“天(かみ)を知らぬ。地(みち)を知らぬ。死後の浄土も奈落も何も、概念自体存在せぬからこの生にのみ総てを欲する”
“普遍的信仰というものが何処にもない無道の世。後に天狗道と定義される、魔界の理がそれであった”
いよいよ本編。
主要人物達の顔見せ回。
どいつもこいつも一癖どころじゃない奴ばっかりで逆に楽しい。
開幕早々、戦り合う2人の益荒男。
ってか初っ端「Rozen Vamp」のアレンジかよ!
出し惜しみしねえなぁおい!(歓喜)
ベイも変わらずヒャッハーしてるようで何より。
“大気が断末魔の絶叫をあげている”“声はもはや、餓獣の唸りにしか聞こえない”と地の文も安定の正田節全開。
否が応でもテンションが爆発しちまうってばよ(恍惚)。
両雄とも、掲げるは“至高の己”。
振るう武器も、戦う舞台も、まみえる強者も、全てが自分達を彩る装飾品。
そんなわけで激突する脳筋2人は、命を賭して神楽を演出。
“この者らは、命を懸けて遊んでいるのだ”
歪な価値観に業を煮やす一人の麗人。
訪れる決着に絶叫をあげて——。
という夢だったのさ!
ハイということで夢オチから目覚めたのは、我らが総大将・久雅竜胆様。
誰もが自己愛に溺れてる世界で、唯一反感を覚える者。
中の人の凛とした声がキャラとマッチしすぎていて、ヒロインというよりも完全に主人公ドラマCDの番長キャラは忘れろ。
武家の棟梁という立場にあるためいろいろ面倒ごとが多く、気苦労が絶えない。
そんな彼女の下を訪れたのはエレ......ゲフンゲフン、御門家の当主・御門龍明。
ブログ主としては、龍明の竜胆への接し方がとても落ち着いていて礼を重んじ、優しさを滲ませていることに大変驚いたものである。
極めつけにこの顔よ......。
昔の姐さんは黄金・黄昏以外には容赦なく上から目線で会話して「こりゃリザとベアトリス以外に友達できねえな笑」なんて思っていたものだが......この姐さんなら人は選ぶがいっぱい友達できそうだ!
むろんこれが姐さんの魅力を削っているということは断じてない。
厳かさや気位は変わらず高いままであり、むしろ『Dies』時代よりファンは増えそう(というか実際増えてる)!
さすが正田......嫁への力の入れようには隙が一切ねえ。
肝心の訪問内容は「調子乗ってる東の奴らボコりに行くから、まず西のケンカ自慢ども集めようぜ!」というもの。あれ?ドラマCDノリになってしまった...。
——御前試合——
現在の葦原中津国は東からもたらされた謎の陰気“歪み”によりあっちこっちでビックリ人間たちが生まれている。
オマケにアメリカからはペリー一行らが「ファッキン開国、OK?」と責めよせてきており、内も外も大変。
ゆえにちゃちゃっと東を平定して諸外国にアピールすることが、国家の最優先事項。
しかし肝心の御前試合が、こともあろうか真剣で執り行われることに否定的な見解の竜胆(そりゃそうだ)。
そしてそれを発案したのは、まさかの龍明姐御。
龍「要は戦。殺し合いだ。その本質も理解せぬまま、お遊戯で勘違いされても困るだろう」
「導火線には緊迫感が、そして火薬には激情が必要なのだ。殺意なくして、なんの勝負」
この辺の感覚はさすが元軍人。
とにもかくにも龍明としては、竜胆を正当な東征の総大将として祀り上げたいという思い。
それを示すための御前試合。家々の代理戦争であり、いわば政争。
その理屈は理解するも、竜胆が懸念しているのはもっと大事なこと。
竜「私は信じたいのだ」
「私の采配で、私の意志で、死ぬやもしれぬ益荒男たちを信じたい」
HPのキャラ紹介の段階ですでに高かった竜胆への好感度が、このセリフで無事天元突破。
“他者を想う”という竜胆の心に偽りがないのだと、全ユーザーが感じた瞬間である。
竜「繋がりとか、絆とか、私にはそういうものが大事なのだよ。何と言うのか心の奥底、胸の根幹にある部分で触れ合いたいと強く望む」
「たった一人でも抱いてやりたいと思うのだ」
すごい。
自愛の理が広がる世界で、こんな言葉がでてくることがどれだけ奇跡か。
龍明の旅路は無駄ではなかった(T_T)。
そんな龍明、竜胆が抱える名状しがたい感情をズバリ言葉に。
龍「御身は死した後にも先があると思っている」
「胸の魂は不滅であり、それが良きところへ行けるようにと願っている」
天狗道において、竜胆のこの考え方がどれだけ異端か。
......だがそこは設定に抜かりのない正田。
奇跡などではない、容赦ない理由を用意してやがった......。
場面は変わり、ついに真打登場・坂上覇吐。
頭の中ヌキヌキポンでいっぱいの愛すべきバカ。
その真骨頂は発売前カウントダウンボイスにて発揮され、多くの爪牙たちを性欲界紳士道へ導いた。
