ゆらりゆらりとゆらゆらと

あたまの悪い男が、起こったことを忘れないためのボケ防止日記

「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterⅫ 感想

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“最後に勝ちを狙って何が悪い” 

 

ついにこの章に来てしまった......。

ブログ主は全編通じてこの章が一番好きで、一番プレイしたくないです。

神の脚本通りに動いてしまう彼。

しかしそんな彼を“神の玩具”だなんていわせたくない。

これは親友同士の物語。

 

 

 

黄昏の浜辺で泣きっぱなしのマリィ。

メルクリウスが優しく声をかけるも、その慰め方もウザい。

蛇の内心はマリィが心を獲得したことを喜ぶばかり。

対するマリィはいっぱいいっぱい。

自分のせいで蓮から大切なものを奪ってしまったと自責の念に。

そしてあろうことか、目の前の蛇に奇跡を願ってしまう。

マ「カリオストロの力で、なんとかできないの?」

 「わたし、何でもするから。できることなら手伝うし、何でも言うことだって聞く。だから」

 「だから……カスミやみんなを返して」

命の重さを知らなかったchapterⅤのときとは完全に別人だ。

女神の純な祈り。しかし座の神はやんわり拒否。

「自分は道化で、陽炎で、何の力も持たない蜃気楼」と嘯く。

いったいどの口が言ってやがるんだと、マリィも絶句。

ようやく自分がトンデモない男に付きまとわれているのだと分かってくれてよかったよかった(よくない)。

そんなマリィに流出の兆しを感じ、水銀は含み笑う。

 

 

タワーのスワスチカが開いたことを、自室で感じ取る蓮&先輩。......てかまだイチャついてたのかテメーら。

残るスワスチカは学校。

城へもう一度攻め込むため、学校に待ち構えているであろう団員(蓮の推測ではマキナ)を倒すと意気込む。

しかし、この悪趣味なオペラの脚本家がそんな単純な配役をするのかと一抹の不安を覚えたところで、運命の着信。

 

 

趨勢を城から見守る黄金。

トリファとの約束もあるため、イザークに語り掛ける。

ラ「他の者達とは語り尽くした、残るは卿しかおらぬのだ。胸に秘めた意......何かあるなら吐き出してみろ」

 「この揺り篭でいったい何を待ち望んでいるのだ、イザークよ」

生まれて初めての、父との一対一の会話。

城の歯車としてしか生きてこれなかったため、何を欲しているのか・何を望んでいるのか自分でもわからない。

少年は自然と口にする。

イ「あなたが、私の父なのですか?」

マリィルートでは茶を濁した黄金も、さすがに今回は事実として認める。

続けて息子は尋ねる。

イ「私はあなたに愛される資格があるのでしょうか?」

子どもがこんなことを聞くなんて......聞かなきゃならないなんて.......。

なんて罪だ。

神父も言っていたように、光は誰の上にも降り注がれるべきなのに。

 

「立派な我が子だ」

 

その言葉が欲しかったイザーク

そんな祈りのこもった上記の質問だったが、「愛に資格なんて必要ないよ」と返す黄金の父。

一見理想的な返答に思えるが、ラインハルトが言うのでは話が変わってくる。

“私は総てを愛している”

この言葉が意味するところは、皆平等で特別な存在などいないということ。

この父子のやりとりは、イザークを安心させるものにはならなかった。

どころか、心に亀裂を生じてさせてしまう。

加え、黄金には一人、たった一人だけ特別に思っている存在がいた。

ラ「ああ......しかし愛ではなく、友情を感じたものは一人いたな」

「嫉妬」という感情が自覚なく芽生えたイザーク

蛇の脚本にはなかった因子が徐々に増えていく。

あぁすごいぞ黒円卓玲愛ルート。

 

 

学校の屋上では、蓮を待つ悪友。

お膳立てされた状況に腹を立てつつ、街を見渡し、彼らしくないセンチな声を。

司狼信者であるブログ主は早くも泣きそうになってます。

 

 

到着する蓮&玲愛。

司狼の無事な姿にまずは安堵。

死んでしまったと思われていた友が目の前に現れた、蓮の心情は察するに余りあるな(゚ノД`゚)。

香純がいないことに動揺するも、司狼との軽いやりとりに蓮は少し調子を取り戻す。

 

くだらない、いつもの談笑。

しかしそれも数瞬。

一人まくし立てる司狼。

意味が分からず困惑する蓮と玲愛。

舞台を眺めているであろう悪魔達に言いたいことを言いきり、司狼はいざ用意していた言葉を放つ。

 

