“天地の閾を掘削し、波旬へ至る道筋を夜摩閻羅天が解き明かそう”
陰陽師ペアの章。
誰が真の変態なのか、ついに明らかになる。
夜刀の消滅により、自身の法則がようやくつつがなく機能し出したことを安堵する引きこもりの神。
世界の管理者たる立場にありつつも、そんなことにはまるで興味なし。
むしろ膨大に広がる宇宙と魂を端から嫌悪。
自分以外の全てを塵と断ずる狂った精神構造。
そんな奴なので、「抱きしめたい」という純真無垢な祈りもただただ不快と嫌悪して——。
そうして、波旬の心象を読み取り、眠りから帰ってきた夜行。
「やばすぎぃ......(;´Д`)」と自分を生み出した神にドン引き。
次いで考えるのは、亡き二童子のこと。
出会ったのは、無形だったころの太極内。
なんかフワフワ漂っていたところを「ラッキー(*^-^*)」と思ってポケモンみたいにゲット。
自分のことをラッキーマンだと信じて疑わなかったが、“神の玩具”という事実を知った今、それらが仕組まれたことだったと気付く。
第四天下で、人類史上最大の大量殺戮を果たした獣。波旬の目にとまり、滅尽滅相の促進剤として夜行の下へ送り込まれたのが真実。
夜「あれらどちらも私の従者、私の臣(もの)だ。御下がりなどには断じてあらず」
「そして、おまえはあれら違わず、ただの道具(もの)と扱うのだろう?」
「ならば、我ら異なる別の魂。摩多羅夜行は波旬にあらず」
「私はおまえなどではない」
常に余裕のある口ぶりをみせるのが、夜行というキャラクターなのだが、波旬が絡むと口調が熱くなる。役者さんの演技が光りますね。
と、そんな感じで波旬と自分を同一視されるのがとにかくガマンならない夜行さん。
彼にとって波旬の討滅は、自身のアイデンティティにかけて譲れないものに。
そのためには“座”まで辿り着く必要があり......。
一方、名実ともに御門家当主になった龍水は何をしているかといえば......
なんと再びの邂逅。
これには龍水も口をポカン(゚Д゚)。
竜胆を喪った悲しみや、これからの不安などもひとっ飛び。
続く展開も強烈(笑)。
水「すぐに朝餉の用をしますので——」
龍「いや丁度いい。気まぐれ代わりに、今日は私が作ってやろう」
水「え?えぇぇっ、お母刀自殿が......ですか?」
龍「おい龍水、おまえそれはどういう意味だ?」
「ふん、なるほどな。やはり私をそう見るクチか。いいだろう」
「まあ見ていろ。こんなものは所詮、児戯だと教えてやろう」
龍明ママ、初のクッキングに挑戦!
いざそのお味は......『玄妙』。
玄妙【名・形動】 道理や技芸などが、奥深く微妙なこと。趣が深くすぐれていること。またそのさま
しかし、その味がたとえどんなものであろうと龍水にとっては正真正銘初めての母の味。うれしくないわけがない。
束の間の家族団欒は終わり......龍明は本題を切り出す。
死んだはずの人間と、こうして会話できている不可思議な現象。生み出したのは龍水。
龍明は娘の能力に則った形で現れ、あらためて本人の口からこれまでのネタばらしを。
・元々は東の天魔であったこと
・初代御門=御門龍明本人
・神州は国そのものが大きな特異点と化していたため、化外の身でありながら西へ渡ることができた(それでもかなりギリギリだったが)
・龍明の目的は特異点化の進行と、波旬の自滅因子を発生させることだった
・自滅因子と目される久雅竜胆が出現したことで、今回の東征に踏み切った。
のだが......
