“大丈夫よ、玲愛。私達が守ってあげる”
話が大きく動く玲愛ルート第9章。
特に後半の熱さは、ここまでプレイしている爪牙であれば声を出さずにはいられないほど。
それゆえ、どうしても前半のとあるシーンが納得いかない。
ここさえなければ...。
ルサルカのモノローグ。
明かされる水底に落とされた過去。
時は18世紀、村一番の美貌を持っていたアンナ・マリーア・シュベーゲリン。
夫とつつましく暮らしていたが、その身なりから、鬱屈していた村人たちの情欲・嫉妬を買ってしまう。
些細なことをキッカケに魔女裁判にかれられ、汚され、処刑を待つ身に。
あらためて、かなりヘビーな過去だ。
本人は「迂闊だった」と自嘲しているが、とても落ち度があるとは思えない。
“魔女狩り”なんていう狂ったシステムが、本当に横行していたなんて信じられない……。
絶望の獄中。
そんな中姿を見せたのは、おなじみのあいつ。
メ「汚れた君は美しいよ、魔女殿」
「汝、ただ思うままに不浄たれ」
世界に悲観していた男は、気まぐれに、目の前の女に選択肢を与える。
この水底で汚泥たちと横並びになるか、地を這う星となって従わせるか……。
アンナは選ぶ。
ル「わたしは、引きずり下ろしてやりたい」
「あなたみたいになりたい」
“あなたのようなモノをこの足下に従えたい”
その返答に、水星たる告解師は満足。
まだマリィと出会う前だったメルクリウス。もしかしたらルサルカに期待していたのかもしれない。極小の可能性なれど、既知世界をぶち壊してくれることを。
この邂逅により、正真正銘の魔女となったルサルカ。村人たちを、夫だった男も含め全て抹殺。
その後、魔道を極めて100余年。「もうあの告解師超えたったわガハハ」と調子ぶっこいてた頃に、黎明の日を迎えてしまう。
しかしこの時代、ルサルカはもう一つ、別の運命の出会いも果たしていた。
一方、前章で展望台で悲しい別れを告げた蓮と玲愛。そのまま2人は散り散りに…。
……かと思いきや、2人とも残ってそのまま夕日が沈むところを眺めていた……。
う〜ん、ロマンチックだね(﹡´◡`﹡ )
じゃ、ねえだろっ!!!!!!!
なんでそのまま居残ってんだよ!!
悲痛な想いで発した「さようなら」は何だったんだおまえら!!
ここで明らかにシナリオを強引に修正したのが察せられるな…。
そのまま夜の展望台で2人は、クラブのスワスチカが開いたことを感知。
蓮「馬鹿か、俺は……」
“いったい、何を呑気に構えていたんだろう。こんなこと、当たり前に予測できていたはずなのに”
ほんとに何を呑気に展望台に残っていたのか。
ベイがスワスチカを開けるのがこれほど遅いなら、別れを告げてからクラブに戻る時間は余裕であっただろうに。
話の展開がおかしいせいで、蓮が能無しにしかみえない。もっと上手いこと整合性はとれなかったのだろうか。
玲愛は自分のせいだと責任を感じる。
玲愛の算段としては、7章の終わりで煽った螢をヴィルヘルムにぶつけるつもりだった。
しかしさすがにアホの螢も、いきなりベイの下へカチコミにはいかず。
結果このような惨事に...。
蓮も玲愛も一気にテンションダウン。
お互いここから再起する活力がほしいと、キスをねだる雰囲気に。
はあ......。
何この展開?全然グッとこない。そんなことしてる場合じゃないだろ。
未来への希望を込めた前章の決別はなんだったん?