司「おまえ——なにその女生かしてんの?」

 

 

殺気と怒気を露わに。

もう戻れないところまできてしまった……。やばい、泣きそう。

 

産道たるゾーネンキントを排除すれば、城はこれ以上流れ出ない。香純も既にいないため、後継が生まれる可能性もナシ。

よって、司狼は玲愛に死を迫る。

これぞ完全な“ラインハルト封じ”だと下した冷徹な判断。

おまえじゃ殺せないだろうと、蓮を押しのけ玲愛に近づく。

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怖い。

さすがに蓮ブチ切れ。

このあたりから2人の中の人が流出位階に突入しだし、BGMも相まって目が離せなくなる。

 

司「香純は死んだ、エリーもだ。もうてめえが今さら意地張る理由なんざなあ......丸ごと奴らに奪い取られてんだよ!」

 「今のおまえは、残ったもんが石ころだろうと、宝石だろうと、何の区別もできてねえ。全部取り上げられた後になって、落ちてたもん片っ端から抱え込んでるだけのクソガキじゃねえか」

曰く、現実を見ていない。

“失ったものは返ってこない”という自分の矜持に囚われていると司狼は責め立てる。

ゆえに切り捨てるべきものは切り捨てろと、さらに声を荒げる。

 

しかし蓮にはできるワケもない。

それは心が弱いとか、良い人ぶってるとかでは決してない。

これ以上失いたくないから。

蓮としては、戻ってきた司狼と共に城へ乗り込み完全勝利を狙いたい一心。

が、蓮の希望を込めたこの主張も、司狼はバッサリ。

スワスチカを全開放するための生贄。それはもう蓮か司狼しか残ってない(諏訪原市民はすでに全滅)。

......じゃあもう選択肢がねぇじゃねえか!!!! 

詰め方に隙がなさすぎる......。どこまでも悪魔どもの思い通りすぎて嫌になってくる。

 

ここで司狼が玲愛に手かければ、蓮の中で司狼は宝石ではなくなる。

司狼の肩に手をかけ、震えながらも懇願する蓮が痛ましい。

“おまえにはずっと、俺の近くで——遠くでもいいから生きて、馬鹿やっててほしいんだよ”

蓮にとって司狼がどれほど大切なのか、天邪鬼な彼の本心が我々爪牙にもはっきりと。

 

しかし司狼の答えは......

司「はっ——まったく、この博愛主義者が」

 

 「いつまでもぺらぺら——メルヘンぶっこいてるんじゃねえッ!」

 

顔面にキツい一発。

始まる、過日に着かなかったケンカの続き。

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拳よりも、同時に交わされる2人の言葉の応酬の方が、はるかにしんどい(ノД`)。

幼少時より共にしてきた2人。

常に先に進む司狼と留まる蓮。

いつも無茶するのは司狼で、蓮がケツを拭いてきた。

あらためて、お互いの在り方をぶつけ合う。

 

メ「素晴らしい、その一言に尽きる。いやそれすら足らぬな。弁には自負があったのだが、言葉に出来ぬ、出来ていいものではない。したくない」

このどうしようもない状況を、天から拍手して称賛する水銀。

狂喜っぷりは全編通しても一・二を争いかねないほど。

「言葉に出来ない」なんて言いつつ、代替たちの死闘に魅せられ、過去最高に長々と実況・解説に熱が入っている。

一方、隣にいるマリィは蓮の気持ちがダイレクトに流れ込んでくるため、その悲しみも壮絶なものに。

蓮に代わって泣き叫ぶマリィ。しかし水銀は眼下の息子たちに無我夢中。

あの、あのメルクリウスが、マリィの嘆きを放置するというあり得ない展開がここに!!

自覚がない水銀はなおも続け、

メ「——彼らは今、嘗てないほどに愛し合っているのだよ、マルグリット」

そう一人納得し、満足し、結論づける。

その常人とはかけ離れた精神性を前にして、ついにマリィも水銀を見限る!

