ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

「神咒神威神楽 曙之光」霜月・無間蝦夷 感想・伍

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“時よ流れろ——永久不変たる水底の輝きと共に”

“準備はいいか。さあ駆け抜けろ。今度は俺が、おまえを高みへ導いてやる——!”

 

 

今作最大の山場の1つ。

蓮のモノローグがでてくる辺りから涙がとまらねえ。

 

 

 

最終決戦の鐘が鳴る。

「いざ尋常に~」と大見得を切った覇吐 ......だったがさっそく覇道神のえげつない洗礼が!!

太極抜きにしても、まず基礎戦闘力がすごい。

背中の刃の威力は「天を裂き、そこから空間を放射状に亀裂が入る」と地の文。

何を言ってるかポルナレフ状態。しかもここからさらに“無間大紅蓮地獄”が襲いかかる。

その基本的な能力が“時間停止”というすでにふざけたチート性能なのだが......夜刀はさらに“自身の時を加速させる”という技まで披露。終曲の完成形みたいなスタイル。

防御に特化している、というのがよく特徴として挙げられるが、攻撃性能だって十二分にぶっ壊れてるだろ。

 

ということで、激しい斬撃の嵐が覇吐に降ってかかる。

描写からみて蝦夷ごと叩き斬ってるっぽくて、乾いた笑いしかでませんよ......。

“切断”でいえば宗次郎も似た属性だが、こっちはギロチン由来のものなので、必殺性においてはこちらの方が凄そうだ。

もちろん刃一つ一つにキッチリ“時間停止”もエンチャントしている徹底ぶり。

なんだこいつ......。 

 

夜刀の攻撃はそれにとどまらない。

“血、血、血、血が欲しい”

“ギロチンに注ごう、飲み物を”

“ギロチンの渇きを癒すために”

“欲しいのは、血、血、血”

“罪姫・正義の柱”

 Marguerite Bois de Justice

 

懐かしのギロチンソング。マリィの名を冠したこの技は、随神相から極大のビームを発射する、というもの(マリィ要素ゼロじゃん......)。

その威力に、天そのものが崩落。東日本が大変なことになってっぞ。

出てくる作品を間違えてるとしか思えん。

 

そんな何万回死んでてもおかしくない攻撃の波。

しかしボロ雑巾となりながらも、未だ覇吐は生存。

 

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ユーザー側は困惑必至なのだが、夜刀はそれも当然だと事態を受け入れる。

激しい攻勢の中で、覇吐の渇望を詠みあげる。

夜「黄泉返れ、黄泉返れ、黄泉返れ——どれほど欠けようとも黄泉返れ。なるほど面白い渇望だ。こんな様でもまだ生きている」

誰もが当たり前に持っている「生きたい」という想い。それを常人ではあり得ない域で祈っていることに、歴戦の夜刀も思わず嘆息。

畸形であるがゆえの極地。端的に告げるも、この段階の覇吐は要領を得ず。

 

そして話は、この場にいない竜胆について。

覇吐と竜胆、なぜにお互い惹かれ合っているのか。単なる恋慕や主従関係からくるものではないと夜刀は断言。

そこに渦巻いているのは自滅の渇望。“自滅因子”はやはり今作でも重要な意味合いを持ってくる。

お互いを分かっているようで、実際何も分かっていない。真実を知らない上で突き進めば、待っているのは破滅の未来。そう告げる夜刀の口ぶりは真剣そのもの。

 

そんな問答をやってる最中も、夜刀による蹂躙は止まらない。

重力を無視するように上にも下にも吹っ飛ばす。

おまけに水銀をオマージュしたであろう夜刀版流星群も披露。

いよいよ日本がやばい。

 

