ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

「神咒神威神楽 曙之光」極月・秀真 感想

f:id:yurayura3:20200903084947j:plain

“天(かみ)を知らぬ。地(みち)を知らぬ。死後の浄土も奈落も何も、概念自体存在せぬからこの生にのみ総てを欲する”

“普遍的信仰というものが何処にもない無道の世。後に天狗道と定義される、魔界の理がそれであった”

 

いよいよ本編。

主要人物達の顔見せ回。

どいつもこいつも一癖どころじゃない奴ばっかりで逆に楽しい。

 

 

開幕早々、戦り合う2人の益荒男。

f:id:yurayura3:20200721160433p:plain

ってか初っ端「Rozen Vamp」のアレンジかよ!

出し惜しみしねえなぁおい!(歓喜)

ベイも変わらずヒャッハーしてるようで何より。

“大気が断末魔の絶叫をあげている”“声はもはや、餓獣の唸りにしか聞こえない”と地の文も安定の正田節全開。

否が応でもテンションが爆発しちまうってばよ(恍惚)。

 

両雄とも、掲げるは“至高の己”。

振るう武器も、戦う舞台も、まみえる強者も、全てが自分達を彩る装飾品。

そんなわけで激突する脳筋2人は、命を賭して神楽を演出。

“この者らは、命を懸けて遊んでいるのだ”

歪な価値観に業を煮やす一人の麗人。

訪れる決着に絶叫をあげて——。

 

f:id:yurayura3:20200721172917j:plain 

という夢だったのさ!

 

ハイということで夢オチから目覚めたのは、我らが総大将・久雅竜胆様

f:id:yurayura3:20200721173512j:plain

誰もが自己愛に溺れてる世界で、唯一反感を覚える者。

中の人の凛とした声がキャラとマッチしすぎていて、ヒロインというよりも完全に主人公ドラマCDの番長キャラは忘れろ

 

武家の棟梁という立場にあるためいろいろ面倒ごとが多く、気苦労が絶えない。

そんな彼女の下を訪れたのはエレ......ゲフンゲフン、御門家の当主・御門龍明

ブログ主としては、龍明の竜胆への接し方がとても落ち着いていて礼を重んじ、優しさを滲ませていることに大変驚いたものである。

 f:id:yurayura3:20200721172943j:plain

極めつけにこの顔よ......。

昔の姐さんは黄金・黄昏以外には容赦なく上から目線で会話して「こりゃリザとベアトリス以外に友達できねえな笑」なんて思っていたものだが......この姐さんなら人は選ぶがいっぱい友達できそうだ!

むろんこれが姐さんの魅力を削っているということは断じてない。

厳かさや気位は変わらず高いままであり、むしろ『Dies』時代よりファンは増えそう(というか実際増えてる)!

さすが正田......嫁への力の入れようには隙が一切ねえ。

 

肝心の訪問内容は「調子乗ってる東の奴らボコりに行くから、まず西のケンカ自慢ども集めようぜ!」というもの。あれ?ドラマCDノリになってしまった...。

 

——御前試合——

現在の葦原中津国は東からもたらされた謎の陰気“歪み”によりあっちこっちでビックリ人間たちが生まれている。

オマケにアメリカからはペリー一行らが「ファッキン開国、OK?」と責めよせてきており、内も外も大変。

ゆえにちゃちゃっと東を平定して諸外国にアピールすることが、国家の最優先事項。

しかし肝心の御前試合が、こともあろうか真剣で執り行われることに否定的な見解の竜胆(そりゃそうだ)。

そしてそれを発案したのは、まさかの龍明姐御。

龍「要は戦。殺し合いだ。その本質も理解せぬまま、お遊戯で勘違いされても困るだろう」

 「導火線には緊迫感が、そして火薬には激情が必要なのだ。殺意なくして、なんの勝負」

この辺の感覚はさすが元軍人。

 

とにもかくにも龍明としては、竜胆を正当な東征の総大将として祀り上げたいという思い。

それを示すための御前試合。家々の代理戦争であり、いわば政争。

その理屈は理解するも、竜胆が懸念しているのはもっと大事なこと。

 

竜「私は信じたいのだ」

 「私の采配で、私の意志で、死ぬやもしれぬ益荒男たちを信じたい」

 

 f:id:yurayura3:20200721173037j:plain

HPのキャラ紹介の段階ですでに高かった竜胆への好感度が、このセリフで無事天元突破。

“他者を想う”という竜胆の心に偽りがないのだと、全ユーザーが感じた瞬間である。

 

竜「繋がりとか、絆とか、私にはそういうものが大事なのだよ。何と言うのか心の奥底、胸の根幹にある部分で触れ合いたいと強く望む」

 「たった一人でも抱いてやりたいと思うのだ」

 

すごい。

自愛の理が広がる世界で、こんな言葉がでてくることがどれだけ奇跡か。

龍明の旅路は無駄ではなかった(T_T)。

そんな龍明、竜胆が抱える名状しがたい感情をズバリ言葉に。

龍「御身は死した後にも先があると思っている」

 「胸の魂は不滅であり、それが良きところへ行けるようにと願っている」

天狗道において、竜胆のこの考え方がどれだけ異端か。

......だがそこは設定に抜かりのない正田。

奇跡などではない、容赦ない理由を用意してやがった......。

 

 

場面は変わり、ついに真打登場・坂上覇吐

頭の中ヌキヌキポンでいっぱいの愛すべきバカ。

その真骨頂は発売前カウントダウンボイスにて発揮され、多くの爪牙たちを性欲界紳士道へ導いた。

そんな覇吐氏、龍明直々のご指名で御前試合に招かれる。(理由は坂上家は代々歪みの濃い家系にも関わらず、覇吐は陰気査定に引っかからなかったのが気ががかりだったためby『神咒神威神楽 繪草子』 )。

御門屋敷の圧にたじろいでいると、問題児との初邂逅。

 

f:id:yurayura3:20200727132118p:plain

宗「あなたも、お上りさんなんですね」

 「見たとこ地方豪族の末か何か、めちゃくちゃ零落しちゃったけれど、ド田舎じゃあよいしょされてきたってとこですか」

 「端的に、いわゆる御山の大将ってやつじゃないかと」

出会って早々この口撃。

さすが剣鬼、切れ味の良さがハンパじゃねえ......。

優男な風体に似合った声。しかしそれだけじゃすまなそうな雰囲気もしっかり。

どうしてlightは役者さんのキャスティングがこんなに上手いのだろうか。

 

お互い自己紹介。

宗次郎の剣呑さが早くも......。

宗「壬生宗次郎——これもきっと何かの縁だ。よければお名前を聞かせてください。井戸に棲んでいたという龍の人」

セリフから、覇吐の実力もしっかり把握している。逆説的に宗次郎も相当の実力者であるということが察せられる。おいおいワクワクさせてくれるじゃねえか(^◇^)。

 

次いで出会うはチンチクリン龍明の義娘・御門龍水

f:id:yurayura3:20200727132147p:plain

ロリ枠の一人でツンケンした態度をしており「いかにもテンプレみたいな奴だなぁ」というのが初見プレイ時の印象。

まさかこいつがこの作品の中で(というか正田作品全体でも)群を抜いてヤバい奴だとは...このとき誰が予想できようか。

チンクチクリンっぷりがそうさせるのか、出会って数秒で覇吐&宗次郎に舐められる(無論物理的な意味じゃない)。

しかしそこは龍明が目をかけた娘、隠していた覇吐の歪みをパッと見で看破。それなりの実力はある模様。

 

そんなこんなで門の前で3人仲良くわちゃわちゃしてると、街道から真っ白兄妹がお目見え。

f:id:yurayura3:20200727132214p:plain

“あまりに陰が強く濃すぎて、牛車の形すら歪んで見える”

“供をしている男のほうも相当だが、何よりも尋常じゃないのは牛車の主だ”

周囲に不幸を押し付ける歪み、禍憑き・凶月一族。

前世じゃただのチンピラヤンキーと毒姉だったくせに......立派な肩書与えられて出世しやがったなおい。

門をくぐる兄妹を前にガチガチに緊張する龍水と、一方で斬りたい欲で笑みがこぼれる宗次郎に「目立ってんじゃねえよ」と鼻を鳴らす覇吐。この辺の描写でも各キャラの実力の程が窺えて楽しい。

 

そんな様々な感情を向けられ、イラ立ちながらも妹を一番に気遣う刑士郎お兄ちゃん。その兄を弟のように、息子のように窘める咲耶。色々と業が深い設定に生まれ変わったもんだなオイ。

 

そしてそして、そんなちょっとおかしな兄妹に興味を示すのは、皇の守護・玖錠紫織おっぱいすげえな...。

f:id:yurayura3:20200728093326p:plain

“皇室の危機にしか姿を見せないため、実在するかどうか分からない”と噂されていた、半ば伝説上の存在たる玖錠一族。

凶月といい玖錠といい設定が厨二心にぶっ刺さりやがる。

やっぱ14歳神はダテじゃねえ。

 

紫織とのやりとりから、刑士郎たちが呼ばれたのは“仮想化外”としてであることが判明。

集められたヤバい奴らはこれで凶月兄妹・紫織・覇吐・宗次郎の5名。

刑士郎と紫織がそう睨んでいると、しかし咲耶がもう一人とんでもないのが潜んでいるのでは?と察知。

咲「なんと申しますか、先ほどから、どこかに穴が空いているように思うのです」

 

 

f:id:yurayura3:20200728093457p:plain

ということで“穴”の登場、摩多羅夜行

奇人変人が集まってらぁと優雅に酒を楽しむ。

......

お ま え が い う な

 

キャラのモチーフは「メルクリウスの若い頃」。

なるほど...尊大な態度に慇懃な口調、それに芝居がかったセリフは確かに水銀臭さがある。

しっかし、それよりもなぁ......

 

夜「まず何よりも恐るるべきは、化外どもの怨念よ。かつてこの地を征しながら、無常にも奪われ、追われた敗残の蜘蛛」

 「無念なり。あな口惜しや。鏝で臓腑を焼かれるようじゃと、東の果てで哭いておるわ」

 「うふふ、はははははは、わははははははははーーー!」

 

なにこのラスボス?

主人公サイドが出していい雰囲気じゃねえ.......。

「あぁこいつ終盤寝返りそうだな...」と初見プレイ時に思った俺は悪くないはず(悪くないよな?)。

 

役者は出そろった。

御前試合を控え、覇吐は龍明からある取引を持ち掛けられる。

そして竜胆は御前試合へ出場させる益荒男を決断する――。

 

 

ということで第一章は終了。

ほんとに神がかった導入で「購入してよかった」と心から思わせてくれるぜ。

そして次の二章から、ついに正田卿の真骨頂たるバトル回に。

 

 

睦月・秀真→「神咒神威神楽 曙之光」睦月・秀真 感想・上 - ゆらりゆらりとゆらゆらと

 

 

 

出典元:www.light.gr.jp