『神咒神威神楽 曙之光』神世創生編 感想・下
“その刹那に、俺は愛しい女を抱きしめ、思う”
“この温もりだけは、絶対に手放さないと”
神世創生編ラスト!
いろいろ濃いんだけど、結局やってることはコレ↓
波旬の出生を語りつつ、ドヤ顔で登場なされた冷泉様。
竜胆の安否を気にする覇吐へ、挨拶代わりの煽りスキルを発動するのだが......その煽りがシャレになってない!!
冷「女子を攫われた男が抱きがちな、貞操に関わる不安かな?」
「ならばそれも安心せい。いくらなんでもこの我に、屍を犯す趣味などない」
「なあ、一度訊いてみたかったのだが」
「死体の具合はどんなものだ?陰門に挿入したとき、破瓜と愛液の代わりに蛆と腐汁でも湧くのかなあ」
「どうなのだ?どうなのだ?それでおまえは達するのか?あな恐ろしや汚らわしや!おおなんと背徳的な塵の交情——臭すぎて生かしておけんなあ、わはははははははは———!」
両者抜刀!
過去類を見ない怒りで突撃する覇吐。
久し振りに流れる「尸解狂宴必堕欲界」がコチラの脳汁を溢れ出させますわ!
その見た目通り、そんじょそこらの射干とは一線を画す冷泉様。
なので、夜刀を制した覇吐とすら伍する勢い。
それどころか覇吐の喧嘩殺法に余裕で対応してしまう。
一合ごとに波旬からブーストがかかる仕様になっており、戦況はあっという間に傾く。
極めつけには、天狗由来の必殺技まで披露!
“南無大天狗、小天狗、有摩那天狗、数万騎天狗来臨影向”
“悪魔退散、諸願成就、悉地円満随念擁護、怨敵降伏一切成就の加ァァ持”
“唵 有摩那天狗 数万騎 娑婆訶・唵 毘羅毘羅欠 毘羅欠曩 娑婆訶”
“下劣畜生——邪見即正の道ォォ理”
“獅子像ォォ狐狼ォォッ!”
「加ァ持」や「道ォォ理」など文章にするとかなりシュールなのだが、イケボでスラスラ詠みあげてしまうもんだからカッコよさが際立ってらぁ。
肝心の技の方は、やってることただの袈裟斬り。
ただ詠唱によって波旬への同調率を上昇させているため、その威力は推して知るべし。
滅尽滅相効果により、傷が回復しないオマケつき。
他にこれといった異能はなく、単純な力のゴリ押し。これぞ波旬の神髄で、厨二能力など要らぬと歴代の患者たちをとことん貶める!能力に係るリスクや相性といったものは、所詮弱者の言い訳だと断言。
それがおもしろいんだろうが(`^´)というブログ主の反論すら、強引な理屈でねじ伏せにくる!!
冷「これをつまらんと思うなら、それはそやつがつまらんのだ」
とんでもない俺様脳だが、それを裏付ける強さを持っているのは確か。
......しかしその強者の理論は、裏を返せば誰の手も借りることができない弱者の理論。
ましてや、今それを口にしているのは細胞へと成り下がった射干。
覇吐が真実競いたかった相手は......
覇「悲しいぜ、恋敵。結局俺は一度だって、おまえと喧嘩することも酒飲むこともできなかった」
「冷泉——おまえとなら喧嘩はしてえが、波旬の細胞(パシリ)に言うことはねえ」
「まず本当に自分を愛せよ。でないと何者にもなれねえし」
「俺はおまえを、救ってやることさえ出来やしねえ」
シンプルに良いセリフですよね。
特に「パシリ」と「救う」というワード。
前者は覇吐らしい言い回しだし(実際パシリやってたし)、後者は冷泉のことを仲間と思ってなきゃでてこない言葉だし。
冷泉がここまで散々口にしてきた『我』。しかしそれは波旬を指していたのであって、本人の意思も魂も込もっていない。
覇吐の熱を感じ、冷泉の個我がわずかながらに反応する。
視点は波旬。
滅尽滅相が進まないことにイラつきを募らせる。
早く死ねよと願っているのに、塵が悪あがきをするのが気に食わない。
ゆえに玩具の耐久性などそっちのけで、ひたすらに唯我ブーストを送り込む。
さらに視点は移り......死の淵に佇む竜胆へ。
胸中は、ノコノコこんなところまでやって来た愛しの馬鹿野郎のことでいっぱい。
自分の思い通りに動いてくれない彼を、しかし助けにきてくれたことを何よりも嬉しく思う。
次いで——思いの矛先は冷泉にも向けられる。
いろいろあったけど、彼だって共に東征を果たした同志。だからこそ哀れな射干のまま終わりゆくなんて嫌だと......その魂が救われることを祈って——。
覇「その願い、聞き届けたぜェェッ!」
「我魂為新世界」のタイミングが神懸かってやがる......!
この楽曲が与えてくれる安心感は唯一無二!
要するに勝利BGMってことよ!!!
