ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

『相州戦神館學園 八命陣』晶ルート第十話 感想・弍

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“だから、俺はおまえを尊敬する” 

“だから、俺はおまえを見下さねえ” 

“同じ地平を歩む、同じ一人の人間で” 

——大切な、俺の自慢の親友だッ!” 

 

四四八の戦いが決した後の、もう一つの戦い。 

クライマックスにふさわしい熱いラスト!! 

 

 

 

 

四四八たちの勝利によって第五層......ひいてはこの物語は幕を閉じる。

始終を見届けた甘粕正彦

四四八が大きな難関を乗り越えた......ならば父親もそうでなくてはならないと、聖十郎の蘇生を決める。盧生が生きている限り、眷属は実質不死身。ヴェヴェルスブルグ城を思わせるクソゲーっぷりよね。

 

甘「では始めようか、セージ。これからがおまえに訪れる真の苦難だ」

 

 

 

そうして復活する聖十郎。

不機嫌なのは、敗北したからではなく盧生の資格を奪う時期が遠のいたせい

盧生となるのは彼にとっては当然の通過点、今回は小石に躓いた程度にしか感じていない。

さらに四四八の聖十郎に対する憎しみは底知れず、いずれ訪れる再戦でも逆十字に嵌ることは確定だと薄ら嗤う。現に今回も四四八単独では絶対倒せなかったろうしな......(-_-;)。

 

そんな中、八幡宮境内に足音が。

何者かと訝しむ聖十郎の前に現れたのは......

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ここで明かされる重大な事実。なんと剛蔵も四四八の眷属であった!

ゆえにここに復活を果たした剛蔵......しかし聖十郎は興味なし。さっさと失せろと一瞥して話を終わらせようと。

対する剛蔵は

剛「何度も言わせるな、俺はおまえを放っておけない。やり残したことがあるから、こうして何度も恥をさらしてるんだよ」

 

 

——そうして殴りかかる剛蔵。

火の粉を払おうと、うっとうしげに聖十郎は逆サ磔を展開しようとする。

が......急段が発動せず?!!

剛蔵のストレートが、派手に顔面に突き刺さる!

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「拳を振るう=敵意の表れ」

その絶対の公式が、なぜか剛蔵にはあてはまらない。驚愕と疑問で震える聖十郎に、剛蔵はたった一つの答えを示す。

 

剛「それはな、セージ......」

 

 「俺が、おまえの友達だからだよ!」

 

 

“情”を奪われ、人形と変わらないはずの剛蔵。しかし四四八がそうだったように、思いは無からでも湧き上がってくるモノ。理屈じゃない。

そして、今の剛蔵の心の内にあるのはかつて出来なかった“対等に接したい”という思い

悪魔や自然災害だけじゃなかった、聖十郎にとってもう一つの天敵。 

つまりだな...... 

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漢たちの壮絶な殴り合い。 

この作者のいきつくところはいつもコレ。 

え?文句?あるわきゃねえだろ!!! 

こっちはコレを毎回望んでるんだわ! 

 

 

お互い感情むき出し、まるでガキのケンカ。 

聖「気に入らないだと?憎いのだろう?ならば何故、いったいどうして俺の夢に嵌らない!」 

 「おまえの情は、敵意を抱かずに攻撃を加えることが可能というのか!」 

 

剛「ああ、むかついてるさ!けどそれは、おまえに対してのものじゃねえ。こんなになるまで決着をつけられなかった自分自身に......腹が立って仕方ねえんだ!」 

 「だから、おまえを止めるのは俺の役目だ。誰にもこれは渡さねえ。おまえのことが大切だから、放っておけねぇって言ってるんだよ。簡単なことじゃねえかッ」 

次いで、剛蔵が口にするのは、友を褒め称える言葉。 

いくつもの死病に冒されながらも、諦めず、生にしがみついたその在り方。やり方こそ悪かったが、だからこそ本当の生を知ってほしいと声高に叫ぶ。 

その一言一言が、聖十郎の価値観を揺さぶっていく。 

 

聖「生きるということに、嘘も真もあるものか......ッ」 

 

