『相州戦神館學園 八命陣』歩美ルート第十話 感想・弐
“この世界で、当事者として、俯瞰じゃないまっすぐな目線で生きていく”
歩美ルート終了。
ストーリーの真実にはまだまだ辿りつけないが、歩美の物語としてはキレイにまとまっているのでわりと満足(^-^)。
栄光の気合いの一撃により、空いた亀裂。狩摩の姿を垣間見た四四八が疾駆!
仲間たちの援護を受け、ここに新たな力を開眼させる。
“破段・顕象——”
“犬田小文吾——悌順ッ!”
これまで使っていた「ステータスの再振り分け」とは異なる能力「仲間とのシンクロ」。
テレパスを得たことで、鬼面衆の連携にも対応できるように。
問題児だった怪士も、一撃で撃破弱すぎぃ!
血を流さなかった人生がどれほど幸せか......怪士に説くも、価値観がまったく違うため共感を得られず。
それでもなお「自分自身を律する強さを持て!」という熱い説教が、四四八らしくてステキ。
四四八の新破段の効果は、棋士の歩美にも。
仲間たちの思いを受け取り――数十手先の勝ち筋をはっきり捉える!!
勝利は目前......が、狩摩の余裕が歩美の手を躊躇せる。
王手を指すべきか、否か。
ここまでの過程、壇狩摩という人間......数少ない手がかりを頼りに、歩美は決断を下す。
それは勝利の放棄。
ゲームの趨勢は決まる。天秤はあっという間に狩摩の方へ。
しかし――続く一撃こそが、歩美の本当の王手!
“我、ここにあり。倶に天を戴かざる智の銃丸を受けてみよ”
“急段・顕象——”
“犬坂毛野——胤智”
過去からワープしてきた弾丸が、狩摩の脳天にクリーンヒット。
決着。
ここで狩摩の急段のネタバラシ。
なんと将棋に勝つことが勝利条件ではない!!
それどころか、負けた側はお返しとして実力以上の“暴”を行使できるようになる。歩美が協力強制ナシに急段を使えたのもそのおかげ。
こうした能力になったのも「ゲームで勝っても、力でねじ伏せられたら意味ないでしょ?」という、ひねくれものな狩摩の性格がモロに反映されたせい。彼は博徒ではない。
狩摩は消えてゆく。しかしこれが彼の敗北ではないことを、誰もが悟っている。
全て前座......そう考える歩美へ、狩摩は最後に
狩「まァ、あまりそのことにも囚われんこっちゃ」
「なんせおまえら、一度は俺に手順を狂わされとるわけじゃけえのォ」
そうしてあっさりエピローグ。
晶ルート同様こちらのルートでも、夢に入ることが適わなくなった四四八たち。
けっきょく神祇省の目的や他勢力の動向など、何一つわからないまま終わってしまった。とりわけ四四八にしてみれば怨敵柊聖十郎と一切関わることがなかったのだから、とんでもない消化不良なのでは。
そんな中、人間的に一皮むけた歩美さん。全ての事象の真実をなんとなく感じ取っていた。
そんな彼女が、現在何をしているかというと......
?!?!?!
彼氏と共に戦地ド真ん中。
こちらのルートでも現実は大きく改変されてしまい、情勢はなんと第三次世界大戦。 アメリカvs中国を発端とし、世界中を巻き込んだ大戦争。
歩美は学生時代から憧れだった自衛隊に入隊。
そして四四八は、検事という夢を捨て、彼女と同じ自衛隊に入ることに。理由は実直な彼らしく「祖国を守る力になりたかったから」というもの。
四「人生の分岐には、いつだって真摯でありたい。俺はずっとそうしてきたし、だからこそこれまでにどんな後悔もない」
「あのときに、おまえだけを戦地に行かせられないって思ったんだ」
こいつ最後まで男前だな......。
歩美は厄介だった自身のペルソナを克服。
怖いものをキチンと怖いと感じ、楽しいときには素直に応じる。スコープ越しで世界を見ることはもうない。
仲間たちは日本で日常を送る。もはや夢界での出来事は、遠い昔の思い出。
“しかし一人になったとき、わたしはたまに回顧する......あの日々こそが真実だったのかもしれないと”
キャラ雑感
柊四四八
こちらのルートでも破段止まり。黒幕の正体も暴けず、母の敵討ちすら出来ない。もしかしたら一番不幸なルートだったかも......。
龍辺歩美
そんな彼氏の分まで主人公やってた。
破段・急段ともに厨二感溢れてて大好き。
性格や容姿、内面などキャラ造形すべてに隙がなく、個人的に正田作品の中でもかなりレベルの高いヒロインだと思ってます。
大杉栄光
四四八の次に目立ってた男。狩摩攻略の隠れMVP。
自分のことをやたらヘタレヘタレと強調しているが、爪牙で彼をヘタレだと思ってる奴は皆無だろう。
怪士
変態
壇狩摩
歴代作品でも屈指のクセ者。14歳神の寵愛を受けているため、まぁ強い。
今回ルートボスだけあって存分に目立っており、最初から最後まで彼の手の内だった気がしないでもない。コレを破った歩美はほんと大したもんだ。