それでもなお死なない覇吐。無間大紅蓮地獄をわずかながらにしても返杯しているというのだから驚き。

夜刀から想い・命・忠義・絆......掲げる全てが偽物であると侮辱され、罵られ。

その果てに嗤うのは一体誰なのか——告げられて理解できないことが多い中、それでも覇吐が許せないのは一つ。

竜胆を貶めるような発言は何より受け入れられるものではない。

彼にとって彼女は全てを照らす曙光の輝き。

共に生きて、先を見たいと誓っているから——。

 

覇「季節外れの、舞台違いの、徒花なのはてめえだろうがッ!」

 

  「俺は死なねえ、俺は生きる。俺らは誰かの備品じゃねえんだ!」

 

誰かの付属物なんかじゃない......覇吐にとって、自覚はないにしろこれは大きな意味を持つ言葉。

それに呼応するように、止まっていた益荒男たちが目を覚ます。

 

竜「そうだ——私たちは波旬じゃない」

 「いざ知らしめよう。私たちの生きる意志を、魂を」

 「天照す光のように———!」

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覇吐の背を押す仲間の声。

応えるように立ち上がる主人公。

その光景、誰よりも惹かれてしまうのは......夜刀。 

このあたりから、いよいよ夜刀の視点に。

西側から邪神と蔑まれてきた男の真実。水銀を模すように悪辣な態度で振る舞うのは、それが自身の役目であると踏まえているから。

そしてこうまで苛烈に攻めあげるのは、“気づき”を与えたいがため。

一体何が自分の身に起こっているのか、何から力を与えられているのか。かつて夜刀自身がそうだったように、覇吐にも超常の力が流れ込んできている。

そしてその原因たる“座”が、やはり目前まで来ているのもあって、覇吐の力は夜刀を以てしても唸るほどに。

そんな覇吐の真実——波旬が最強になった原因でもありそうだと推察し、だからこそ勝機もあるのではと期待。

  

“邪神の理、おぞましい”......在りし日よりその気持ちは変わらず。

己が展開する渇望の危険性を十分把握し、だからこそ自分が“座”に至ってはならないと強く自制。高潔な精神は何も変わっていない。

そして今は、座に携わる者としての責任も持ち合わせている。

自分でも、ましてや波旬でもない、真っ当な者へのバトンタッチ——そのために生き恥を晒してきた。それこそが亡き女神へ捧げる愛。

 

ここから全霊の攻防。

夜刀が、彼のレギオンたちが狙った勝利とは“次代へ託すこと”。

最後に請け負った夜刀からしてみれば、なおのこと仲間たちのために負けられない。

しかし、覇吐も負けじと、竜胆と共に築きあげてきた自慢の仲間たちを誇りのように叫ぶ。

夜刀にしてみれば輝かしい限りの啖呵。心中で「羨ましい」と零すほど。

まさに至高の刹那。 

ここまでやりとりがフルスロットルすぎて、ブログ主の涙腺などとっくの昔に滅尽滅相。

 

“魂”を凄絶に謳う覇吐。

その在り方、波旬とは異なるものを確かに見届けて

夜「櫻井、戒、アンナ、リザ、司狼、ミハエル、テレジア」

 “もう一度、俺に付き合ってくれたおまえたちに、心よりの礼を言わせてほしい”

 “苦しかったな。辛かったな。涙ばかりを流させて、本当にすまなかったと思っている”

 “けれど、きっともう大丈夫だ”

 “まだまだこんなに鈍感で、初心者みたいな連中だが、彼らの中には俺たちの足跡を感じるよ”

 “無駄ではなかった———意味があった” 

 

 「マリイ......これでいいんだよな?」

 

 

覇吐と夜刀の死闘を見守る益荒男たち。

みんな好き勝手評論する中、個人的には刑士郎が零した「俺らの意地をおまえが通す番なんだからな」というセリフが印象深い。

そんなこと言うような奴だったっけ......おまえどんだけ大人になっとんねん。

 

変革した者、取り残された者、みんなが一様に集まって、心からの声援を。

「「覇吐!」」

 

その声に紛れる形で、邪神の思惑も渦巻いて......。

 


 

そうして視点は覇吐に帰ってくる。

上昇していた力は、ついに夜刀と並び立てる域に。

しかしここにおいてもっとも重要なのは、覇吐も夜刀が悪者ぶってることに気づいていたこと。

曰く「下手くそだったから、お手本みせようとついつい乗ってしまった」とのことである。

夜刀が時折みせていた笑顔にも気づいており、こうなってくるとこの戦いもホント芝居じみてきてるな。役者が良いせいだ。 

 

夜刀の真意が何であれその気持ちに応えるべく、これまでの旅路で培ってきた自慢の宝石を見せつけるように——。

 

覇「どうだ、大将。俺の仲間(きずな)は......俺の女はすげえだろうが!」

 「てめえらに有って、俺たちに無いものなんざ......もう何一つだって有りやしねえ」

 

 「だから——

 

 「もう俺らが作る物語(はなし)において、おまえの役目は何も無え」

 「安心して、逝っとけやァッーー!」

 

夜刀の速度をついに捉える。

しかし肝心の首を獲るには一歩至らず。

気の抜けない攻防が続く中、咄嗟に響く竜胆の声に防御が遅れるも......なぜか夜刀からの追撃はなし。

それは無言の肯定。

竜胆と覇吐、2人の力こそが新世界への架け橋になると期待して——ここに夜刀は自分たちの勝利を確信。

 

そうして夜刀は最後の力を振り絞る。曰く「至大至高の一撃」。

覇道の理を乗せた光。竜胆たちへ道を示すように放たれる渾身の奥義を前に......。

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覇吐の脳裏を過ぎる天狗の誘惑。『躱して、仲間たちの犠牲の上で勝利する』。

それに抗うように、真正面から光弾を受け止める。

未来を生きるため、ここに昇華される覇吐の異能。

 

伊邪那美命言 愛我那勢命 爲如此者 汝國之人草 一日絞殺千頭

“爾伊邪那岐命詔 愛我那迩妹命 汝爲然者 吾一日立千五百産屋”

“是以一日必千人死 一日必千五百人生也”

 

“禊祓——黄泉返りッ!”

 



 

蓮「————そうだ。それでいい」

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 「おまえの、勝ちだよ」

 

愛した女神のために、己の総てを捧げた男。

蜘蛛、化外、徒花......怖れられ蔑まれても、生き恥と嘯いても、それでも戦い続けた唯一無二の英雄。

最後の勝ちを宣言するときの声音は、「夜刀」から「蓮(ロートス)」に戻ったようで、寂し嬉しかったよ。(´Д⊂ヽ

新世界が来る日まで、どうか安らかに。

 

 

処刑鎌へと変貌したソハヤ丸により、大将首を上げる。 

西側の悲願たる東征達成。

長かったぁぁ~~。

夜刀への引導が“首斬りの鎌”というのがまたなんとも。


ボロボロの覇吐を最初に労わるのは竜胆......ではなく陰陽師組。

何気に一番近くで観戦してしたしなぁ。

おまけに夜行に至っては、2回戦目やる気マンマンなほど滾ってる始末。

ぞろぞろと他のメンツも集まりだして、いつも通りの賑やかな光景。

どいつもこいつも通常運転なのだが......ひとり何やら達観してらっしゃる刑士郎兄さま。

大人な意見を口にしたところで、すかさず覇吐から「偽物だな?」の猛ツッコミ。

覇「返せ、返せよう俺らのチンピラ兄貴を!あいつにはこれから妹をくんくんしながら飯を食う毎日が待ってるんだからよう!」

紫「咲耶呼んでこようか?くんくんする?

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激戦の直後にこれだけふざけられるのも、彼らが真に仲間と呼べるようになったからこそ。

と、馬鹿騒ぎしてるところで......

 

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Diesの黄金閣下と同じように、魂だけの状態で登場する夜刀。

大団円を喜ぶ面々へ、むしろこれからが本当の始まりであることを告げる。

夜刀としては、覇吐との戦闘で“座”まで引っ張っていくつもりだったが、結局到着する前に勝負が決してしまった。

なのでそれも含めて、後を益荒男たちに託す。

すると、唯一話を理解している夜行。傲岸不遜を地で行く彼が、生涯初の心よりの拝礼を。

夜「こんな時も蔑称で呼ばねばならぬのが心苦しい限りだが、御身に敬意を表そう、夜刀殿よ」

 「誠、座に関わる者とは斯く在りたい。なあ烏帽子殿、そう思われぬか?」


竜「私は......」


 「そうだな。私もそう思う。御身は常世殿が言った通り、無謬の光であったのだ

 「その輝き(せつな)こそを守りたい。ああ、受け継がせてもらうよ。先人の宝を穢してはならぬと思うから」

 「ありがとう。御身らと出会い、戦えたこと。久雅竜胆鈴鹿は誇りに思う」

 

自身の真名を以て、偉大な先達に誠心誠意の感謝を。

その謝辞に照れくさそうに返す夜刀。そういうところは変わってないね。d(^_^o)

 

しかし......穏やかな雰囲気はそこまで。

夜刀が覇吐を見つめる。そこに込められているのは、明確な殺意

同時に覇吐は、別次元にいる“何か”をはっきり知覚。

自身の原初に関わる存在を目に、たまらず精神に異常をきたす。

剛毅な彼らしくない、先ほどまで夜刀に啖呵を切っていたのが嘘みたいな脅え様。

一人称も「俺」から「僕」に。

覇吐って何者なんだ?とユーザーの誰もが怖くなった瞬間では。

 

覇吐の混乱を無視するように、夜刀は長年この時のためにずっとため込んでいた言葉を——最大の怨敵へ。

 

夜「よぉ久しぶりだな下種野郎。おまえの嫌いな他人がほら、ここにいるぞ」

 「何か、言ってみるがいい」

 

 

 

 

波「誰だ、おまえ?」

 

 

 

 

 

「おまえの負けだ」と宣言し、夜刀は完全に消滅。

なんとも不穏な幕引き。

夜刀の最後のやりとりを、中心人物以外だれも覚えていないのも不気味(覚えているのは覇吐・竜胆、あと夜行?)。

無間神無月が消えたことで、止まっていた季節が動く。

それ自体は良いことなのだが、プレイしてる側としてはどうにも不安が拭えねえよ......。

 

鳥居の下では、勝利に狂喜乱舞する兵士の皆様。ここまで生き残っただけで大したもんすわ。

陣頭には当然冷泉様。この方が生き残ってるのも、この後のことを考えると当然の成り行き。

そんな彼らの姿を目にし、応えるように竜胆は勝鬨をあげる。

......が、言い終わるや否や、事切れたように倒れる。

 

 

“まるで最初からそうだったように”命が途絶えた竜胆。

ハッピーエンドの空気など完全に霧散。

何年ぶりかの再プレイだが、ショッキングすぎてこのシーンは未だにボケッとしてしまう。

絶叫する覇吐。 

それに負けないほどの不愉快な笑い声をあげる、覇吐と同じ声

 

ちなみに初見時、ラスボスの声が覇吐と同じ声優さんだなんてまったく気付きませんでした。

演技うますぎな。 

 

 

 

人物雑感

夜刀

語るに及ばず、世界の救世主かつ大英雄。

「彼がいなかったら~~」を挙げればキリがない。

水銀を真似て悪者ムーブしてたけど、根っこの善性が隠しきれてませんよ。

「神の器じゃない」と本人は自嘲していたけれど、彼ほど神にふさわしい精神を持ち合わせている者は、それこそ黄昏以外見当たらない。

先輩だけでなく、我々から見ても彼は無謬の光だったのだ。

 

 

卯月・秀真→「神咒神威神楽 曙之光」卯月・秀真 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと

 

 

 

 

出典元:www.light.gr.jp