なんだか8章の良かったところが帳消しにされてるようで、とても残念。
「熊本」発言もここで飛び出すが、やるならもっと違うシーンがよかった…。
キスする寸前で、マリィが合流。
2人より敏感にスワスチカを察知したマリィは、香純たちの死を伝える。
クラブに戻るも既にベイの姿はナシ。
香純の死を信じられない蓮の嘆きが辛い。
荒れっぷりは過去最高クラス。蓮にとって香純がどれだけ特別だったのか、あらためて伝わってくる。
どいつもこいつも「自分が悪い、自分のせいだ」と自虐する、負のスパイラル。
マリィまで塞ぎこむわ、玲愛はムリに悪者ぶるわ、蓮は物に八つ当たりするわでもう見てられない(´A`。)。
そんなブログ主のメンタルがキツくなってきたところで、現れたのは、
螢「こんばんは。荒れてるようね。ご機嫌いかが」
おお、螢。キミか。
場の空気を変えてくれるのはすごく嬉しいが、おまえ......よりにもよってその顔、その言い方......。おまえそういうところだぞ。
客観的な視点で、それぞれの悪かったところを指摘。
その言い方が「私、なんでも分かってますから」って感じで、本当の本当にうざい(笑)。
案の定蓮の逆鱗に触れるも、今回は螢のレスバ勝ち(めずらしいなおい)。
玲愛は教会へ戻り、蓮は螢と共にベイの下へ。
はぁ、なんだかなぁ。
8章の別れから直接教会に繋げてもよかったんじゃないのかな。
この後の展開が神がかっているだけに、なおさら惜しく感じる。
城の最奥では、満を持してイザークがお目覚め。
好き勝手している現世組へ喝を入れようと、起きて早々お仕事をはじめる準備に。
教会の一室では、机に突っ伏すリザ。
気だるげなその姿は、まるで娘に手を焼く母親。
十数年間かかさず祝ってきた玲愛の誕生日。
歌い上げる「もみの木」、そして祝福の言葉。
その声音はとても偽善者とは思えない、真摯なもの。
自分が生んだ2人の子供へ思いを馳せていると、ワインを手にしたトリファが入室。
リザへワインを勧めるトリファ。その表情は一見いつも通りの笑顔だが、どこか違和感も。
リザもそれを感じ取り、なんだか感傷的な雰囲気の中、乾杯。
リ「あなたと差し向かいでやるのは初めてだけど、まあそんな日もあるか」
ト「私としては、あなたが望んでいないだろうと考えたからですよ」
リ「嫌われてると思ってた?」
ト「ええ。違うのですか?」
リ「違うわね。大っ嫌い。」
なんだよ...おまえらそんな普通な会話ができるのかよ...。こっちも感傷的になっちまうじゃないか。
バックで静かに流れる「Ewige Wiederkunft」。優しいオルゴール音がいい仕事してやがる。
リザさんはそのままトリファに絡み酒。
ベアトリスに痛罵された11年前。トリファたちと初めて出会った黎明の日。
振り返り、そしてトリファに確認する。
黒円卓を裏切る気でいたのか、と。
トリファは曖昧に答え、グラスを飲み干し———砕き割る。
「これが私の聖餐杯」
砕けないと嘯いていた彼自身が聖餐杯を否定する。
この流れに胸が震えたのは、ブログ主だけではないはず。
逃げるのは終わりにしようと、会話の続きを玲愛に任せ、トリファは退室。
入れ替わりに入ってくる玲愛。
リザの懺悔の時が始まる——。
蓮は螢と、夜の遊園地に。
理由はもちろんデートではなく、ヴィルヘルム。
あの馬鹿ヤンキーをおびき寄せるために、殺し合いをしようという螢の提案。
なんてアホな発想だ......と思うが、同時に「ヴィルヘルムは絶対来そうだ」とも思わせるあたり、やっぱりあいつは馬鹿(誉め言葉)。
蓮はこの提案を受け入れる。
しかしずっとニヤニヤしている螢を不快に思い、訊ねる。
蓮「何が面白い」
螢「だって......」
“問いに、櫻井は、俯いて、肩を震わせ......”