 

 

殴り合いは続く。

ここまでストーリーを積み重ねてきて、2人の仲の良さ・掛け合いの絶妙っぷりを十分わかっている分、やはりみていて辛い。

蓮は必死。

だがその実、司狼はもっと必死。

なにせ司狼は心の裡と外を偽っているのだから。

この辺りから徐々に司狼の内心が明かされていくので、ブログ主は号泣必至。

蓮に喧嘩をふっかけたのも、すべては蓮のため。

親友を決戦場へと導くため。

「切り捨てろ」という怒号に隠された本音に、胸が苦しくなる。

 

状況としては、もはや誰かが死ななきゃならない。

それでも

蓮「俺は、おまえに先輩を殺させないッ!」

 「そして、おまえもっ」

 「おまえのことも、見捨てないッ!」

 「抱えて進んで何が悪い、俺とおまえでできないことなんて、何もねえッ!今までも、今も、これからだってだっ!」

 「おまえとなら、勝てるだろっ」

れ、蓮......(´;ω;`)

都合よすぎなのは分かっているが、それでも蓮の言葉にこそ耳を傾けてしまう。

なんたってブログ主は根っからのハッピーエンド主義者なもんで......。

みんな手を取り合っての大団円がみてえんだこちとらぁ!!!

 

容赦なく浴びせてくる司狼の拳・言葉に、なおも折れない蓮。

耐えて、耐えて、耐えて、そして宣言する。

今度は自分が先に進む、と。

いつも壁を取り払ってくれた友へ感謝。

殺し合いにも似た喧嘩もいよいよ終点へ。

 

司狼渾身の一発を堪え、返す刀で振りぬいた拳で軍配は蓮に。

 

 

ほぼ空気となっていた先輩も駆け寄り、空気は一気に弛緩。

さっきまでとの落差に、蓮も逆にイライラ(笑)。

司「なあ、蓮。いい喧嘩だったよな、こりゃ」

そう溢し、フェンス越しまで足を引きずる司狼。

その声は、既知感に苛まれていた彼とは思えないほど晴れやかで——。

司「蓮、おまえは勝てるよ」

確信に満ちた一言と共に、自らの頭を打ちぬく……。

 

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ラ「素晴らしい、感動したぞ見事なり。なんと心の踊る決闘、我々の凱旋に相応しい戦いの鐘(ファンファーレ)だ」

 「友の亡骸を抱きしめたかろう?死後すら私に囚われたぞ。血の一滴、骨の欠片、髪の毛一本すら卿の下には残っておらん」

 「覆したいか、この結末......ならば参れ、来るがいい」

  「ここに卿の斃すべき敵がいる」

全力を出すに足る相手が生まれたことを寿ぐラインハルト。

しかし出陣の間際、常に見下ろしていたその視線は空へ。

蓮と司狼の交錯から、黄金の中でも何かが変わる。

盟友たる水銀へ語りかける。

 

その水銀もまた、息子へ喝采を贈る。

女神の心に気付かず、黄金の変化に気にも留めず。

 

無責任に狂喜乱舞している二柱の悪魔へ、宝石を失った蓮の慟哭は衝天する。

 奪ったな。よくも”

蓮「......ふざけんな」

「てめえらがっ、てめえらみたいなクズの集まりが——揃いも揃って、何こいつを値踏みしてやがるんだァ!」

「ふざけんじゃねえぞ塵屑共がッ!とっくに死んで腐りきった蛆まみれの頭でこいつを測るな、ブッ殺すぞォォオオオーーーッ!」

全員一人残らず殺戮せんと、過去類を見ない怒りで疾走を開始する。

 

城の心臓部。

イザークは大好きな父親が、誰を見ているのか気付いてしまう。

嫉妬の炎がメラメラと。

そんなお爺ちゃんの機微を唯一察知したのは、曾孫の玲愛(ってか書いててすごいことになってるなコレ)。

司狼、香純、エリーの魂を抱きながら城へ。お爺ちゃんに一言言ってやろうと意気込む。

さあさあ、長かった歌劇もいよいよ最終章だ(*゚▽゚*)。

 

 

キャラ雑感

司狼

蓮の裏側。

狙うのはいつだって勝利な彼。

このルートでは作戦が最初からご破算したにも関わらず、なんやかんやでここまで乗り切ってきた。そのご都合主義っぷり、“神の玩具”とはよくいったものだ。

だがそれが司狼の魅力か?NO!断じてNOだ!

ハチャメチャで破天荒でいつも酔っぱらっているようで、しかしその実誰よりも真剣に生きようとしている。

作中の誰よりも人間的じゃないか。

この章の喧嘩も、モノローグで散々泣かせてくれやがって。

最高やぞ。

 

 

ChapterXⅢ Acta est fabula→「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterXⅢ 感想 - ゆらりゆらりとゆらゆらと

 

 

 

出典元:www.light.gr.jp