波旬ブーストに対してこちらはさしずめラブラブブーストか。覇吐の力は何重にも底上げ。
冷泉はというと、一方的に送られてくる波旬のバフに身体が悲鳴を上げ始める。
ここに趨勢は決まる。
だからこそ、覇吐は冷泉へ呼びかける。
同じ人を好きになった者同士、惚れた理由だっていっしょ。誰もが自分を持っているようで、その実何も持たない......そんな暗黒の世界で、誰よりも眩しかったのが——。
限界に達し波旬から見切りをつけられ、自壊していく冷泉。
だが解放され、最期にようやく本当の己をとり戻すことが出来た。
死にゆく中で、覇吐へ遺言。
そもそも天狗道に呑み込まれるキッカケになったのは、諏訪原でのエリーとの邂逅。
彼女の思惑通り「新たな覇道の試金石」として使われたことにむかっ腹を立てるも、ある一つの推察を立てる。
夜都賀波岐の中でもとりわけ異端だったエリー=宿儺は、碑文に記されていた“観測者”ではないか。
座の興亡期に現れるといわれるソレ。このタイミングで出てきた意味。
勝機を感じた冷泉の最期の一言は、
冷「勝てよ、坂上。我が光の君が愛する、益荒男よ」
魂すら残らず消滅。あらゆる面でとても素晴らしいキャラクターでした。
場所はさらに地下。
夜刀が長きに渡るせめぎ合いにより発生させた、世界唯一の空白地帯。座との距離は、薄皮一枚。
そんな場所で、自滅因子の宿命により死から目覚める竜胆。
波旬を倒したいものの、明確なヴィジョンが見えてこない。
むりやり怒りで奮い立とうとするも、根底では「覇吐に逢いたい」と願ってしまう。
その気持ちが愛情からきているのならばいいのだが、自滅因子としての役割からきているのでは?と、どうしても不安と恐怖が拭えない。
というわけで、ここまで追いかけてきた覇吐を拒絶。
奥底に抱く気持ちとは裏腹に、いっしょになってはならないと全力逃走。
その悲痛な心境がマジで苦しい。
どうして正田はラブストーリー描くのにいちいちコチラのメンタルを削ってくるのだろうか(# ゚Д゚)。
以外な俊足っぷりを見せる竜胆を、必死で追いかける覇吐。
竜胆相手に初めてみせる、怒り。
“波旬がすぐ近くにいるから何だってんだ。波旬が桁外れの化け物だからってどうしたんだ”
“自滅因子?知るか馬鹿!俺がおまえに魅せられて、惚れたことに、どんな意味や理屈があったとしてもこれだけは断言できる”
“俺は今まで一度だって、死にたいと思ったことなんかないんだよ”
無事追いつく覇吐へ向けて、抜刀する竜胆。
これが最後通告。
しかしこれほどまでに痛ましい文言はあるだろうか。
竜「触らないでくれ。頼むから......」
「私はあれだぞ。死体だぞ。気持ち悪いだろう......醜いだろう」
「光、だって?馬鹿を言うな。こんな冷たい光があるか」
「私は死なんだ。おまえを千回だって殺してしまう」
覇「じゃあ俺は、千五百回だって生き返るさ」
覇吐ェ......。
原典では離縁の際に言ったとされる言葉だが、正田卿の手にかかれば、まったく逆。2人を繋ぎとめる、希望のセリフに。
竜胆がやろうとしていたことは、不死身を利用した特攻。
どれほどの痛みが待ち受けようと、仲間たちを想えば耐えられる。覇吐が生きている限り何度だって戦える......と震え声で明かす。
これには覇吐じゃなくてもキレるわ。頼むからもっと自分を大事にしてくれよ(´;ω;`)。
誰にも頼らないその姿勢を「波旬と変わらない」と一喝する覇吐。
シンプルながら、その一言が竜胆の胸を打つ。
少しだけ冷静になった彼女へ、覇吐は自分なら波旬を倒せると断言。
なぜなら、彼だけは波旬にとってただ一人の特別。
『災害』とまでいわしめる波旬の武威も、覇吐を前にしたときだけ大きく衰退する。
まぁそれでもなお強いのだけれども......。
とにかく!ここが最後の分岐点。
散り散りになって諸共殺されるか、それとも。
竜胆が出した答えは——
竜「私、私だって……!」
「おまえが死ぬだなんて、思いたくない!」
「死ぬな、死なないで……生きてほしい、愛してるから」
......勝ったな。 ああ。
覇吐の熱が、彼女を自滅因子の鎖から解き放つ。
濡れ場は当然カット。
そもそも最初から要らなかった気も。滅尽滅相が進んでる上に、ラストダンジョンでヤるなんて意味がわからなかったしね。
来る最終決戦の時。
“ああ波旬。ああ兄弟よ。俺はおまえが羨ましいと思っていたぜ”
“何処へでも行くことが出来たはずのおまえが、俺にはなかったものを持っていたおまえが心の底から羨ましかった”
“だというのにおまえは、そんな所で唯我唯我と呪うことしかできないのか”
“ふざけるんじゃねえ。てめえには、俺たちが紡ぎあげた曙光の剣をくれてやる”
“見ていてくれよ、龍明。爾子・丁禮。夜都賀波岐——そして黄昏の女神様”
その宣誓、座の主はひどく不愉快。
「煩い・黙れ・死ね」と、常套句をこれまで以上に撒き散らす。
願うのは今も変わらず、滅尽滅相。
そんな悪意を見据えて、文字通り弓引く2人。
溢れん想いを言葉に。
“——太・極——”
人物雑感
中院冷泉
個別ルートのラスボスを見事飾った、我らが冷泉公。
HPの段階ではいけすかないキザ野郎の印象だったが、本編で手のひら返ししたユーザーは星の数ほどいるのでは。
波旬のいいようにされてしまったものの、想い人に惹かれ益荒男たちを導いたその勇姿、彼もまた益荒男であったのだとブログ主はおもいます。
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