“殺し合え。食らい合え。ここは修羅道。永遠に戦う世界”
日本一高い富士山で、みんな仲良くグラズヘイムキャンプ。略して“ぐらキャン△”の章。
もろに前作の設定引っ張ってきており、どこがニヤっとするレベルなのか、正田を小一時間問い詰めたくなる。
刹那がボインな女神を選んでしまったため、その想いは報われないのが悲しいところ......と、この頃は思ってました。
現在の悩みの種は、当然東征軍。
不和之関で殲滅できなかったどころか、ぐんぐんと足を伸ばしてきていることに頭を抱える。
姐さんの裏切りが一体何に起因しているのか......思考を巡らせるも、答えにはたどり着かず。
そんな中、東征の一行が黄金の墓標に近づいている、その事実を前に息子の方の意識が浮上。
“穢らわしいぞ、走狗にすら感じてもらえぬ波旬の塵よ。貴様らのような不能者が我が父の威光(ぼひょう)に近づくな”
マリィルートでは無碍にされたにも関わらず、亡き父のためにと決起するその気持ちが泣ける(´;ω;`)。
ハイ、そんなわけで竜胆率いる東征軍本隊は、不二に到着。
総勢7万人の大行軍。
不和之関での敗戦がだいぶ堪えている覇吐。
そんな彼を出迎えるようにみえてくる大っっきな山。
綺麗な富士山っすなあ。
自分語りになってしまって大変恐縮ですが、ブログ主も5、6年前に富士山登頂したのですが、そりゃもう壮観でした。
龍明曰く、霊場たる不二は修行場としてもうってつけであり、なおかつ旅に欠かせない重要なアイテムも眠っているとのこと。
さらに、覇道の魂が惹かれ合っているのか、竜胆はそのアイテムの場所が分かると告げる。
そんなわけで、久我竜胆探検隊が結成。
随行するパーティは当然、覇吐・宗次郎・紫織の3人。
リスクをなるべく抑えるべく、竜胆本人は本陣で待機し分身体が探検に赴く。なんでもできちゃう龍明さんすごすぎ。
出発早々、覇吐にセクハラまがいのことをされて、ふてくされる竜胆。
可愛さがとどまることをしらねえ(歓喜)!!
紫織は今章から見た目変わってないけど義手。
調子は良好そうだが、そこには並々ならぬ苦労があったそうなと宗次郎。
......なんだこのデキてる雰囲気。なんでちょっと進展してんだよ。やっぱイケメンはクソだな(嫉妬)
覇吐も付き合ってるのか訊ねてみるが
宗「誤解です。僕にそういう相手は要りません」
紫「私はあんたのそういうところ、好きだけど」
「他は目に入っていなくて、今も追い求めるのは一人のみ。そういう部分を持っているから、私は素直にいいと思う」
もうやだこのバカップル。
樹海を突き進む探検隊。
竜胆の感覚は鋭く、迷うことなくぐんぐんと。
覇吐はそんな竜胆を気にかける。
覇「任せな。おまえのことを必ず死んでも守るからよ」
竜「それではダメだな」
「死ぬな。死なずに私を守り切れ。おまえの身体は、もはやおまえ一人のものではないのだ」
「勝手に死んだら、それこそ一生恨んでやるからな」
......こっちも結局イチャイチャしてやがったちくしょう!!
進んだ先で一行が見つけたのは、一つの風穴。黄金の覇道を強く感じ、内部へ潜航。
進むごとに道が整地されていき、雰囲気は異様なものに。それはまるで“死んでも、死なない”と思わせるような......。
天狗道に馴染んでいる覇吐・宗次郎・紫織は、この空気に恐怖。
断崖より先があることを示す“修羅道・至高天”の法則。宗次郎をして、逃げ帰りたいと思わせるほど。
すでに逝去して残滓しか残っていないというに......すげえぜ獣殿。
進んでいく内に内部構造が“城”であることを突き止める竜胆ら。
そして広間まで出たところで、いよいよイザークが能力を発動。
覇吐&竜胆の前に殺し愛カップルの幻影が出現。
そのまま戦闘に突入。
宗次郎らの方にも、同様に覇吐&竜胆の幻影が出現。
戸惑っていた竜胆たちとは違い、この2人は「御前試合の続きができる(^O^)」と喜々として戦闘。
さすが作者公認のグラズヘイム適正持ちの2人である。
殺しても死なない、修羅の法に則っている幻影。
状況を打開するべく、竜胆は感覚を研ぎ澄ます。
そして導かれるように、竜胆の意識は城の真実に辿りつく。
竜「黄金の獣。至高天。修羅の理。墓場の王」
「——私は総てを愛している」
“形、成せ——”
“聖約・運命の神槍”
Longinus Testament
ついに掴んだ覇道の本質!他者を染め上げるとはどういうことか——教師として“黄金の獣”ほどうってつけの覇者はいない。
城と同調したことにより、幻影は消失。探検隊は無事合流を果たす。
この事態に驚愕を隠せない不二の主が、ついに語り掛けてくる!
常「ありえない」
「なぜ——そこに覇道の資質があるの?」
城のいたるところから骸の兵隊がニョキニョキと。
かつての爪牙の成れの果てか。忠勤大義である(`・ω・´)ゞ。
それらを払いのけながら先へ進んだ探検隊一行が着いた場所は——。
おなじみのあの場所。富士山内部どうなってんねんって感じだが、ブログ主の庶民的感想など吹き飛ばすかのように、あの男が颯爽参戦。
“Briah——”
“随神相——神咒神威・無間黒肚処”
Miðgarðr Völsunga Saga
黒騎士様のお出ましじゃい!
旧世界でも圧倒的な強さを誇っており、能力だけみれば黄金の獣すらぶっ殺せたチート野郎。
覇吐らが「洒落にならん」とこぼすのも無理ない話。
さらっと始まるvs大獄。
振るう剛腕で桁外れの破壊力をみせつける......んだけど描写が相変わらず地味だ!!
蓮が絡んでこねえとこいつロクに喋んねえしな......。
幕引きの拳をぶん回し、“死”のプレッシャーを嫌でも与えてくる大獄氏。
それに対し、「死んでたまるか」と意気を上げる覇吐。よくよく考えれば、見事に渇望が真逆な2人だ。
そのあまりの完成された求道っぷりを見て、羨望のまなざしを向ける宗次郎。
対して大獄は彼らに眼中なし。興味は、覇道の兆しを見せ始めた竜胆に。
ターゲットを竜胆に変更。
“戦場ならば女子供の区別はない”という矜持は変わってないな。
竜胆をかばうように間に入る覇吐。
結果、拳が身体を貫通!こうなってくると“終焉変生”関係ねえな。
竜「なぜだ......どうして、私を助けたッ」
覇「そりゃ、まあ......」
「言ったろう。俺は、おまえのために死ぬって」
「ああ......そうか。こいつが人のためにっていうやつなら」
「案外、悪く、ないな——」
死にゆく覇吐。しかしその脳裏に、三つ目の化物を幻視して——。
畸形の曼陀羅がここに覚醒。
竜胆伝いに各人へ伝播。
これまで効果を成さなかった宗次郎と紫織の攻撃が、大獄に通るように。
死にかけていた覇吐も、新たな術技をひっさげて復活!
どういう組み立てでそんな形になんねん......。
ともかく、ソハヤ丸第四の型“大筒”をぶっぱ。
派手に土煙が飛び交うが、当然こんなことで終わる黒騎士様ではない。
覇「......やっぱ今のじゃ死ぬはずねえよな」
紫「無口っていうより、むっつりだよね。性格悪いとか、根暗だって仲間に言われてないのかな?こいつ」
どうあがいても絶望な状況。
しかし不和之関同様、またしてもあの御仁の登場で、危機を脱することに。
龍「よくやったよ、おまえたちは」
「極限まで薄れているとはいえ、これを相手によく持ちこたえた」
大「ザミエル」
龍「久しいなマキナ。おまえは本当に変わらんよ」
一方、闘技場を抜け玉座に到着した竜胆。
ついに槍を発見。
ものすっごい圧を垂れ流しているが、そんな黄金の残滓に呑まれることはなく、
竜「私は屈しない。死者の踊りに恭順するわけにはいかないのだ」
断崖より先にあるものは、鉄風雷火ではなく安寧が良いと竜胆。理想の将にふさわしい答えだ。
槍に手を伸ばしたところで「そうはいくか」といよいよ常世が姿を見せる。
その槍を手にしても修羅曼陀羅は復活しねえぞ波旬からは逃げられねえぞ、とさっそく畳みかけ。
竜胆は当然そこまでの考えてないので「なんのこっちゃ(。´・ω・)?」な顔。
が、意思疎通は出来そうだと、東征の理由......護国のためにここまで来たのだと明かす。ちょうど同じ時期に、龍水も紅葉に同じことを言ってることになるのかな。
ただまぁそんな理屈は当然常世には通じない。常世がみているのは、神州どころか宇宙全体なのだから。
常「ねえ、それほどまでに、あの黄昏は罪深かった?」
「人を愛し、慈しみ、信じることが尊いと......誰もが思っていた世界。今も変わらず、これからも変わらず、胸を張って誇れる女神の祈り」
「抱きしめたいと願ってくれたことを、忘れたりはしない」
常世がマリィをどう思っていたのか素直に明かす、何気に貴重なシーン。先輩は毒舌家+電波な人だから分かりづらいけど、マリィを好きでいてくれたことを吐露してくれてちょっとうれしい。
常世が語った“黄昏”の世界。
それは竜胆にとって理想の世。
他者との絆こそを至上とするその在り方に、誰よりも羨む気持ちを抑えられない。
そしてだからこそ、それを喪失してしまった常世の気持ちを理解してしまう。
常世は竜胆を含めた西側連中を激しく痛罵。
どいつもこいつも口にするのは唯我を基にした「俺様スゲー」の屑ばかり。竜胆とて、変わり種ではあろうが例外ではないと非難。
穢土の総大将名代として、侵攻を許すわけには断じていかない。
道を譲れないのは竜胆も同じ。
守るべき民草がいる。かつて湖だった場所は今は海となってしまったから——。
互いに戦いの意思を表明した両者。
ただの人である竜胆に対し、相手は神の法に包まれた天魔。
タイマンは一瞬でケリが着くもの。竜胆の死は必然。
しかし——槍を通じて、あの方の想いが、竜胆に流れ込む。
竜「言葉......これは、何の......?」
“壊せ——私は総てを愛している”
竜「テレジア......?」
真名を呼ばれたため、常世さん発狂。
旧世界より残っていたグラズヘイムの残骸も、ついに完全に崩壊していく。
このタイミングで流れる「修羅残影・黄金至高天」。悲しすぎる......。
大獄も撤退。「蟲毒なんてもうないんだから、次の戦場で待っとけ」という龍明の一言に感じ入るものがあったか。
そして、崩れていく城を眺める姐さん。その胸中は......(´;ω;`)。
常「どうして、なぜっ?そんな——ああ、うそ、うそ、うそ!」
「あなたは、まだ......」
「愛しているなら、壊せと言うのッ——!」
金切り声を上げながら、薄れていく常世。
残された槍は、竜胆の中へ。
旧世界では黄金しか触れえなかった“運命の神槍”。竜胆は獣殿ほど覇道の資質はないが(黄金が10なら、竜胆は6or7くらいby『繪草子』)、そもそも第六天下で覇道の魂を有しているのが竜胆だけなため、槍はすんなり竜胆を受け入れる。
分身体より本体へ戻った竜胆。
砦をでると、富士山にどえらいものが......。
常世の随神相。
えげつないビジュアルだが、常世の毒舌っぷりを考えると妥当か。
真名を呼ばれ、苦しみのたうち回る哀れな姿。
あらゆるものを失いながらも、穢土を存続させることに総てを捧げる彼女に、王として、父として、曾祖父として——黄金卿から遺命が。
“ああ、この大馬鹿者が。いつまで死を想い続けている、いつまでおまえは日陰者でい続けている”
“そんな姿になってまで、おまえは今も血涙流す無間の愛に甘えているのか——”
“愛しい子よ、壊してやろう。刹那もそれを望んでいる”
そして竜胆もまた、常世を想う。
“もういいのだ、もう泣くな。御身が語った黄昏が、今の姿を見ればどう思うか。分からぬはずもないであろうに”
常世が撤退し、不二は元通り。
龍明の言った通り、覇吐らはパワーアップし竜胆も得るものを得た。
東征軍としては万々歳だが、先輩を想うとやはりスッキリしない......。いい加減にしろよ正田。
水無月・箱根→「神咒神威神楽 曙之光」水無月・箱根 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと