“それは——炎”
“やはり外気に触れた瞬間消えてしまうが、それでも苛烈で、なんと美しい輝きだろうか”
女たちの戦い。
ここから本格的に脱落者たちが......。
視点は夜都賀波岐サイド。
夜刀の身を案じるがゆえに、蝦夷まで進軍を許すことなど考えられず。
というわけで、夜刀の意志に反するのを承知の上で出陣開始。その胸中......報われない愛が泣けるぜ。
そんな常世に付き合う残りの女傑連中。
母禮も奴奈比売も夜刀に惚れているため、ある種当然の流れ。じゃあ紅葉は?といえば、愛する娘のため。
そんなわけで全員揃って東外流へGO。
世にも恐ろしいガールズトークをくり広げ、戒以外の野郎どもが言われたい放題で笑える。
でもその会話は当然愛が含まれているもので......これDies未プレイ勢でも、東征軍より彼女たちの方に感情移入しちゃうのでは。
んでもって視点は東征軍。
奥羽での出来事でまさかの2ヶ月費やしてしまったものの、なんとか本隊に合流できた竜胆ら。
蝦夷に向かう船の中、竜胆は天魔たちに想いを馳せる。
竜「私が理想とするものを実現している彼らに対し、戦いを強いる理由。そこに揺らぎを感じている」
「果たして我々に、そのような資格があるのだろうかと」
「私たちは本当に、自分自身を持っているのかと思ってな」
伝え聞いていた邪悪なモノではなかったため、自分たちの行いを疑問視。
次いで、彼らは亡き者を想って戦えるのに対し、自分たちはどうなのだと、覇吐に詰め寄る。
“死後”というものがない世界でこれはかなり難しい問題......。
いずれ忘れ去られてしまうのではと不安に思う竜胆を、しかし主人公は一蹴。
“何処にいっても連れ戻す”
か、かっちょええ......。
そのままいつになくいい感じの雰囲気になり、イケると思った覇吐はそのまま念願のチュー......
ってところで姐さん登場。
このいい顔よ(笑)。
Diesのころと比べるとキャラ崩壊ってレベルじゃねえぞ!(もっとやれ!!)
他の奴らもゾロゾロと集合。覇吐の幸せを邪魔したいのかこいつら(笑)。
とりあえず全員揃ったので気持ちを切替え。
来る大決戦に備え、気合いを入れていこうと鼓舞。
......が龍明は一人、いち早く戦闘態勢に。
龍「一つ真理を教えてやる」
「どんな世界の、どんな時代でも、女は感情で動くのだよ」
世の真理を説いてくれる姐さん。中尉時代が懐かしい。
姐さんの言葉が終わると同時に東外流の海が大荒れ。
津波と共に襲いかかってくる奴奈比売の随神相。
夜刀の言葉を鵜のみにしていたため、東征船団は完全に奇襲を受ける形に。
しかし......始めからここを死地と定めていたのか、龍明は封じていた力を解放していく。
“さらば 輝かしき我が子よ”
“ならば如何なる花嫁にも劣らぬよう 最愛の炎を汝に贈ろう”
“我が槍を恐れるならば この炎を越すこと許さぬ”
ブリュンヒルデへ向けたヴォータンの言葉。
かつては自身を敬愛してきた部下へ。
そして今は共に戦う後進たちと、自身を慕う娘のために。
龍明が簡潔に割り振る。
己は紅葉、夜行は母禮、竜胆は常世、残りは奴奈比売へ。
そうして各々が与えられた戦場へ赴く中、龍水は母と共に並ぶ選択を。
なんだこの一枚絵。カッコよすぎて震えがとまらんぞ。
母を追いかける娘、娘に応える母。
そんな理想的な関係を、彼女が認められるわけもなく。
紅「なんて出来の悪い茶番なの。それは当てつけのつもりかしら」
「皮肉だわ。まるで水銀でも飲み下したかのよう」
龍「さてな。だが母たる者、子の前では強くなければならんだろう。無様な姿は見せられん」
紅「あなたが“母”などという言葉を口にするなァッ!」
あのころは想像すらできなかった“母親対決”がここに。
戦闘は4局面。
夜行vs母禮は二度目の空中戦。
ここまでの旅路で更なる力をつけた夜行。
その実力は“蝉”と断じた母禮と紙一重のところまで。
その異常な成長速度、かつての主人公と重ねる母禮。
“神の玩具”という言葉がいやでも頭を過ぎるぜ......。
煽りスキルも神様由来か、饒舌に煽り散らす夜行。
この段階で、彼にとってはもはや母禮は踏み台か。螢ぇ......。
竜胆と常世の司令官対決はまさかの“にらめっこ”。
先輩のステゴロも見てみたかった(笑)。
双方、相手の正体を看破しようと必死。
常世は竜胆が“自滅因子”と当たりを付けているものの、“誰の”かまでには至っていない。
一番の候補であるはずの邪神は、しかし自滅の渇望など露ほども持っていないであろうため除外。
紅葉戦はさながらバイオハザード。
燃やしても燃やしても這い出てくるゾンビの群れはマジで恐ろしい。
しかしそんな劣勢の中でも龍明の横で奮戦する龍水の姿は実に凛々しい。
“チンチクリン”なんて呼ばれていたのはもはや昔日のこと。
吐露する心情だって「母に恥じぬ自分であろう」という健気っぷり。
対する龍明も、その期待を裏切らぬ偉大な背中を見せる。
しかし.........それら一つ一つが紅葉の癇に障る。
紅「茶番ね」
「背中を見せる?道を示す?何を教えるつもりなの?そんな波旬の細胞に」
「私はあなた以上にあなたのことを知っている。だから他の者たちが何と言おうと、私だけは信じていたわ。きっとあなたは、今もあの人のために動いていると」
“あの人”っていうのは、まぁ言わずもがな。
前世であれだけ奉じているのを見てたわけだしなぁ。
そんな良くも悪くも純粋だった腐れ縁が、波旬の法に堕ちてしまったのかと激しく落胆する紅葉。
おまけに“母親”をやっているということも、“母親”ができなかった彼女からすれば余計に腹立たしいのだろう。
激昂し、キツい言葉を浴びせるも、龍明からの返事はない。
もはや用なしと判断した紅葉、別れの言葉と共に等活地獄の力を強め————。
屍兵の槍が一斉に龍明を蹂躙。
その刃は龍水には一つも届かず。
娘の傍で倒れる龍明。こんなタイミングで“十言神咒”なんて流すんじゃねえ泣くぞオラぁ。
——我が子を庇う——
その行為に、娘の龍水が誰より信じることができない。
そうあってほしくない、そんな人ではない、と母の行動が理解できない。
だが、母曰く、理屈じゃない。
水「龍水は、こんな母刀自殿など嫌いです!」
龍「それはよかった。実は私も、おまえのことがあまり好きではなかったから」
その言い方.........とても嫌いな人に対するものじゃなくて(つД`)
身体がヒビ割れながらも立ち上がる。
正真正銘、最後之修羅の姿がここに。
別れの時が近づいていることを察し、声を荒げる龍水。
それに返す母の言葉は————
龍「なんだ龍水、お前は私が負けるとでも思っているのか?」
「聞かせてくれよ。おまえの母はどんな女だ?」
「むざむざ首を差し出すような、家畜の如き敗残者か?なあ違うだろう」
“勝ちに行かせてくれよ”
その言葉———高みに輝く勝利を追い求めんとする姿に、龍水も涙を拭う。
強く気高い母であることを声高らかに。
その姿は敵手である紅葉の胸にも響く。
腐れ縁の清算の時。
そんな盛り上がっている船上とは裏腹に、海上の方では巨大イカに苦戦する覇吐たち。
未だ夜行や龍明ほどの位階に上がっていない面々のため、どうしても奴奈比売の力には及ばない。
その奴奈比売、前世からのSっ気が変わってなくて、相変わらずどこか小物くさい(笑)。
奴「時よ止まれ。君は誰よりも美しい」
「わたしは永遠になったのよ。彼の愛に包まれたのよ。誰にも侵されず犯されない、無間の神無月を守る一角に」
というわけで、モチベーションは過去最高潮。
焦がれていた“永遠の刹那”になれたことで、怖いものなし状態。
そして悦にいっていたかと思えば、紫織たちに波旬の影を重ねて急にお怒り。
ヒステリックでBBAっぷりにも拍車がかかっております。
この戦闘において、西側の人間が揮う“歪み”というものが、奴奈比売が発生源だったことが判明。
こうなると“歪み”=“ルサルカの魔術(ないしはその残滓)”という認識でいいのかしら?
お手本をみせるがごとく、奴奈比売がその業を披露していく。
“何処にも行かないで 置いていかないで”
“私はとても遅いから 駆け抜けるあなたに追いつけない
“ああだから待って 一人にしないで”
“あなたと並べる未来の形を 那由多の果てまで祈っているから”
“それが限りなく無であろうと 可能性だけは捨てたくないから”
まずは紫織の“陀羅尼摩利支天”。
“私は地べたを這いずりまわる”
“空を見て 空だけを見て”
“あの高みに届きたいと、恋焦がれて病んでいく”
“他のものは何も要らない”
“あれが欲しい あれが欲しい”
“ああ だけど悲しい 届かない”
“だから祈ろう”
“私という存在の総てを懸けて”
“あの星に届く手が欲しい”
次いで、宗次郎の斬撃をアレンジコピー。
綴られる詠唱がコンプレックス丸出しで、その辺りも実に性格が変わってない。
置いていかれることを何より恐れ、高みにある星になりたくてもなれない地星の哀しさ。
魔女の本音はマジで聴いてるこっちの胸を刺してきやがる。
力が上なのをいいことにマウントとりまくる泥姫。
唯一対抗できそうなあの男が吠える。
刑「若作りした、糞婆がッ」
「溜めに溜めた雑多な拷問具(がんぐ)を、これ見よがしに見せ付けて——」
「てめえ、いつからこの俺に、舐めた口きけるようになりやがったァッ!」
この2人もある意味腐れ縁か。
基となったマリィルートじゃ、一触即発状態だったのも懐かしい。
ベイ補正もあいまって、現状夜行の次に実力が高そうな刑士郎。
強気で一歩前に出るも、この場には黄金の継嗣である常世が存在。
言葉一つで刑士郎を無力化。
ここまで威勢だけしかいいところがないぞ......。
代わって前に出るのは覇吐。
格上である奴奈比売が放つ術を、ついに返杯できる域にまで到達!
さすがは天下無敵の主人公!———と喝采したいところだが、それは決して意地や覚悟だけで成せたわけではなく......。
その事実に気付いた奴奈比売から、余裕が消える。
奴「そうか———おまえがそうか!」
「許さない......ついに自らやって来たのね。二度もおまえなんかに負けたりしない。おまえを彼に会わせはしない」
「二度も成す術もなく、おまえなんかに、彼を壊されて堪るものかぁぁァァッ!」
ここまで玩弄感覚だった魔女が、ついに本気に。
戦局はどこもかしこもデッドヒート。
いったん感想区切らせていただきます。
しかしかつてここまでどっちも負けてほしくないと思うようなバトルがあったろうか......。
真に愛するなら.........→「神咒神威神楽 曙之光」霜月・東外流 感想・下 - ゆらりゆらりとゆらゆらと