そんな覇吐氏、龍明直々のご指名で御前試合に招かれる。(理由は坂上家は代々歪みの濃い家系にも関わらず、覇吐は陰気査定に引っかからなかったのが気ががかりだったためby『神咒神威神楽 繪草子』 )。
御門屋敷の圧にたじろいでいると、問題児との初邂逅。
宗「あなたも、お上りさんなんですね」
「見たとこ地方豪族の末か何か、めちゃくちゃ零落しちゃったけれど、ド田舎じゃあよいしょされてきたってとこですか」
「端的に、いわゆる御山の大将ってやつじゃないかと」
出会って早々この口撃。
さすが剣鬼、切れ味の良さがハンパじゃねえ......。
優男な風体に似合った声。しかしそれだけじゃすまなそうな雰囲気もしっかり。
どうしてlightは役者さんのキャスティングがこんなに上手いのだろうか。
お互い自己紹介。
宗次郎の剣呑さが早くも......。
宗「壬生宗次郎——これもきっと何かの縁だ。よければお名前を聞かせてください。井戸に棲んでいたという龍の人」
セリフから、覇吐の実力もしっかり把握している。逆説的に宗次郎も相当の実力者であるということが察せられる。おいおいワクワクさせてくれるじゃねえか(^◇^)。
次いで出会うはチンチクリン龍明の義娘・御門龍水。
ロリ枠の一人でツンケンした態度をしており「いかにもテンプレみたいな奴だなぁ」というのが初見プレイ時の印象。
まさかこいつがこの作品の中で(というか正田作品全体でも)群を抜いてヤバい奴だとは...このとき誰が予想できようか。
チンクチクリンっぷりがそうさせるのか、出会って数秒で覇吐&宗次郎に舐められる(無論物理的な意味じゃない)。
しかしそこは龍明が目をかけた娘、隠していた覇吐の歪みをパッと見で看破。それなりの実力はある模様。
そんなこんなで門の前で3人仲良くわちゃわちゃしてると、街道から真っ白兄妹がお目見え。
“あまりに陰が強く濃すぎて、牛車の形すら歪んで見える”
“供をしている男のほうも相当だが、何よりも尋常じゃないのは牛車の主だ”
周囲に不幸を押し付ける歪み、禍憑き・凶月一族。
前世じゃただのチンピラヤンキーと毒姉だったくせに......立派な肩書与えられて出世しやがったなおい。
門をくぐる兄妹を前にガチガチに緊張する龍水と、一方で斬りたい欲で笑みがこぼれる宗次郎に「目立ってんじゃねえよ」と鼻を鳴らす覇吐。この辺の描写でも各キャラの実力の程が窺えて楽しい。
そんな様々な感情を向けられ、イラ立ちながらも妹を一番に気遣う刑士郎お兄ちゃん。その兄を弟のように、息子のように窘める咲耶。色々と業が深い設定に生まれ変わったもんだなオイ。
そしてそして、そんなちょっとおかしな兄妹に興味を示すのは、皇の守護・玖錠紫織。おっぱいすげえな...。
“皇室の危機にしか姿を見せないため、実在するかどうか分からない”と噂されていた、半ば伝説上の存在たる玖錠一族。
凶月といい玖錠といい設定が厨二心にぶっ刺さりやがる。
やっぱ14歳神はダテじゃねえ。
紫織とのやりとりから、刑士郎たちが呼ばれたのは“仮想化外”としてであることが判明。
集められたヤバい奴らはこれで凶月兄妹・紫織・覇吐・宗次郎の5名。
刑士郎と紫織がそう睨んでいると、しかし咲耶がもう一人とんでもないのが潜んでいるのでは?と察知。
咲「なんと申しますか、先ほどから、どこかに穴が空いているように思うのです」
ということで“穴”の登場、摩多羅夜行。
奇人変人が集まってらぁと優雅に酒を楽しむ。
......
お ま え が い う な
キャラのモチーフは「メルクリウスの若い頃」。
なるほど...尊大な態度に慇懃な口調、それに芝居がかったセリフは確かに水銀臭さがある。
しっかし、それよりもなぁ......
夜「まず何よりも恐るるべきは、化外どもの怨念よ。かつてこの地を征しながら、無常にも奪われ、追われた敗残の蜘蛛」
「無念なり。あな口惜しや。鏝で臓腑を焼かれるようじゃと、東の果てで哭いておるわ」
「うふふ、はははははは、わははははははははーーー!」
なにこのラスボス?
主人公サイドが出していい雰囲気じゃねえ.......。
「あぁこいつ終盤寝返りそうだな...」と初見プレイ時に思った俺は悪くないはず(悪くないよな?)。
役者は出そろった。
御前試合を控え、覇吐は龍明からある取引を持ち掛けられる。
そして竜胆は御前試合へ出場させる益荒男を決断する――。
ということで第一章は終了。
ほんとに神がかった導入で「購入してよかった」と心から思わせてくれるぜ。
そして次の二章から、ついに正田卿の真骨頂たるバトル回に。
睦月・秀真→「神咒神威神楽 曙之光」睦月・秀真 感想・上 - ゆらりゆらりとゆらゆらと