なタネ明かし。
四「俺たちの真実は、大正時代を生きる人間で——」
「これまでのすべて、現実だと思っていたあの二十一世紀さえも、邯鄲の夢が紡ぎ出した世界なんだな」
千信館の日々はすべてまぼろし。あくまで邯鄲の世界。
これで聖十郎の手記の矛盾や、各ルート結末の現実改変といった謎も一気に解消。
そして、四四八たち本来の目的・与えられていたミッションとは「邯鄲の夢に入り、可及的速やかに攻略。現実に戻り、甘粕正彦を征伐」である。
四四八らが度々無意識下で感じていた使命感は、コレが起因。
そうなってくると、一つの疑問。
四「ただ、それだけに分からないこともある。なぜ俺たちは自分が何者かを忘れていたんだ?」
上記の大事な任務そっちのけで、吞気に学園生活を送っていた彼ら(笑)。雇用主である辰宮・神祇省からすれば「何やってんだおまえら!」と叱責間違いなしの問題なのだが......。
その辺含め、全能のアラヤさんから、これまでのいきさつが時系列に則って説明される。
・1905(明治38)年、初代戦真館にて邯鄲法プレリリース。結果は大失敗\(^o^)/
↓
・邯鄲法失伝......しかし病魔に苦しんでいた聖十郎が、頑張って再構築(すげーなこいつ)。
↓
・モルモット候補の四四八誕生。しかし、甘粕とエンカウントしたセージはそちらを起用。
↓
・甘粕、邯鄲を単独制覇。
↓
・盧生となった甘粕はぱらいぞ計画を画策。同時期、四四八ら二代目戦真館に入学。
↓
・甘粕、計画の一旦としてさまざまな祟りを現世に召喚。その影響は、桜島大噴火、秋田仙北地震、東日本大洪水etc。
↓
・事態を重く見た神祇省は行動を開始。貴族院・辰宮に協力を仰ぐ。
↓
・甘粕に抗するためには邯鄲の力が必要不可欠。唯一システムを知っている聖十郎を利用するため、息子の四四八をエサに密約を結ぶ。
↓
・邯鄲突入の手筈が整う。しかし壇狩摩、予定調和な邯鄲攻略はつまらないと、システムに細工を施す。
↓
・そんなことは露知らず、四四八を筆頭とした戦真館、1周目スタート。
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・ラスボス甘粕までたどりつくも、シンプルに実力不足だったため敗北。さらにその甘粕氏、テンションが上がりすぎたため、期待の四四八をうっかり殺してしまう。
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・盧生本人が死んだため本来ならここでゲームオーバーだったのだが......潜在能力最強・水希の急段が発動。「巻き戻し」の効果だったため、ありえない形で2周目に突入。
↓
・始まる2周目。しかしここで狩摩の細工が効いてくる。なんと四四八ら戦真館メンバー全員これまでの記憶をすべて失ってしまう?!
↓
・狩摩も百合香たちもこの異変に気付いたものの、放置。彼らの性格を鑑みると、やむなし。
そんなこんなで現在に至る。
ネタバラシが一通り済んで、とりあえず納得の四四八。後は進むのみと、アラヤに八層の踏破条件を尋ねる。
返ってきた答えはシンプル、「私(アラヤ)を知ること」。
そもそも本来であれば、何百という人生周回を重ねれば、それだけ人間という種を知れたということで、自然と八層もクリアされているもの。それなのになぜに四四八はここで足止めをくらっているのかといえば、独力で邯鄲を制覇していないから。
甘粕と違い、眷属を用いて短縮クリアを狙ったがために、条件のクリア基準に満たしていないというアラヤ談。
従って、ここで追加の条件が発生。「その盧生にとって、不可能な事象の克服」。
四四八にとってのソレとは——
“父親(仇敵)を許すこと”
ふざけんな!(# ゚Д゚)とブチギレる四四八。しかしアラヤはどこ吹く風。瞬く間にその場に聖十郎を召喚。
顕象されるチート急段“生死之縛・玻璃爛宮逆サ磔” 。
四四八早くもゲームオーバーのお知らせが......。
第8話→『相州戦神館學園 八命陣』水希ルート第八話 感想・壱 - ゆらりゆらりとゆらゆらと