“顔を上げると、笑顔で言った”
螢「すごく興味あるんだもん」
あっちゃあ......。
最悪だぁ。螢の一番の短所が、まさかよりにもよってこんなタイミングで......。
太陽を失った蓮に、ねえねえ今どんな気持ち?ねえねえ♪と過去一番の煽りすらみせてくる。
螢「今の藤井君、素敵よ」
「今のあなたなら、仲良くできそう」
語尾に♡がつきそうなくらい上機嫌。ゲ、ゲスい。
こいつ、これでもメインヒロインだったんすよ...。
場面は再び教会に。
玲愛にとってリザは一番近いようで、一番遠かった存在。
だからこそ、本音で話そうと対席。
本当の年齢、本当の経歴、今まで見て見ぬフリをしてきたこれらの疑問をリザにぶつける。
リザも煙に巻くことなく、事実を伝える。
まっすぐ見つめてくる玲愛を直視できないリザ。
しかし、
玲「私に死んでほしいと思ってる人が、情けないこと言わないで」
めちゃくちゃガツンとくる一言。なんだその覚悟の決まり方は(震え)。
リザさんが玲愛を怖いと言っていた理由も、今ならよくわかる。
玲愛の言葉を受け、まるで懺悔するかのように、ポツポツと過去を明かすリザ。
リザという人間を語る上で、どうしても欠かせない存在、エレオノーレ。
彼女と研鑽を競っていた青春時代。リザにとっての黄金期。
細かなことまで争うも、決着はつかぬまま、時代は第二次大戦へ。
両者は護国のために立ち上がる。
しかし砲火飛び交う戦場に出たエレオノーレを、それに続く少女たちをリザは認められず。
リ「女が、戦場に出て、銃弾を食らい、殺される。それが愛国?冗談じゃない。女(わたし)達には、女(わたし)達にしか出来ないことがあるでしょう。なぜそれをしない。戦う場所を間違えるな——とね、若い私は思ったわけよ」
リザにとって負けられない戦い。
それは黎明の日を迎えたことで、ますます破滅的な方向に。
泉で多くの子供を生み、そして死なせた。
リザが黄金錬成に託す願いとは、亡くした子供たちの蘇生。
そのために、娘同然の玲愛を捧げようとしていた。
そんな悲しくもどうしようもない事実を前に、
玲「大変だったんだね。うん......リザのこと、よく分かったよ」
「嫌なこと話させてごめんなさい。だからもう、そんなに自分を責めないで、お祖母ちゃん」
責めるでもなく、詰るでもなく、淡く微笑む。
これは...たまらんな。リザもかなりの大ダメージ。
取り乱し、そして溢れる涙。
偽悪的に、自分は双子の兄を切り捨てたのだと吼えるも、玲愛はぶれない。
ヨハンを逃し生き延びさせたことを挙げ、「ちゃんとお母さんをしていたんだね」と優しくかける。
リザがずっと欲しかったのは、この言葉だったのでは。そうだとも、リザはまぎれもなく“親”だったよ。
リザの血をひいていることに安心するBカップ。
何気ない言葉の数々が、リザにとって救いとなる。先輩さすがっす。ただ残念なことに巨乳因子は香純のほうなんだ...。
仮面ではない、真実の笑顔で、リザは問いかける。
どうしたいのか、どうするつもりなのか。
偽りの家族生活。しかし玲愛にとっては真実そのもの。
幸せだったからこそ、リザに力を貸してほしいと懇願。
リ「玲愛、交渉の基本はね。相手を翻意させる条件を出すことなの。私が望みを捨てる代わりに、あなたは何かくれるというの?」
玲「私の子供を一番最初に抱かせてあげる」
「名前も決めてよ。そして今度こそちゃんと愛して」
リザは最後の懸念を明かす。
イザークは黄金の血を引いている。
黄金と水銀は異常なほど仲がいい。2人の継嗣である蓮と玲愛の関係も、彼らに引きずられているからではないか。
そんなリザからの指摘を受け、玲愛もさすがに狼狽える。
そんなものは関係ないと今までみたこともないほど、声を荒げる。
玲愛らしくない、しかし実にいい雄たけびだ!玲愛をどんどん好きになっていく自分がいるぜ!!
玲愛の答えを聞いたリザ。グラスを飲み干し————叩き割る。
リ「私も今、目が覚めたわ」
玲愛の肩を抱きしめる。その姿は“バビロン”なんかではなく、娘を守る偉大な母親のそれ。
見据えるは、黄金の城。
流れるのは味方サイドのBGM「Thurd Walkure」。
あああああああああああああああ!!!!
滾ってきたああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
ト「待っていなさい、我が愛児たちよ。必ずそこから救いましょう」
リザが母なら、父たる彼も当然動く。
聖餐杯という仮面を脱いだ彼の、なんと心強いことか。
「万軍を得たに等しい」という玲愛の心情に、頷くばかりだ!
一人こっそり病院のスワスチカを開いていたルサルカの上にも、城の門が。
とんだトバッチリである。
しかしその地獄の姿を目にし、魔女もついに黄金錬成の真実に至る。
ル「馬鹿みたい、わたし」
「ハイドリヒ卿から見れば総て餌か」
“ああ、だから等しく殺し合えと?”
“永遠に?永劫に?”
“横並び手を取り合って踊り続ける亡者になれと?”
「————ふざけるなッ!」
翼を持つ者の存在を許容できない地星。
その足を引いてやると、空に坐す者らへ咆哮するルサルカが雄々しい。
ああ、もう、ワクワクが止まらねええええええぇぇぇぇえぇ!!!
反旗を翻した彼らの声を聞き、黄金は大満足。
英雄の器であると認め、城へご招待。
お出迎えするのは近衛たる大隊長。
しかし三騎士の出陣には、スワスチカが一つ足りてない。
さて困ったぞぉ~。イザークさんが出した結論は......。
そして場面は遊園地に戻ってくる。
ハイ、ということでイザークがだした結論は、醜態をさらし続ける螢を5番目のスワスチカの生贄とすることに。
城から巨大な手を伸ばし、螢を拘束。
言い渡す判決主文。
イ「動機は羨望。それによる憎悪。眩しき者を認めようとせず、その堕天に悦を覚え、嗤う卑小な魂、英雄に非ずと私は断ずる」
「おまえみたいな小物をいつまでもメインヒロインに据え続けるわけねえだろ」と厳しい処分。
次いで飛来してきた死刑執行官ヴィルヘルム。
螢の顔面に杭をドーーン!仮にもルートヒロインにやっていいことじゃ...。正田は鬼か。
結局何も成せぬまま消滅する炎の少女。
ここまでどのルートでもかっこいい見せ場があったためか、そのツケとでもいわんばかりの哀れな最期。
結果的に螢ルートの意趣返しになったヴィルヘルム。
しかしこれで満足することもなく、因縁を清算しようと城へ登城。
アクションが後手に回り続けている蓮も、城に招かれる。
イ「では地獄巡りを始めよう————La Divina Commedia」
イザークの創造により、城が展開。
これより始まる地獄の三番勝負。
勝てば何でも言うこと聞いちゃう!と、一見太っ腹にも聞こえる黄金閣下のお言葉だが、“地獄巡り”という言葉にふさわしく待っているのは地獄の門番たちだった......。
キャラ雑感
螢
最初の脱落者が、まさかのおまえかよ。
黒円卓に属すも黄金の爪牙とはなれず、ただの餌に。
本当に良いところがなかった今ルート。
まぁ小物ムーブしすぎたな。そりゃ英雄とはいえないよ。
三つ巴ルートが追加されて、地味に救われたキャラともいえる。
ChapterⅩ Sol lucet omnibus→「Dies irae ~Amantes amentes~」ChapterⅩ 感想Ⅰ - ゆらりゆらりとゆらゆらと