剛「言ったろ——そいつを教えてやるってよォッ!」 

 

 

 

 

 

 

結局、決着がついたのかつかなかったのか。気づけば聖十郎ただ一人。 

四四八が邯鄲から抜けたため、眷属である剛蔵も夢から去る。 

残された聖十郎にあるのは、ただただ倦怠感。しかしなぜか悪い気持ちはしない。あるがまま受け入れ、静かに眠ろうとしたとき——

 

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現れる自称親友。 

息子や旧友にいいようにされた気分はどう?とその性根はどこまでも悪辣。 

常ならば許せないこの挑発、しかしこのとき聖十郎は、 

 

聖「不思議と、悪くない」 

 

剛蔵との邂逅は、畜生たる聖十郎に何かを与えるものだった。 

闇堕ちならぬ光堕ちの兆し——しかし悪魔はそんなこと許さない。求めるものはあらゆる絶望。親愛なる友人に正道など歩ませない。 

一瞬、息子、友、妻の顔が頭を過ぎり——払拭。 

聖十郎は畜生へと還る。逆十字に救済は訪れない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月日は流れ、3年。 

第五層での決戦以降、夢に入ることができなくなった晶たち。なんとも中途半端な幕切れ。 

ただでさえ消化不良感がすごいなか、現実世界はエラいことになっていた。 

まず、真奈瀬剛蔵という人物が最初からいないことになっている。 

晶たち以外誰もタコ親父のことを覚えておらず、残っているのは蕎麦屋だけ。 

二つ目に......なんと日本列島各地が外国との共有財産となっていた!! 

いずれ首都たる東京もそうなる気配。日本が日本でなくなってしまうのではと、晶たちだけがそのことを危惧。 

 

そんな一同は、かつての日本を取り戻すべくそれぞれが戦う道を。 

栄光は発信力のあるお笑い芸人へ。相方は「マッキー」。笑顔とパンチが怖そうだ。 

鈴子は医大生。死の淵をさまよったのが一つの起因か。 

歩美は自衛官......自衛官!?? 

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水希は政治家秘書見習い。やがては政界か。 

鳴滝は我堂家の跡取りに。なお鈴子と結婚したわけでなく、鈴子パパの養子という形。 

そして、晶は立派に「きそば真奈瀬」の女将へと。父の遺した場所を守るべく、今日も元気に暖簾を上げる。

 

そこに、上京していた四四八が帰郷。

晴れて検事の資格を手にし、男として、このタイミングで一つのケジメを——

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“なあ、親父に恵理子さん”

“見ているかな?あたし達は大丈夫だよ、この現実で力を合わせて生きていく”

“だから見守っていてほしい。跡取りが出来たら、その時はまた報告に行くよ”

 

 

 

主要キャラ雑感

四四八

記念すべき最初のルートでは“破段”止まり。夢界の攻略も五層で終了と、『Dies irae』の香純ルートを彷彿とさせる肩透かし感。

しかしながら怨敵聖十郎との因縁がフィーチャーされたルートでもあったため、重要度は高め。伏線が最終ルートでまあ効いてくるのよ。

俺達の戦いはここからだ!!

 

四四八の嫁。他ルートのネタバレになってしまうが、個別ルートで婚姻まで持ってけたのは晶と水希のみ。

スタイル良し性格良しと、欠点がなさすぎ。母性すら感じさせる優しさで、男の理想を体現したようなキャラクターでした。

 

聖十郎

ルートのラスボスを飾った、下劣畜生。

いくつもの病を、その精神力のみで耐え抜いてきた彼。正田作品の中で地味に一番人間やめてたかもな......。

同情すべき点も多々あって、作品をプレイした全爪牙がきっと彼の急段にハマるはず。いや本当に恐ろしい。

彼との最終決戦はまだまだ先。

 

剛蔵

このルートの隠れ主人公。

あの聖十郎を“友達”と言い張れるのだから、人間が出来てるってレベルじゃない。

ケンカのシーンはそらもう魂ゆさぶれたよ。

男として、父親として、どこまでも尊敬できる最高のキャラクターでした!!

 

 

 

 

出典元:www.light.gr.jp