“一言でいえば強くなりたい——それが俺のずっと持ち続けている願いだった”
主人公含め登場人物の顔見せ回。
「修学旅行」「定期試験」といった学生ならではのキーワードが頻出し、前作の反省が大いに見える1章(笑)。
主人公は高校生の柊四四八くん。
文武両道、品行方正のドがつくほどの真面目キャラ。他人にも自分にも厳しく、良く言えば誠実・悪く言えば遊びがない、そんな人物。
とある日の夢の中。四四八は全力疾走。
連日連夜謎の影に追われており、あの手この手で振り切っている。
夢の中というのもあって、現実ではできない無茶な動きを以って、この日も『逃走中』は無事終了。
目が覚めると、目の前には幼馴染その1・真奈瀬晶。
蕎麦屋の娘で、勝ち気なんだけど根は乙女。こんなおっ◯いと幼馴染なんてうらやまけしからん!
修学旅行前に控えたテスト対策勉強会の真っ只中で、晶は苦戦しつつもなんとか食らいつく。
あとの面子は……
栄「しゃーっ、きたコラァ!行くぜヴァルハラァ!」
「涙を流して、このディエス・イレを讃えるがいいィ!」
歩「そんな魂(うで)でハイドリヒ卿を騙るなんて、愛が足りないとしか言えないよ」
勉強会……?ってかBGMもきちんとメフィストフェレス用意してんじゃねえよ(笑)。
そういや昔ニコ動で「格ゲー風Dies」を挙げられていた爪牙がいたな......。あれは凄かった。
ということでお調子者の幼馴染その2とその3、大杉栄光・龍辺歩美。
栄光はにぎやかし担当。いざって時の自己評価がちょっと低いのがキズ。
歩美はガチゲーマー。FPSにおいては世界ランカーとのことΣ(゚д゚lll)。勉強はできないけど、頭はいいタイプ。
さて、勉強会にてTVゲームなんて四四八が許容できるわけもなく、鬼の大折檻。
......が、2人は自信満々に答案用紙を提出。なんと解答欄がすべて埋まっている!(゚Д゚)
やることはキチンとやっており、これには鬼の目にも涙。
四「すまなかったな歩美、栄光。よく確かめもせずに怒ったりして……俺もまだまだ修行が足りない。許してくれ」
感動的なムードに包まれる中、いざ答案用紙の内容は……
Q.1904年に大日本帝国が関わった世界的な出来事は?
A.曾祖父ちゃんの爆誕
歩「後に世界の常識を破るっていうのは?」
栄「だ、か、らぁ——そんなのオレ様に決まってんじゃん。曾祖父さんが生まれたからこそぉ、すなわちオレもここにある。そう、後に世界を震撼させるこのオレ、大杉栄光に続く栄光の血脈!」
とまぁ四四八を中心とした仲良しこよしグループが物語の中心。
神咒がキャラ同士打ち解けるのが遅かっただけあって、今作は最初からチームとして出来上がってるのがイイネ。
勉強がひと段落ついたところで、話題は四四八の「夢」について。
四四八が持つ不思議な体質、見る夢がすべて明晰夢になるというもの。
明晰夢(めいせきむ、英語: Lucid dreaming)とは、睡眠中にみる夢のうち、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のことである。明晰夢の経験者はしばしば、夢の状況を自分の思い通りに変化させられると語っている。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
四四八の場合明晰夢中も意識が正常に働いているため、睡眠下も生活の一部。よって普通の人の倍生きている感覚を持っている。妙にジジくさい性格もそのへんからきてるかも。
と、ここまででも十分異常だが、四四八の夢のさらにすごいところは現実と同じ時間を刻んでいるということ。
そんな不思議トークをしていると......
そばのようせい そばもんがあらわれた!
さらに たこおやじもあらわれた!
そばもんの中身は四四八の母・柊恵理子。
のほほんとした性格で年齢を考えるとちょっと痛いが、優しく女手一つで育ててくれた四四八にとっては自慢の母。
たこおやじの中身は晶の父・真奈瀬剛蔵。
蕎麦屋を経営しており、こちらも男手一つで晶を育てた立派な親。正田作品唯一のまともな父。
なお恵理子にゾッコンで、娘らにも周知されてる。
みんなと別れ際、話は四四八らが通う高校、千信館の眠り姫について。
2年前から意識不明の女生徒がおり、その子が復学してくるとのこと。晶や栄光らが知ってるのに、四四八だけ知らないというのも妙な話である......。
そんな四四八くんの趣味はランニング。
毎朝欠かさず行っているルーティンであり、徹夜で勉強会を行った直後もやるんだからもはや鉄人の域。
このように運動や勉学に一生懸命勤しむのも、すべては「大事な人たちを守りたい」という強い意思から。
主人公力を見せつけてくれます。
翌日登校すると、「四四八の愉快な仲間たち」第4の女が登場。
アホの子・我堂鈴子。
金持ちの高慢ちきなのだが、根っこのドジッ子属性がそれらマイナス要素を消し飛ばすほどぶっちぎっているため、四四八グループ含めクラスのみんなから愛されてるバカ。
あと普通に性格はいい。頭もいい。
そして最後の主要キャラ・鳴滝淳士もご登場。
悪い奴とかじゃ全然なく、見た目と腕っぷしの良さのせいで四四八以外からヤンキーと勘違いされてる......まぁお約束みたいな奴ではある。
義理に厚い男で、世話になってる人への恩返しのために四四八がバイトしてるバーに面接に。
さて、現実では試験、夢の中ではおいかけっこと毎日忙しい四四八くん。
試験最終日の夜、終わらない逃走劇に終止符をうたんと腹を決める。
その逃走劇の追手側。
胸中は復讐に燃える。
再起を誓い、そのために奪われた力を取り戻そうと必死で追いかける。
相対する四四八。
これまでの夢で編み出したアタック(身体強化)・ディフェンス(耐久強化)・クリエイト(物質創造)・マジック(念力)を駆使。
総動員で追手を払う。
......が、追手の気迫と戦術が四四八のそれを上回る。
?「立て、まだ何も終わってない!」
「私の仲間を、おまえが穢した彼を返せ!自慢のべんぼうを見せてみろ!
「おまえは断じて——私が裏切り傷つけた、彼なんかじゃないッ!」
鬼気迫る雄たけび。これだけで正田卿の役者選びは間違ってなかったと確信できる。
劣勢に陥る四四八。敵手の気概と実力を読み違えたことを認め——覚悟と気持ちを再構築!
それを見て、追手もまた目の前の影が自身の標的でないことを薄々感じ取る。
両者乾坤一擲の攻防を果たし、その結果は四四八5つ目の力・キャンセル(無効化)をもってして勝負は決する。
キャンセルによって追手の姿が徐々に晴れていく。現れたのは同年代の女子。会ったことも見たこともないのに、なぜか押し寄せる既知感。
一方の女子は予期せぬ再会に困惑と喜び。
......が続くラッキースケベにより、邂逅はうやむや。四四八くん強引に夢から起床。
童貞に女子の裸は刺激が強すぎたか、日課のランニングで落ち着きを取り戻そうとしたところで......
水「おはよう。さっきはへんなもの見せちゃってごめんね」
本当にありがとうございました。
第二話・悪夢襲来→ 『相州戦神館學園 八命陣』第二話 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと