“自分が何をするべきかは、決まっている”
ついに始まる御前試合。
ブログ主はここの戦闘が作中でも1・2を争うくらい好きなんです。
龍明の祝詞と共に幕が上がる第二章。
集められた竜胆紋の各諸侯。
う~んなんだか癖の強い造形のキャラたちだn......ん?
んんん??!!!!
シ、シ、シュピーネさぁーーーーーん?!?!?!
なんで?そんな馬鹿な!!四柱vs波旬戦で消滅したんじゃあ?
『最後之修羅』でもまったく言及されてなかったのに!
誰も、何も、言ってなかったのに!!!
......いや、むしろ転生して当然か。
我らがシュピーネさんがあんなヒッキーごときに遅れをとるなんてありえないものな。これぞ顔の差よ!
......マジレスすると正田氏が意図して配置したわけではなく、Gユウスケ氏が勝手に描いたのがきっかけ。
正直グッジョブと言わざるをえない。
そんなシュピーネさん改め、六条紅虫さんより手前に座っている雰囲気イケメン。名前は中院冷泉。
その雰囲気通りにキザったらしい口調で、隣に座る竜胆へ猛アタック。
この段階じゃあただのキザなモヤシ野郎としか思えないが......そんな印象もこの後すぐに吹き飛ぶことに。
龍明の祝詞が終わり、出場者たちが前に。
千種・岩倉・六条さんのモブ三人衆はそれぞれが出す代表者たちを褒め称える一方、刑士郎の剣呑さにビビリ、宗次郎のナヨっぷりを嘲り、女の紫織には関心すらない。見る目の無さだけは一人前だ。
代表者が並ぶ中、久雅家の出場者が不在。
「勝負を捨てたか」と問う冷泉に「黙ってみとけ」と返す竜胆。
竜「益荒男など一人もおらぬわ」
その一言が重い。
満を持しての御前試合。
定められているルールは『1対1』のみ。
勝ち抜き戦になるのか、1試合だけで終わるのか、すべての采配は天皇陛下と竜胆紋たちに決められるという非常にアバウトなもの。
いざ注目の第1試合。
龍明により告げられる対戦選手は、皇の代表・玖錠紫織vs中院家の代表・壬生宗......
“石上神道流、丙の第三——首飛ばしの颶風”
そ、宗次郎さん......?
あの~、その顔...主人公勢がしていい顔じゃあ......。
宗次郎さんの一閃により、実力のなかったモブ三人衆の代表者たちは日の目を浴びることなくアボン。
当初あった唯一のルールすらぶち壊す宗次郎の暴挙。
三人衆が非難の声をあげようとするが、
冷「はッ———、見事」
「天晴れよ、武士とはそうでなくてはならん!」
「開始の合図?対戦相手?知らぬ知らぬ聞こえぬ見えん!此処を何処だと心得ておる」
「戦場であろう。死に場所であろう。命を賭して武心を燃やす、晴れの舞台であろうがよ!」
喝采して事態を受け入れる冷泉。
「知らぬ知らぬ~」のテンションの高さよ。
その本性がただのキザ野郎ではないことがユーザー諸兄に響き渡った瞬間である。
むしろ猛々しく喝破するその姿に、いつの間にか「こいつ...かっけえ」と虜になってる自分がいる。ブログ主の手のひらクルクルっぷりがやばい。
そしてBGMも「尸解狂宴必堕欲界」に変化。
Diesの「Einherjar Rubedo」のようなメタル曲。
タイトル通り狂奔してるほど曲が走ってやがる(ビクンビクン)。
宗次郎の一閃を躱したのは、刑士郎、紫織、そして龍水。
龍水に関しては自前の予知能力でギリのギリでなんとか危機一髪。しかし宗次郎の凶気は完全に龍水をロックオン。
宗「一生は短い。時間は有限なのだから、戦うに値する相手は選ばないといけません」
「でないと僕は、生きてる内に夢を叶えることができなくなる」
「僕が天下最強の剣士である。それを証明するためには、まずこの場の全員を殺さないといけませんよね」
全 員 ぶっ 殺 宣 言
雇い主が雇い主なら、雇われる側もやべえ奴なのは自明の理。
宗次郎のビッグドリームが明かされたわけだが、“最強の剣豪”って一周回って新鮮だな。ゾロ以来だぞそれ聞いたの。
このまま宗次郎onステージになるかと思いきや、横合いから紫織姉さんの殴打、次いで刑士郎が龍明の結界を破壊。
紫「そっちがその気なら、別にいいんだよ。ぐちゃぐちゃに始めちゃってもさあ」
刑「舐め腐りやがってクソガキが。上等だよ、ブチ殺してやらあァッ!」
わぁ......なんかすごいヴィルヘルム(*´ω`)。
混沌とし始めた御前試合。
しかし龍明姐御はこの事態をウェルカム。
やはり戦場こそ軍人の華か。
龍明視点だとみんな“いっぱしの戦士面”してるのかな。
それゆえか、脳筋どもに一歩遅れている龍水にも叱咤を送る。
その激励に応えようとする龍水が健気で少し格好いい。
そんなチンチクリンの許嫁である変態夜行は、戦場を上から(ってか上ってドコだよ......)眺める。
龍水を見捨てるかのように不介入を決めこんでおり、その辺を爾子と丁禮にツッコまれる。
この二童子、基がシュライバーのくせにえらいマトモである。
特に丁禮に至っては、龍水に助太刀したいと嘆願するほど。♂♀に分かれることが最適解だったなんて...。
しかしこの発言よくよく吟味すれば、丁禮(爾子)は試合中の三馬鹿たちと戦り合える実力があるということか。
そういうところはさすが元白騎士。
しかし丁禮の陳情を主・夜行は
許嫁のピンチにも優雅に酒をすするダメ男っぷり!
そこに痺れる憧れるぅぅ!
さあさあそんなこんなで試合の方は剣バカ・拳バカに妹バカの3人がギアを上げていく。
各々の等級は
宗次郎:陽6・陰4
紫織 :陽7・陰3
刑士郎:陽5・陰6
※陽...武術やら技術やらの数値。10だと無双できるレベル。
陰...歪みの数値。10だと災害レベル。
数値だけみると、似たり寄ったりの実力。
そんな中でも陰が低いがゆえに、唯一まともに歪みをコントロールできてる紫織が優勢か。
そんな紫織さんから、能力を発揮。
“今さらに雪降らめやも陽炎の燃ゆる春へと成りにけしものを——”
“唵・摩利支曳薩婆訶——”
紫織の渇望を反映して発現された歪み“陀羅尼摩利支天”。
その効果は“可能性の拡大”。
並行世界から可能性を引っ張り出し実現させる能力。ゆえに実現可能な攻撃パターンを一度に叩き込めたり、被弾する攻撃も躱せる可能性があれば回避した自分を呼び出せるTHEチート。
そもそも術者である紫織が“陽の7”と、男連中を凌駕する武芸を持っているため、実現できる可能性範囲もかなり広い。
書いてて思ったがだいぶ壊れ性能だな......序盤の仲間が持ってていい能力じゃないと思います......。
展開される紫織の能力に、負けじと宗次郎も自己の世界に埋没。
“如医善方便、為治狂子故、顛狂荒乱、作大正念”
“心堕醍悟、是人意清浄、明利無穢濁、欲令衆正、使得清浄”
“諸余怨敵皆悉摧滅——”
元ネタは法華経。
字面はどれもこれも物々しいが、意味合い的には心の落ち着きや誠心を謳っている。
宗ちゃんの悪人顔がすべて台無しにしているが。
そんな正田お得意の詠唱にブログ主がビクンビクンしていると、
刑「アホか」
「いちいちぶつぶつと面倒くせえ。寒い演出で格好つけなきゃ殺し合いも出来ねえか」
こ、こいつ......正田作品最大の売りの一つを否定してきやがった...!
てかテメーも前世の薔薇夜の詠唱クソ長かったじゃねえか!
