“ゆえに、私の益荒男(あい)を見るがいい。そして滅びよ、天狗道。太極を統べる意志などで、我らを砕くなど不可能と知れ!”
マリィに起こった悲劇や夜行の正体。そして龍水の真価......と、とにかく内容の濃い咒皇百鬼夜行編のラスト。
PC版では龍水のとんでもない変態っぷりが浮き彫りになったのだが、コンシューマ化でさすがに修正。
個人的には修正後の方が好き。
波旬さんご降臨。
「ある日、気がついた~~」で始まるおなじみの引きこもり常套句。
この世に生を受けた時点で、その渇望は太極クラス。
水銀や黄昏と同様、最初っから特別なタイプ。
孤独が大好きだったため、その分周囲の雑音や雰囲気に敏感だった。
アホどもの願いにより、むりやり即身仏にされたのだが、そこになんの痛痒もない。むしろ、より独りになれて好都合に感じる。
......いやまじで頭おかしいなこいつ。
そんな彼なりの平穏を謳歌していたある日......自分に触れている“何か”をはっきりと知覚。薄々気づいていたものが確信に変わる。
それが有害なのか無害なのか......波旬には関係ない。自身に関わろうとするすべてが許せない彼は、激しい怒りとともに神座へ単身カチコミ!!
即行で座に到達。女神を見た感想は「不快」の一辺倒。差し伸べられた手を払いのけ、滅尽滅相を開始!
最初の一撃がよりにもよって“覇道神共存能力”にクリーンヒット。マリィだけが持つ最大の固有スキルがいきなり消失。
波旬の躍進は止まらず、そのまま座を外殻から押しつぶす勢い。
ブログ主のメンタルが保たなくなりそうになったところで、ようやく守護者たる三柱到着。
水銀・黄金・刹那。三つ巴ルートをプレイした後だと、なおのこと無敵感が強い三柱だが......「第六天・畸形脳腫」のおどろおどろしさがまったくこちらを安心させてくれない(´Д⊂ヽ。
覇道神連合vs邪神。
しかしマリィの理はすでに崩れているため、単純な3vs1の構図にはならず。味方内でも色の鬩ぎ合いが発生。
さらに、ここで波旬の能力がようやく判明するのだが......なんと力のゴリ押し。
時間回帰や軍勢変生といった特殊な厨二スキルは持ち合わせておらず。ただただ純粋な実力のみで三柱を圧倒!
決死の想いで奮戦する黄昏陣営に対し、波旬は余裕を持って敵手を分析。
“塵だ、屑だ、滓に違いない——他者を己と同じく扱うなど、こいつらまとめて狂っているし気持ちが悪い”
“今もそう、互いに自分の垂れ流した法則で足を引っ張り合いながら、鬩ぎ合いつつも見せかけの団結をしているのが分からない。それは自己愛。自己愛だろう。俺の願いと何が違う?”
観察の後、自分なりに結論を下した邪神は、塵掃除を効率重視に切り替え。一遍に相手するのではなく一つ一つ片付けていく方針へ。
最初のターゲットは、黄金。
狙いをつけたが直後、黒円卓を次々と屠り、総大将たる獣をも蹂躙。
その最期......八つ裂きにした後足裏で踏みつぶすという下種の所業。ラインハルトファンたちの悲鳴が聞こえる。
唯一の友を穢され、あの水銀が絶叫。
メ「下種が、貴様は誰を踏みしめている」
第三天を滅却せしめた“暗黒天体創造”を発動。
......が、「うるせえ」というそれだけで波旬の下敷きに。
敗れたことすら気づかぬまま、前作ラスボスが死亡。
これにて玲愛ルートへの道は閉ざされる。
戦況は最悪。
が、皮肉にも余計な色が消えたことで残った刹那の太極が十全に機能し出す。
むしろ過去最高の出力を以て、女神の盾となる。
これには波旬も手をこまねく。刹那すごすぎ。
しかしこの邪神、クソ野郎なのは間違いないのだが......馬鹿ではなかった。
攻略の上でまだるっこしい刹那は後回しにし、攻撃性能を持たない黄昏に狙いを照準。
マリィを座ごと潰し始める。
ブログ主のメンタルが終わりそうなところで、刹那全霊の疾走。
しかし、無念にも腕の一振りで敗北。座からはじき出される。
そこからは......、もう...むり......。
“踏んだ”
“顔を、腕を、足を、腹を、腕を、潰れろ潰れろ潰れろ潰れろ。臭いんだよ穢らわしいぞ気持ち悪いなこの塵屑が——自分に触れるな放っておけ。絶対、決して、触れてくるんじゃねえぞ死ね”
マリィ消滅。
これにて波旬は念願たる孤独が手に入った......と思いきや、いまだ誰かの感触が拭えない。
真実自分に触れていたモノが何なのか——突き止めようとしたその瞬間、起こる現象は“座の交代”。