龍「久雅竜胆は自滅因子などではない」
「この世に覇道は生まれない。そういう渇望(しくみ)になっているのだ。奴の願いは」
並み外れた覇道太極に至りながらも、その根っこは極限の一人っ子な波旬。
したがって、覇道神なら誰もが逃れられない“自滅因子”という自死の誘惑も、波旬の世界には発生しない。
ということで弱点なしの反則野郎が当代の神。
龍明姐さんも気が付いたのは、すでに東征が始まってしまった後。
もろもろとり返しのつかない状況で、さらに竜胆の正体も謎。しかし、それでも竜胆に“善”の気質を感じた姐さんに後悔はない。
母の正体をあらためて本人の口から確認した龍水。
考えてしまうのは——自分もまた、波旬の細胞として憎まれていたのか?
それに対する母の答えは、過日と同じ「悪くない」。
初代ツンデレ大王の彼女が発する「悪くない」。その意味(威力)、爪牙なら説明するまでもないな?
母から娘へ最後の指導。
益荒男たちの中で、最も強大な力を有しているのは龍水であることを告げ、だからこそ想い人の力になってやれと助言。
捕まえて尻に敷いてやれと発破をかける......それは在りし日の自分が出来なかったこと。
水「ああ、やっとわかりました。母刀自殿にもそういう方がいたのですね」
龍「まさか。ただの忠だよ」
「これほど歳を重ねておいて、夢見る処女(おんな)ではあるまいさ」
“ああ、この人は何を言っているのだろう。その感情をどう呼ぶかなど、たった一つしかないはずだ”
“だって、それは——”
水「それをこそ、私は愛と呼ぶのだと思います」
龍「そうか......」
「そうだな......それも、よいのかもしれん」
...
......
俺は
俺は......
最後の最後に、子が親を育てた結果に。
間違いない、至高の天はここにあり。
夢から目覚める龍水。
その胸には一片の迷いもなし。
最愛の母から「自慢の娘」と言われたことを誇りとし、討つべき相手を見出した彼女は夜行の下へ。
都では、冷泉による益荒男狩りが始まる。
その果てにある大欲界天狗道――母より全てを知った龍水は、その未来を阻止すべく夜行を見つけんと全力疾走 。
その様を天眼で見つめる夜行。
それ自体は普段と変わらない行いなのだが......現在の彼はいやに感傷的で、自分を追い求める龍水にもいつもと違った感情をのぞかせる。
結果、早々に自身の結界内に招き入れる。
2人で現状の確認と、これからについて。
夜行は自分が得た知識と、龍水が母から聞いた話を統合させて、益荒男たちの指針を確定させる。
・覇道流出
・極点拡大
・非業解脱
・天地掘削
夜行組が成すは4つ目。
しかし夜行の狙いはそれに留まらない。
水「ならば、挑むのですね。夜行様は」
夜「我が身代わりて天に立つ、とは面倒なので吼えぬとも。新しき世を創る、それはそれで必須だろうが......やりたい者がやればいい。私は知らぬ、どうでもいい」
「だがしかし、見下ろされるのは業腹だろう」
殺る気マンマン。
元より東征時から決めていたことであり、大獄との邂逅で絶対のものになった“親殺し”。
玩具に非ずと、因縁の清算を望む。
するとすかさず、龍水も随伴することを宣言。
足手まといどころか、瞬殺されるのは目に見えている。龍水自身、百も承知。
夜「ならば何故?地を這う蟻に過ぎぬおまえが、どうしてわざわざ共に来る。舞台が違う、階層が違う、おまえの戦は終わっているのだ」
「まさか、その選択もまた、私を愛するゆえとでも?」
水「はい」
即・答
夜行に対する思いだけは徹底してブレなかった龍水。生き死によりも『夜行の役に立ちたい』という気持ちが大事。こういう奉仕の心、とことん母親そっくり。
そんな龍水の強い意志、夜行も心中で感嘆。太極に辿り着く兆しを感じ取るほど。
ただ......夜行の意志も硬い。単独で撃破することを望んでいるため、龍水を眠らせる。
「戦場に女子供はいらねえ」とどこぞのティーガーリスペクトなセリフまで(笑)。
各地で戦っているであろう益荒男たちへメッセージを飛ばし、いざ、特異点への単独潜行を開始!
神座巡り・夜行ver→『神咒神威神楽 曙之光』咒皇百鬼夜行編 感想・中 - ゆらりゆらりとゆらゆらと