が、偉そうなこというだけあって刑士郎の身体能力は別格。紫織の攻撃がなんとノーダメ。
さらに内蔵、血管などの配置を自由に変えられるキモい特殊な身体構造。
陰の等級が5を超えた段階で人間やめてるらしい。
一方、宗ちゃんは宗ちゃんで人間やめてる。
というのも、殺気の圧がやばすぎて“次の一手を敵に読ませない”という技術を披露。
試合の様相は、禍憑きを使わせたくない宗次郎&紫織vs禍憑きをチラつかせチャンスを狙う刑士郎の図。
紫織は“手甲鉤”なんて物騒なもの持ち出してくるわ、宗次郎は煽られてプルプルし出すわでもうおっかない。
すっかりビックリ人間博覧会と化した御前試合。
ぶつかり合っている3バカも、巻き込まれる恐れがある冷泉も、誰もかれもが自分が死ぬわけないと酔っている。
“死者の踊り”
そう形容されておかしくない光景を前に、ついに竜胆は己が進む道を見出す。
試合内容にも大きな変化が。
なんと刑士郎が紫織をkill!
あのベイが普通に勝利を手にする日がついに来るとは......。もう“奪われる”という呪いは存在しな
紫「あはは、あはははは」
「よくも私を一人殺ってくれたね!」
「流石に殺されたのは初めてだよ!」
ここで“陀羅尼摩利支天”最大のチート能力発動。
“どのような攻撃でも、紫織が死なない可能性(並行世界)があれば不死身”
言ってることがやばすぎる。
“並行世界の並列起動”という、ラスボスが所有していておかしくない能力だ...。
とはいえ、ノーダメージというわけでもなく、メンタル面含めかなりの損耗を強いられる模様。
なので実質こんな感じ↓
文字通り紫織の捨て身のカウンターを喰らい、さらに刑士郎の劣勢は続く。
“東海、阿明——西海、祝良——南海、巨乗——北海、禺強——四海、百鬼を退けて凶災を蕩う!急々如律令!”
“禁!水位之精——悪霊退散!”
陰陽師でおなじみの急々如律令。いろんな作品で用いられているため、聴き馴染みがある人も多いのでは?
龍水のこれも強力。暴れ回る刑士郎の動きを、メンタル面含め拘束する!
術が成功した後に思わずこぼした「やった!」というはしゃぎ声が可愛い(о´∀`о)。
そこを見逃す宗次郎じゃないが......。
ということで、その後の攻防は一瞬。
宗次郎の決殺を狙った斬撃に、やべえと思った紫織が龍水に腹パン→術が解けた刑士郎が斬撃をもらいながらも宗次郎へ腹キック→結果、全員四方へ吹っ飛ぶ\(^o^)/。
それぞれ負傷が重なっていくが、そんな中でも紫織の腹パンを喰らって生き残っている龍水に皆が注目。
ここで龍水が持つ歪みが“未来視”であることが三バカに露見。
龍水の等級が“陽4・陰1”と陰気そのものは低いため、見える未来もたかが知れてるのだがまぁこれも十分チートだわな。
そんなわけで、三バカはこのまま看過しておけぬと狙いを龍水に絞る(それなんてイジメ?)。
蛇に睨まれたなんちゃらとなってもおかしくない状況なのだが、さすが龍明に見込まれた少女。彼女もまた、井の中の蛙ではなかった。
水「ふざ、けるな......」
「誰がチンチクリンだ。もう一度、言ってみろ......!」
「貴様らの背が、ちょっと私より高いだけであろうが!」
“屈辱だ。自分自身に腹が立つ”
“大した能もない自分にたった一つ許された力すらまともに使えず、一度術を成功させたくらいで緊張を解いた間抜けさ加減に目眩すら覚える”
腰が抜けるどころか怒りとともに立ち上がる。
すげえ......。正田作品に出てくる女性陣はことごとく強え奴ばかりでまったくもって素晴らしい。
凄惨な地獄が幕を開けようとしたところで、御所に響き渡る強く清廉な声が——。
続き→「神咒神威神楽 曙之光」睦月・秀真 感想・下 - ゆらりゆらりとゆらゆらと