結果、孤独どころか膨大な魂を抱え込むことに。
ユーザーからすればメシウマなことこの上ないが、宇宙の法則は輪廻転生から天狗道へ。
滅尽滅相が発生しようとしたところで、遠くどこからか聞こえてくる超越の物語。
世界終焉の危機は、寸でのところで踏みとどまる。
そうして幕を開けたのが『神咒神威神楽』。
この壮絶な背景、マルグリット挺身追跡隊が何人ここで屍になったことか。
ブログ主も初見時はあまりのダメージにここで一旦プレイを中断しましたよ......。
そんな我々人類すべての敵である波旬。
自身の座まで降りてきた夜行の姿を一瞥。一瞬考えたのち、かつてひねり出したう〇こだと気づく。
波「ははははははははは!なんだそりゃァ、糞にまみれて尻の穴を目指してきたとは嗤えるぞォ」
「痛快だ。なあ、おい。塵掃除は済んだのか?元よりおまえ、それしか意味のないものだろう。排泄物が主食だろうが」
この煽りスキルの高さよ......。
逆にコミュ力高くねえかコイツ(;゚д゚)。
夜行も波旬がどれだけ終わってる奴なのかハッキリ理解。てかドン引き。
が、同時にとんでもない力を持っていることも知覚。
そのレベルは、旧神たち全員合わせても、遠く及ばないどころか腕一本で足りてしまうだろうと思わせるほど。
常に言葉遣い(だけ)は丁寧な夜行だが、波旬に対しては「貴様」と語気が荒い。
彼としても聞きたいことは山のようにあるので、まずは対話を試みようとするのだが......
「うわぁぁ!なんかう〇こが話しかけてくる嫌だあぁキモいいぃぃ」と発・狂。
この身勝手さと理不尽さ......これに加えて煽りもすごいんだから、とんでもないモンスター。正田はなんて罪深い奴を生んでしまったんだ。
夜行の感想としてはこれに尽きる。
黄金・水銀・黄昏......彼らがどんな人物だったかは知らないものの、こんなのに踏みにじられていいはずがないと、亡き彼らに深く同情。
夜刀の悔しさを噛みしめ、眦を決する!
夜「——黙るがいい。腐っているのは、貴様の方だ」
「臭いぞ......鼻が曲がる。よくもまあこれほど壊れた下種の極みが、あれらを否定したものだ」
「言わせてもらおう。貴様は屑だ」
「ゆえに、我が太極にて散るがいい」
この熱い啖呵よ!!!全ユーザーの気持ちを見事に代弁してくれた!!
過去最高級に夜行を応援している自分がいる。
「やっちまえぇぇーーーー」とブログ主、思いを込めてクリックしてると、なんかいつの間にか夜摩閻羅天が消失してる?!
たった数クリックの間にいったい何が(; ・`д・´)?
夜行の驚愕も相当なもの。
対して、満足したように納得する波旬。
続く言葉は、神咒において特級クラスの爆弾発言!
波「ヤマ、エンラテン?」
「わざわざ俺の垂れた糞便に自分の名前を書いてんのかァッ」
「天才?最強?おかしなことを言うものだ。総ておこぼれと知らぬまま、塵同士比べ合って何やら蠢くのが好きらしい」
「そもそも、まず第一に——」
「おまえ、元々は別の塵が流した糞を嬉しそうに喰ってたろうがよ」
夜行の存在、それは波旬が生み出したものではなかった。
波旬はあくまで、都合がよさそうな道具をみつけただけ。
生みの親は波旬ではない。では誰が?
その存在はまるで、「わたしがかんがえたさいきょうのしゅじんこう」......夜行は自身の真実に辿り着く。
夜「......私が、龍水の玩具だと?」
龍水が持っていた歪みは、単なる“未来予知”に留まるものではなかった(それで十分すごいんだけど)。
真実の力は“願った未来をたぐり寄せる”というチートofチート。
龍水が自身の人生を幸福だと感じていたのも当然。自分の思い通りのレールの上を進んできたのだから。
そんな彼女が思い描いた創作物、それが摩多羅夜行という男の正体。
散々バカにしてきた子女の妄想そのものであり、さらにそれが波旬によって見出され完成された......前作主人公・蓮もかなり不幸な生い立ちだったが、夜行も負けず劣らずな不幸っぷり。
夜行が自分のことに興味がなかったのも、自負云々以前にそもそも「自分」というものが無かったから。
自己を構成する何もかもが否定された形に。
追い打ちをかけるように、曰く『糞』すら波旬によって剥奪されていく。
戦意を失った夜行。
そこにトドメを刺すかのごとく、正田作品最大級の侮辱を波旬は放る!!
波「———なあ、俺の糞は旨かったか?^^」
夜「————この、屑がァァァァァァアアアアアアッ!!」
夜行ガンギレ。
擦り切れていた魂が怒りで補修され、消えかけた戦意が一気に衝天。
キャラ崩壊を疑うレベルのキレ方だが、こんな煽りを受けたら誰だってガマンなんかできるわけねえわな......。
夜「許さぬ認めぬ受け入れぬッ!貴様の如き汚濁で編まれし下種風情が、摩多羅夜行を語るではないわァァーーッ」
「貴様に、貴様などに、その座へ住まう資格はない!詫びよ、崩れよ、朽ち果てよ、己が愚劣さを思い知れッ!」
「——新たな覇道など知ったことか。いま、この手でッ」
「魂魄総身、那由他の果てへ消し去ってくれる......ッ」
役者さんの凄まじい雄たけび。
感情を表に出してこなかった分、この爆発はプレイしてるこっちがブルってしまうほど。
......しかし、そんな夜行の熱量も、波旬には1mmも響かず。
ただの“圧”だけで、夜行は神座より追い出される......。
地上へ強引に帰還。
受けたダメージは甚大。太極を失い、大獄戦時のような裏技は出来ず。今度こそ逃れられない死が訪れる。
が、夜行の心情としては当然このままでは終われない。
全ては自身の存在証明のために。立ち上がらんと奮起。
ここまでボロクソにされても、魂は死んでいない。夜行の人間らしさがむき出しになったこのシーン。とても印象深いです。
そこに駆けつける龍水。
あらためて役者さんの泣き演技の凄さが伝わる場面。
龍水の涙を浴び、夜行はもう一人の創造主から受けた汚濁から解放されていくのを感じる。
自分を『塵』と切って捨てた神。一方『至高』だと輝かせてくれる女。
どちらも生みの親なれど、確実に異なる。龍水の愛を受けた夜行は、それまで胸に点いていた炎が溶け......満足して逝ってしまう。
夜行の死。
残された龍水は——。
水「夜行様。これでは......、これではあまりにもな最期ではありませんか」
「私はまだ、夜行様の傍らへ、たどり着いてはおりませぬ」
「ゆえに、このような最期など私にとっては認められるものでは、ございませぬ......!
「——譲れるものか、この御方は私の男だ」
最愛の人を完膚なきまでに蹂躙され、龍水の怒りはこれまでにないほどに。
だからこそ、当然こんな結末は受け入れられない。
龍水は夜行の蘇生......もとい再誕を試みる。
懐から依り代を取り出し、言葉を綴っていく。
そこに込められた念は、まちがいなく神域に達するもの。
夜行に敗北など存在しない——それだけを確信し、龍水は“始まり”へと遡る。
最初の出会い。ほっぺの〇はなんだ笑。
お手本のような一目惚れ。
御門家の修行にキツくなっていた頃、突如として目の前に現れた理想の男性。
掛けられる言葉は「おまえ才能ねーぞ」と辛辣。
初対面の男にこんなこと言われたら普通ならドロップキックなのだが、完全に堕ちてる龍水はますます虜に。ドMやわ......。
その後もダメ出しを連呼されるも、幸せホルモンがいっぱいの龍水はノーダメ。むしろ嬉しそう。
この至上の出会いを一瞬のものにしたくないと、龍水は彼の名を尋ねる。
聞かれた彼は一拍間を置き......まるで龍水の中から拾い上げたかのように名を名乗る。
それが2人の始まり。
龍水が求め、夜行が生まれた。
この日より彼女の研鑽と誓いが始まった。
そして今、奪われた想い人を取り戻すべく全霊。
その足掻きこそ、夜行が認めてくれた唯一無二の美点だから。
“だから見ていろ第六天。貴様は許さぬ、そして慄け”
“夜行様は至高の益荒男。おまえごときに負けることなど決してない。おまえごときに、我が益荒男を穢させない”
水「夜行様は、私の愛(おとこ)だ!誰にも何も奪わせないッ」
スタートは自己愛から発したものであっても、今は違う。
真に人を愛することを知った彼女は、母と同様、高みにある輝きを追いかける。
それは波旬の世界には無い、他者を想う心。
“——太・極——”
発現する思金神。
描く理想の未来は、波旬の討滅。
その祈りは、夜行に届く。
これまでコケにしてきた“女の情念”......それがどれほどの強さかを理解して——
夜「黙れよ貴様ら、あまり私を見縊るな」
「子女の力など当てにせぬ。己が力、己が道にて奴を討つのだ。その一点を違えぬからこそ——」
「私は、私自身で在れるのだろう」
水「——はい」
「はい!それでこそ、私の愛する夜行様です!」
夜行様復っ活!!
蘇らせてもらったくせに相変わらず傲岸不遜(笑)。しかし、それでこそ龍水が追い求める理想の益荒男。
殺し愛カップルのような対等な関係ではないものの、これも一つの絆の形。
そして——これより始まるリベンジマッチ。
彼方では、創生された覇道の光。
夜行が掘削し、宗次郎と紫織が開けた穴を突き進む新世界の輝き。
夜行と龍水も後に続く——。
波旬の恐ろしさをこれでもかと味合わされた百鬼夜行編。
しかしラストは龍水の凄まじい愛を見せてもらい、胸が震えたのはブログ主だけではないはず。
個別ルートはどの話も、最後は気持ちが昂るぜ……!
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